毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

知らないフランスが見えてくる?☆☆

一緒に旅行に行く家族が、前もってフランスについて勉強しようと借りてきた本。さらっと読んでみたが、フランス好きの私でも知らなかった国や国民の姿が書かれていて、なかなか面白かった。


著者は時事通信社の特派員としてパリに滞在し*1、記事を書き続けてきた人だ。どっふりつかってしまうことなく、日常の細かいところまで観察して書かれた文章はバランス感覚が素晴らしい。

しかしまあ、フランスという国は、とあきれることもたくさん出てくる。「トンデモ」などという刺激的なサブタイトルがついているが、確かに読めばつけたくもなるよなあ、と妙に納得。

フランスでは一般庶民と貴族の雰囲気が残るエリートクラスに分かれている。一般庶民はバカンスのことしか頭になく、「権利」はしっかり主張するが「義務」ということばは通用しない。この国ではがんばるのはエリートだけのようだ。
一般庶民クラスかエリートコースかは高校を決める時にほぼ決まってしまうという。ここで数少ないエリートコースの学校に行かなければ、その後のチャンスはないそうだ。
それにも驚いたが、もっと衝撃だったのが逆のコース変更の道も閉ざされていること。
エリートコースに進んでみたものの合わず、たとえば家具職人を目指したいと思っても、フランスでは認められない。
職業高校出身じゃないとダメ」
で終わってしまうそうだ。
日本も選択の自由はあまり多くないと思うが、10代ですべてを決めなくてもいい分、フランスよりはまだ救いがある。

他にも、政治的な背景がくわしく説明されており、フランスはただのワインと芸術の国ではないのだ、と意識を改める機会になった。
残念なのは出版年が古いこと。特に政治的なことはあまり古いと評価が変わってしまっていたりするので、こういう本がまた出されるのを期待したい。

*1:1995〜1999