いきなり走ると筋肉痛になって大変とか、レース中給水で紙コップから飲もうとしてむせたとか、初心者がよくやる失敗が等身大に語られていて、読みながら痛みを分かち合える気がする。そういえば、ランニングの本は「できる人ができない人に向けて書いた本」が圧倒的に多い。新しいことを身につけるには当然のことだが、ちょっと前までできなかった人が書いた本は貴重だ。だから面白くて、何度も読み返してしまったのかもしれない。
私にとってフルマラソンは未体験ゾーンなので、ホノルルマラソンのあたりはもう「へ〜、そんなもんなんだ」と読んだだけだが、これからフルマラソンを走りたい人にはこれほど力強い参考書はないと思う。面白くて今回も爆笑してしまったが、ただ面白いだけの本ではない。
相変わらずこの本でもビールを飲んでばかりいるし、買い食いランなんてものも開発してしまうし、真剣にマラソンに取り組んでいる人は眉をひそめるかもしれないが、“このくらいでもいいんだ”と思えると気が楽になる。一見ぐたぐだやっているようだが、もちろん1年生でも金哲彦さんは登場し、Q&Aにも答えてくれているので死角はない*1。
ストイックなマラソン本に疲れている人、もっとゆるくランを楽しみたい人は必読です。
*1:なんと、「ビールがおいしくなる走り方」も伝授してくださっています