仕事仲間に教えてもらった本。「すごく簡単なのにすごく効果があるから!」と言われて内容を聞いてみたが、簡単すぎてどう効果があるのかわからない、と思い取り急ぎ図書館で借りてみた。
確かに、簡単なのにパワフルなものだと感じた。
著者のバイロン・ケイティさんはさまざまな問題を抱えて療養施設に入っていた43歳のある朝、突然世界に対する自分の認識が変わっていることに気づく。その時から穏やかで幸せでいられるようになったという。施設を出たあとは、噂を聞いて訪れる人にその方法を教えるようになり、「4つの質問」の形にまとめられた。著者はそれを「ザ・ワーク」と名づけ、さまざまな場所でそれを求める人たちにそれを行ってきた。その後このワークは世界に広がっているそうだ。
やり方はいたって簡単。まず、許せない人を思い浮かべる。そして、その人について思いっきり批判する。その内容は紙に書き出しておく。
そして、次の4つの質問に答える。
- それは本当ですか?
- あなたはそれが本当だと確信していますか?
- そう考える時、あなたはどう反応しますか?
- その考えがなければ、あなたはどんな人になりますか?
この質問に答えていく。その後、さらに「入れ替え」を行う。“○○さん”を“私”に替えたり、逆にする。または“●●すべきでない”を“●●すべきだ”などに替えてみる。これはいろんなパターンがあるのでいろいろ試し、自分の心に響くもの、より真実と感じられるものを残す。
これだけだと何だかよくわからないが、この本にはたくさんの実例が出ている。ほとんどアメリカでの実例だと思うが、日本人が読んでも充分理解できるし、役に立つ例だ。
たいていは、「自分の思い込みに気づいて大笑いして終わり」になることが多いようだ。
この本を読んで思い出したのは、
結局、人生は自分との折り合いをどうつけるかだけだ
という言葉だった。出典がはっきりしなくて申し訳ないが、かなり前に読んだスピリチュアル系の本に出てきたと思う。自分が遭遇するすべての問題は、結局は自分とどうつきあうかの投影に過ぎない、という考え方だ。
この本の素晴らしいところは、そういったスピリチュアル系が苦手な人にも受け取りやすい点だ。ただ質問に答えるだけで、著者は何の押しつけもしない。「ワーク」のノウハウは公開されていて、実際にワークをする活動をしている団体は世界中にあるが、活動資金は寄付金でまかなわれているという。
非常にシンプルな質問形式は、ソクラテスや禅問答を思わせるそうだ。
こういったワークに慣れていない人は、本を読んだだけで自分でやるのはちょっとむずかしいかもしれない。
だが、実際にやってみて目に見えて効果や変化がなくても、少しずつ変化は起きているのだそうだ。
ものの見方やとらえ方が変わり、より自由になれる可能性を秘めている本だ。興味のある人はぜひ読んで、試してみてください。
私のアクション:新訳版を買ってまず自分で練習する
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
私たちが感じるストレスはすべて、ありのままの現実と対立することで起きるのです(P28)
自分の領域以外に踏み込まない(P29)
世の中のものごとには3つの領域しかありません。私の領域、あなたの領域、神の領域の3つです。…私やあなた、そのほか誰の手にも負えないものをすべて神の領域と呼んでいます。
ストレスのほとんどは、頭の中で自分以外の領域に干渉しようとした時に生じています。(中略)
この3つの領域を理解して自分の領域が守れるようになれば、想像もつかない自由があなたの人生に訪れます。今度ストレスを感じたり不快に思うことがあったら、頭の中で誰の領域に踏み込んでいるのか自問してみてください。そう問いかけることで、あなたは自分自身に帰ることができます。…他人の領域に踏み込んでいると気づくだけで、素晴らしい自己を取り戻すことができるのです。
現実=真実(P87)
真実とは、何であれ、あなたの目の前で今、現実に起こっていることです。あなたが好むと好まざるとに関わらず、今雨は降っているのです。「雨は降るべきではない」はただの考えです。現実においては、「〜すべき」だとか「〜すべきではない」はありません。これらは私たちが現実に対して押しつける考えに過ぎません。
入れ替え:3つの方法(P97)
ひとつの批判は
1.あなた自身に
2.相手に
3.反対の意味に
入れ替えることができます。この3つからいくつもの組み合わせを作ることが可能です。…元の文を入れ替えて、一番ぐさりと来る入れ替えを見つけてください。
こんな入れ替えも効果的(P101)
「私は二度と〜したくない」を、「私は〜してもかまわない」、さらには「私は〜するのが楽しみだ」に変えるのです。たとえば、「私は二度とポールと言い争いたくない」という文を入れ替えると、「私はまたポールと言い争ってもかまわない」「私はまたポールと言い争うのが楽しみだ」となります。
(中略)
同じ感情や状況が、たとえ考えの中であっても、ふたたび生じるかもしれないことを認めるのはよいことです。苦悩や不快さが問いかけを求める合図だとわかれば、あなたは不愉快な感情を実際に心待ちにするようになるかもしれないのです。
言葉の暴力なんかない(ある実例より)(P124)
「ただ、自分が聞きたくない真実を誰かに言われるというだけのこと。私は嘘をついたと誰かに言われたら、私は相手が正しいかどうか吟味してみます。言われたような状況でそれが見つけられない時でも、20年前だとかそういった別の状況で見つけます。そして、こう言ってみるの。“私は嘘つきなのね。あなたが言ったとおりだとわかったわ”こうすれば、私たちは共通の何かを見つけたことになります。相手は私が嘘つきだと知り、今や私もそれを承知しています。私は相手から自分が何者であるかという手がかりを知ることができます。これが自己愛の始まりなのです」