毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

時間をお金と思えば価値が変わる☆☆☆

ずいぶん前に探書リストにメモしていた本。出所がはっきりしないが、どこかで勧められて読もうと思ったのだろう。
著者はバブル期、都市銀行に10年勤めながら渡米を目指し、アメリカの弁護士事務所勤務を経てコンサルタントとして独立した人だ。ライフワークとして小説も書いていて、著書は多数。そんな結果を出してきた人が自身のノウハウを1冊に凝縮した、読み応えのある本だった。

この本のポイントはタイトルでわかるとおり、“その人に残された持ち時間を1時間=1円で考える”という独自のルールだ。そう考えることで、自分が使える時間と向き合わざるを得ない。

たとえば、30歳の人は260000T¥*1しか持っていない*2。しかも、毎日14T¥ずつ減っていき、稼ぐこともできないとしたら――。
ついつい時間は無限にあると思いがちだが、実は有限であり、減る一方なのだ。それを意識しなければすべての時間術は意味がない、と著者は断言する。そのために、もっとも敏感な“金銭感覚”に置き換えて考えるのがTIME YEN(T¥)。
たとえば、本を買う時に今までは価格と内容から価値を考えるだけだったが、ここに新たにその時間をかけて読む価値があるか、も考えるのだ。お金は稼げるが、時間は増やせない。だったら、「無条件に減り続けるT¥14をいかに無駄にせず、価値あるものにするか」が時間術なのだ。


あとがきに書かれているように、この本には時間術の「哲学」と、T¥の価値を上げるための「具体的な方法」の両方が詰まっている。本来、これは販売戦略上2冊に分けるべきものなのだそうだ。それを著者の「時間術とは技術であると同時に生き方である」というポリシーであえて1冊にしたそうなので、とてもお得な本と言ってもいいと思う。

だが、“死に近づいていく実感がなければ時間術ではない”という考え方といい、「いかに3秒を節約するか」という徹底的な時間節約の方法といい、非常にモーレツ感がただよっている。ビジネスバリバリ系が苦手な人にはちょっと強すぎるかもしれない。

長年時間を生み出すことに取り組んできた人にしか書けない内容も多いので、自分に必要なところだけ読む、という割り切り方でも充分価値があると思う。
特に、部下や上司とのコミュニケーションや、仕事の進め方などはすぐ使えそうだ。どちらかといえばビジネスパーソン向けの本だろう。
とはいえ、時間をもっと有効に使いたい、と思う人には学ぶべきところがたくさんある。私も気合いを入れてもらいました。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

名刺は名刺入れに逆に入れておく(P72)

上下ひっくり返して入れておくと回転させる必要がないので、速くてキレイな動作で差し上げることができる。

黒と青のペンを使い分ける(P80)

…私は事前に自分の質問項目を書き並べておいて、空いたスペースに、当日の打ち合わせ内容を書き込むようにしている。
この時私は、黒ボールペンで質問事項を書いておき、当日は青いインクの万年筆で書き込むようにしている。
すると、自分の質問事項と、相手の回答事項とがはっきり色分けされることになり…。

必ず意識しておくこと(P81)

私はどんな商談においても必ず目的と目標、そして投下予定のT¥を見積もっている…。

例:本を読む前に3つの指標を紙に書く(P116)

読書の目的−『辞表を出して次へ行け!!*3を書くにあたって、日本の事情を再検討する。
読書の目標−読者の価値になるようなヒントを最低2つ見つける。
T¥の目標−投下時間はT¥1までとする。
(中略)
目的と目標が明確になっていなければ「効果の最大化」を狙ったものとはいえない。
そしてもうひとつの…指標である「T¥の支払い」についての意識がなければ、それはあなたの人生にとって適切な行為だとはいえない。

T¥を貯金のように積み重ねる(P131)

我々はこうしてT¥をこつこつと積み重ね、¥を貯めるのと同じように大事にしていく必要がある。

時間を作るための戦略その2(P153)

何かを捨てなければならない。
…集中と選択とは、私に言わせれば、何かを捨てた上で残りを選択し集中するということだ。
何も捨てないで「優先順位をつけてがんばる」という人に仕事ができたためしはない。

「やりたいこと」はT¥で管理する(P161)

仕事量(リターン)が管理できない質のものなら、T¥で管理してしまえと私は割り切った。
(中略)
私はそうして、2時間を毎日の目標とし、年度の終わりまでに帳尻を合わせられるように管理している。もちろん、毎日毎日、目標費赤字を積み上げる。それを土日や休暇の時に一気に解消する努力をしている。
(中略)
たとえばTOEIC900点という目標か管理できない目標なので(自分が毎日TOEICにおいて何点の位置にいるかを知ることはできない)、そのかわりにT¥で管理する、つまり「毎日30分」という管理の仕方がとても有効なのだ。

あなたの頭がどれだけ整理されているかで決まる(P178)

相手の頭の中が整理されているかどうかは、その人の話す内容より、その話し方ですっかり伝わってしまうものだ。
言い換えれば、あなたのその案件に対する「信じ具合」は、あなたの説明の中身ではなく、あなたがどう説明するかによって伝わる。

3分で返信が書けないメールには予定を決める(P187)

3分で返信が書けないメール、つまり調べ物をしたり考えたりする時間が必要なメールの返信については、いつ各課時間を決めてその日の日程表に書き込んでいる。

*1:TIME YENと読む。T¥1=1時間をあらわす

*2:80歳まで生きると仮定する。さらに、生きていくために必要な睡眠や食事の時間が10時間取られると考えた場合の残り時間

*3:著書のひとつ。ここでは例としてあげられています