1冊をほぼ6ページで紹介してある。あらすじ、覚えておきたい名フレーズ、さらに著者による解説とポイントまとめがある。これを読むだけで、どんな本なのか概略がつかめる。歴史の授業などでタイトルと著者だけ知っている本も続々と登場し、「こんな本だったのか」と興味深かった*2。
また、古典はたくさんの出版社からさまざまな翻訳が出ていることが多いが、どの本を読んだのか明記されているし*3、他にどんな本があるのか類書も含めて紹介されているので入って行きやすい。
著者がどの時期に読み、何が心に響いたのか、その後にどう影響を与えたのかくわしく書いてあるのも興味深い。
いつ誰が紹介してくれたのかも書かれているのだが、私は高校・大学時代に古典は素通りしてしまったため、そういう環境にあった著者が少しうらやましくなった。
この本で著者に手取り足取り教えてもらえるので、文字通り座右に置いておき、1冊ずつ読むのも楽しそうだ。
読んでみたいがどこから手をつければいいかわからない、という人には格好の入門書。とりあえず読んだフリだけしたい、という人もこっそりどうぞ。
私のアクション:まず『論語 (岩波文庫)』を読んでみる
関連記事
読書日記:『勉強力』
読書日記:『京大・鎌田流 知的生産な生き方―ロールモデルを求めて』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
(P1)古典の読書4つのメリット
1.未来に対するビジョンが得られる
2.現代を読み解くキーワードが得られる
3.本質をつかむ訓練ができ、どうでもよいことに振り回されなくなる
4.過去の偉人の生きざまを追体験できる
孔子の思想を貫く道は「忠」と「恕」のみ(P4)
…「夫子の道は忠恕のみ」(『論語』里仁編15)という一句に出合った。孔子の思想を貫く道は、内なるまごころに背かぬこと(忠)と、まごころによる他人への思いやり(恕)であるという。
忠という漢字を見ると、物事の真ん中を心が貫いている。正しいか正しくないかを周囲の価値や利害に引きずられずに、自分の頭が考え自分で決めていく。知的正直(インテレクチュアル・オネスティ)といってもよいだろう。
(中略)
恕の方は、他人との関係を指している。思いやりはすべての人間関係の根底にあり、他者に対する貢献へとつながる。
落ち込んだ時は、他者への貢献を考える(P35)
周囲へ貢献した時に、人は必ず幸福になれるものである。他者を喜ばせ献身できるからこそ、自分の中に生きがいが生まれるのだ。
「生きがいを感じている人は、他人に対してうらみやねたみを感じにくく、寛容でありやすい」(『生きがいについて』神谷美恵子)
「遊び」の精神で「まじめ」に仕事を(P50)
「遊び」と「まじめ」の絶妙なバランス、この卓見を私も忘れないようにしている。科学者という立場は合理的・数理的な世界を基盤とする。しかし、クリエーティブな発想の現場は、実は「遊び」に満ちている。
マズローの5番目の欲求「自己実現の欲求」について(P54)
「最高に平穏であろうとするなら(中略)人は、自分自身の本性に忠実でなければならない」
すなわち、人間は5番目の欲求を満たすために、さらに努力を続けていくのである。
最初に思いつく常識的な考え方を、まず否定してみる(P118)
すると意外な世界が広がってこよう。ここでは当たり前の前提をあえてひっくり返して考えることがポイントだ。革命的な思想は、常に常識を覆すことから誕生するのである。
「構造」で考えてみる(P132)
たとえば人の話を聞く時でも、枝葉の内容にとらわれるのではなく、話全体がどちらへ向いているのかを考えて聞く。相手の話す内容すべてを聞く必要はなく、話の結論とそれに向かう論理の流れを追うのだ。これが相手の話を「構造的に」理解することなのである。
今の時間を大切にした人間だけが、成功への切符を手に入れられるのだ(フランクリン)(P180)
もはやさまよい歩くな。(中略)おまえの生の目的に向かって一路急げ(マルクス・アウレリウス)(P228)
天から与えられたものを活用する(P230)
「有りもしないものをすでに有るものと考えず、現に有るもののうちから最も素晴らしいものを選び出し、それに対しこう思ってみることだ。――これがなかったら、自分はどんなに探し求めることであろうか」(『自省録』マルクス・アウレリウス)
人生の指針を毎日書き記す(P232)
自省録というスタイルは、自分が反省し、なすべき行動を確定するために優れた方法である。実際に書くことによって、実行すべき内容が意識の上に定着する。2000年前の著者が行ったことは、誰でも簡単にできることで、メモ帳1冊、携帯電話ひとつあれば可能である。現代風に言うならば、著者はTo Do Listを手帳にひとつひとつ書いていったのだ。