毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

個人事業主も使える、通帳でカンタン経理術☆☆☆

かなり前のビジネスブックマラソンで紹介されていた本。
著者は税理士で「資金繰りコンサルタント」の名も持つ人だ。中小企業経営者だった父の会社が倒産した経験から、中小企業を救うための簡単な仕組みを開発し、指導している。その内容を教えてくれるのがこの本だ。
読んでみると、“資金繰り”の悩みがない業種の個人事業主にも使える方法だった。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


私の仕事は基本的に売掛、買掛のないいわゆる「いつもニコニコ現金商売」だ。
だが、著者の勧める「1・3フォーメーション」を使えば、誰でもお金の流れが把握できる。中小企業の経営者には個人事業主とあまり変わらないレベルの人もいるようで、この本には正直言って「これで社長がつとまるの?」という驚きの例も。そういう人を対象に指導してきた結果できたメソッドなので、お金のリテラシーがほとんどなくても読めるし、やってみることができると思う。


この本で出色なのは、もちろん通帳を4冊使う仕組みもだが、下のメモにも書いた「お金を残せない社長の7つの習慣」や現金の引き出し方でお金との関係がわかる、という自己診断ができる点。恥ずかしながら私も7つのうちいくつかダメな習慣があったし、現金の引き出し方では青ざめた。ぴったり当てはまったからだ。
こんな簡単な方法で、自分の現在のレベルがほぼわかるというのはすごい。中小企業の社長さんを長年よく見てきた人だから書けることだろう。

「1・3フォーメーション」についても、とてもくわしく書かれている。本を読めばひと通りのことはできるようになれそうだ。
他にも、銀行とのつきあい方や緊急時の資金繰りの方法、売上がゼロになった時の会社の体力がどの程度あるか診断する方法など、経理にくわしくなくても会社経営の基本的なことはカバーしている。


仕事は好きだが経理が苦手、という起業家や個人事業主も多いと思う。どこから改善すればいいか、何から始めたらいいかわからない人にはお勧めの1冊。
私のアクション:仕事用の通帳を4つ作る


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

お金を残せない社長に共通する「7つの習慣」(P20)

1.飲み代を即金で払う
2.未精算のレシートが財布や鞄の中に常に眠っている
3.税金を払うくらいなら、とことん節税したいと思っている
4.値切るのが得意だ
5.クレジットカードはステイタスで選ぶ
6.銀行からお金を引き出す時は5万円の倍数
7.預金通帳の記帳のタイミングが不規則だ

預金通帳の記帳頻度は、社長のお金の興味に比例する(P44)

…お金を残す社長のほとんどはお金が大好きです。これは決して守銭奴という意味ではありません。自社の従業員やサービスを大事にするのと同様、会社を運営する資源としてお金を大切にしているのです。
(中略)
…お金を残す社長はお金の流れを重視しつつ、貯蓄とのバランスに気を配りながら事業を拡大していきます。そのため、現金や預金の動きには敏感であり、特に預金通帳の記帳には気を遣うのです。
たとえば、記帳を毎日(入出金の動きがほとんどない場合には1週間に一度など)することにより、お金の流れを意識しています。
仮に動きがないとしても、預金通帳を見ることで、現状どの程度の預金残高があり、今後どのような収入や支出があるのかを考えながら、今後の展開を検討しているのです。

資金繰りをよくするには(P69)

つまりお金は、収入から「貯蔵→支出」という過程を経て、会社の外部に流出した後、支出を上回るより大きな「収入」を得ることによって一巡するのです。
そして、この循環過程を経て、お金が徐々に殖えていくことが理想です。
資金繰りを自らの手でよくするためには、収入にフォーカスするのではなく、収入を得た後の「貯蓄」と「支出」をいかにしてコントロールするかに、重きを置かなくてはなりません。

資金繰りをコントロールする「シ・メ・テ」の法則(P75)

1.「シ」シンプル――お金の流れを単純にする
2.「メ」明瞭――――お金の流れを明瞭にする
3.「テ」定型化―――お金の流れを定期的かつ定型化する

預金通帳をメモ化する(P85)

…手ガネ(手元の現金)によるお金の出入りがあった場合には、鉛筆…で内容を小書きし、その痕跡を預金通帳上に残しておきます。
(中略)
メモする内容は「誰に」「どういった目的」で支払ったのか、などを自身のことばで明記する程度ですが、このひと手間を加えるだけで預金通帳上のお金の流れは、すべて色のついたお金※に早変わりするのです。
※色のついたお金=目的がはっきりしているお金。
例)経費、預金口座を通して行われる取引先への支払いや得意先からの口座入金など
(中略)
…預金通帳にメモする際は、ボールペンよりも簡単に訂正ができる鉛筆の方がよいと思います。
ボールペンで書かれたメモを横線や修正液で消すと預金通帳が汚れますし、税務調査の時に、このような訂正事項は何かと面倒です。

現金の引き出し方3パターン(P87)

特に資金繰りは、支出をいかにコントロールするかがカギです。
そのため、会社の支出パターンを理解しなくてはなりません。このパターンを見極めるための手がかりとして、現金の引き出し方について3つのパターンがあります。
・「イナズマ型」…預金通帳に入金があるたび、お金を引き出す
・「キマグレ型」…預金通帳の入金を問わず適当にお金を引き出す
・「パルス型」…月初、月中、そして月末などの一定時点に定期的かつ定額のお金を引き出す
イナズマ型やキマグレ型の預金通帳を持つ社長は、資金繰りについて問題意識を高める必要があります。

用意する口座は4つ(P102)

1.会社の売上収入を専用に預け入れる「売上収入口座」
2.運転資金の支払いを担う「運転資金口座」
3.突発的な支出や納税に備える「納税緊急口座」
4.将来の投資に備える「将来投資口座」
つまり4つの預金口座を、収入口座ひとつに対し、3つの支出口座で構成することから「1・3(イチ・サン)フォーメーション」と呼んでいます。

「1・3フォーメーション」導入の5つのステップ(P104)

1.売上収入口座と運転資金口座を開く
2.納税緊急口座を開く
3.将来投資口座を開く
4.資金シフトのスケジュールを確定する
5.月々の資金繰りチェックを行う