毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「サッカー日本代表」躍進の陰に食事あり☆☆

サッカー・日本代表チーム(サムライJAPAN)の専属シェフとしてほとんどの海外遠征に帯同する西芳照さん。2004年3月から専属シェフとなり、ワールドカップ南アフリカ大会を中心にご自身の仕事についてまとめられたのがこの本だ。

家族が借りてきたのだが、以前読んだNumber「アスリート最強の食卓」特集の記事で西さんの仕事ぶりが紹介されていて、興味があったので読んでみた。
裏方であるチームスタッフのお仕事についても広く言及されているので、選手だけではサッカーはできないんだな、ということがよくわかった。



専属シェフの仕事は、大きく分けて

  1. 衛生面の管理
  2. 食事面でコンディション作りのサポート
  3. おいしく食べてリラックス、メンタル面のサポート

になるだろうか。

海外旅行に行った時、現地の食事が合わずに苦労した人は多いはずだ。また、地域によっては水が合わずにお腹をこわすこともある。
日本代表チームはそのようなことがあってはならないので、まず安全で、さらに栄養面も考えられた食事を提供するのが著者に求められる仕事だ。

そのため、日本から大量の食材を持っていくそうだ。その種類と量の多さには驚く。さらに、遠征先の国の事情はさまざま。宗教上の理由で手に入らないものやできないこともあるので、仕事はまずその国の情報集めから始まるという。
しかも、働く場所は宿泊するホテルの厨房で、その都度ホテルのスタッフ(もちろん現地の人)といっしょに仕事をする。3度の食事以外にも試合前の軽食やおにぎり、お弁当まで作る徹底ぶり。毎日5時には起きて寝るのは12時頃、時差ぼけを感じているヒマもないというから壮絶だ。
好きじゃないとやっていられない仕事だなあと思う。

でも、続けていらっしゃるのはきっとそれだけやりがいがあるのだろう。大きな責任はあるが、経験を積むことで納得いく仕事ができる手応えがあるようだ。2010年の南アフリカ大会で食事面のサポートがうまく行ったのも2006年ドイツ大会の経験があるからだ、と書かれていたが、そこにはシンプルだが続けることでしか得られないものを感じた。

著者の持つホスピタリティとプロの料理人としての矜持。それが長年この仕事を続けられている資質なのだと思う。
選手のコンディションや精神面を考えた数々の工夫には、サッカーファンならありがたくて涙が出るのではないだろうか。


全員ではないが、主な代表選手の食べ物の好みや考え方、コメントなども出てくるので、ファンにとっては究極の舞台裏本かも。
アスリートの食事に関する話もあり、レシピも一部公開されているのでそういう本として読むこともできる。
ただ、私は著者の人柄が感じられるいい本だと思ったが、やはりサッカーファン向けの本と考えた方がよさそうだ。

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

いつもスマイル!(P70)

何があってもいつも笑顔で楽しく働こう、と自分に言い聞かせます。不満を言い出したらきりがありません。逆境になればなるほど、「これを克服するのはおもしろいぞ!」と楽しむことです。
不思議なもので、作る私が疲れていたり、不機嫌だっりたりすると、出す料理にもそれが出てしまうのです。どこか手抜きがあったり、おざなりだったりするのはやはり料理人として自分が許せません。ましてや選手のみなさんが食べて元気が出るような料理を出さなくてはならないのに、その料理で私の疲れが伝染するようでは私が帯同する意味がありません。