オリックスからメジャーに挑戦し、昨年古巣*1に戻ってきた、田口壮選手の妻、恵美子夫人の書いた本。といっても、私には元“TBSのスポーツアナ・香川恵美子さん”と言った方がなじみが深い。
田口選手はアメリカ滞在中こまめにブログをUPし、その内容の面白さに「日記職人」の称号をもらった人だが、夫婦揃って文才の持ち主、という希有なこともあるのだ、と驚いた。そのぐらいとにかく面白い。そして、その内容は深い。 ====
あのー、こんなに私生活を開示して大丈夫ですか、という潔さがまずすごい。当時W不倫と言われたそうだが、その真実が明かされ、お子さんができるまでの過程もオープンに語られる。
もちろん本領発揮なのはアメリカでの話だ。度重なるトレードの上メジャーと3Aを行ったり来たりした田口選手に合わせ、住居を転々とする。それぞれの場所で少しでも居心地よく過ごしてもらうため、日本の食材調達や、体のケアをしてくれるプロフェッショナルを探すのもヨメの役目。香川さんはその苛烈な日々のためにうつ病を患い、現在も薬は飲み続けているのだそうだ。読みながら、パートナーの夢のためにここまでできるか、自問してしまった。
だが、その重くなりそうな内容を、面白おかしく書いてしまうところがすごい。読みながら何度も噴き出した。この本は電車の中では読まないことをおすすめする。そのくらい笑ってしまう。
関西人である田口選手がそういう文章を書けるのはわかるが、なぜ東京出身の香川さんがこんなに面白い文章を書けるのか不思議なくらいだ。笑い飛ばさないとやって行けなかったからなのかもしれない。
また、日米の文化の違いや野球の違い、代理人の役割なども、この本を読んで初めて理解できた。比較文化論的にも読める。
“メジャーに挑戦する”と簡単に言うが、それは家族一丸とならないと戦えないものなのだ、と初めて知った。
すべての野球好きにぜひ読んでもらいたい本。メジャーを見る目が変わります。
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