著者の石川三知さんは、岡崎朋美選手(スピードスケート)や荒川静香選手(フィギュアスケート)などトップアスリートの栄養指導をされてきたプロフェッショナルだ。
今は高橋大輔選手の栄養指導もされているそうで、ある雑誌を読んで興味を持ったので、この本を借りて読んでみた。
普通の栄養学とはひと味違う、現場で培った知識満載の本だった。 ====
「トップアスリートに学ぶ」とサブタイトルにあるように、スポーツをする一般の人向けに書かれている。
だが、1章と2章は体のしくみや、実際にどの栄養素をどの食品から摂ればいいのかがくわしく説明されているので、すべての人が知っておくべき内容だと思う。
食事を作る役割の人だけでなく、外食や中食で選ぶ時にも役に立つはずだ。
また、アドバイスが理想論になっていないところもいい。
こういう本でよくあるのが、「そんな生活無理ですって」とか、「これを毎日用意するのは大変」というような、継続不可能なメニュー。
でも、石川さんは「お手軽トッピング」といった自分で栄養をプラスできるものを用意するとか、コンビニでの選び方など、無理のない方法を紹介してくれている。続けられそう、と思えるのは大きい。
後半はより具体的な疲労回復や集中力の維持など、状況に合わせた栄養の摂り方や、ケガや夏バテなど症状別にどう食事の面から対処すればいいのかを教えてくれる。
目的別で「明日はゴルフ」「子どもの運動会で走る」などがあるのもうれしい。
個人的には5章のサプリメントの使い方が役に立った。盲目的に摂るのでもなく、食品にこだわりすぎるのでもない、必要な時に最低限のものを選んで摂る指針が示されていて、とても納得できた。
栄養は自分の体をつくり、守る重要な方法だと思う。
健やかに動ける体を目指す人は必読です。
私のアクション:野菜の「根」「葉」「実」を意識して揃える
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
※ポイントのみメモ
筋肉を増やすにはビタミンCも(P38)
ビタミンCがあると、剥がれにくい弾力のある筋肉になる
タンパク質はカルシウムと合わせてとる(P40)
タンパク質を摂取すると、カルシウムが使われるだけでなく、排出されやすい状態になるため、タンパク質はカルシウムと合わせてとる必要がある
粉砂糖と油脂を同時にとると脂肪を増やす(P52)
アルコールや甘いものは体内のカルシウムとマグネシウムを減らしてしまう(P52)
野菜は「根」「葉」「実」を1食にそろえる(P74)
成長ホルモンのゴールデンタイムは1日3回(P90)
1.運動を終えてから約20分後
2.約2時間後
3.寝ている時
これに合わせて炭水化物とタンパク質を体内に入れる
回復力を高める比率は炭水化物3:タンパク質1(P90)
炭水化物とタンパク質を一緒に摂取すると、分泌されるインシュリンの値がグンと高くなる
体を疲労回復モードにする(P95)
成長ホルモンが分泌されるタイミングで、少しでも体内に回復に使われる材料を入れておけば、疲労回復のスイッチが自然に入る。
運動後、豆乳やオレンジジュース、野菜ジュースを飲むだけでその後の回復がちがってくる。
体が自然に疲労回復のモードになってしまえば、エクササイズを激しく行った後も、いつもと同じだけ家事ができるはず。
運動をしたら、その後も少しがんばって体を動かす。
成長ホルモンが分泌された後は、脂肪が燃焼しやすい状態になる。つまり、エクササイズをやった後に、ちょっと栄養補給して疲労回復のモードを作っておき、その後に、いつも通りテキパキと家事をこなしたら、それが有効なエクササイズになる。