角川書店(角川oneテーマ21)(2010/11/10)
¥760
なぜなら、この本は「お客さまとの関係の作り方」に明確な指針を示してくれるからだ。
著者の[http://www.kosakayuji.com/profile.php:title=小阪裕司さん]はいろんなところでお名前を目にしていたが、実は著書を読むのは初めて。
とてもわかりやすく、具体例も豊富で「これならできそう」と思える内容だった。
簡単に言えば、「値引き合戦などしなくても、お客さまにリピーターになっていただける、もっと言えばファンになっていただける方法がありますよ」ということを教えてくれる。こんな内容を本で、しかも新書で1000円以下で買ってしまっていいんだろうか、と思った。
そのポイントは「絆作り」。実際のエピソードが出ているのだが、ある牛乳販売店の話は特にすごい。
ある日、コーヒー牛乳を誤って予定の10倍発注してしまったそうだ。店主はDMでそれを素直に書き、発注ミスをした自分たちを助けて欲しい、と訴えた。
すると、続々と注文が入り、何と完売したのだという。
これが「絆」の持つ強さなのだ。
何をすればいいのか、どこから手をつければいいのかもきちんと説明してくれている。むずかしい理論や分析の数字などもなし。
強いて言えば、考え方や視点を変える、ということだろうか。
たとえば、顧客満足度を上げることを最優先にしがちだが、著者によればたとえ満足度が高かったとしても、それがリピートにつながるとは限らないのだそうだ。
その理由は、ぜひ読んで確かめてください。
どの業種にも使え、個人ではない法人営業でも実績があるそうだ。お客さまとの関係作りに悩む人必読です。
前作『「買いたい!」のスイッチを押す方法』も読んでみよう。
私のアクション:「自己開示」を意識する
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
「ふたつのハードル」理論(P28)
第1のハードル:「買えるか、買えないか」
第2のハードル:「買いたいか、買いたくないか」
わかりやすく言えば、買いたいものが買えるなら買う。買いたいものがあっても、買えなければ買わない。買いたくないものは、たとえ買えても買わないということだ。
「人間は動機が発動しなければ行動しない」という原則(P35)
…まず売り手は自分が売りたいものを動機づけなければ商売は始まらないわけだし、もし自分の商品が売れていなくて悩ましいとすれば、顧客が買いたくなるよう動機づけをしなければならないわけだ(以下略)。
満足は絆を生まない(P103)
決め手は「情緒」だ(P108)
お客さんが、消費行動において情緒的な体験ができるかどうかにかかっている。
ここで言う消費行動とは、購買だけでなく、その前後の行動もすべて含めたものだ。買ったものを使ってみるとか、人に口コミするとか、それらをひっくるめて消費行動というが、その消費行動全体の中で、どれだけ情緒的な体験ができるかなのだ。
裏返せば、情緒的な体験をさせてあげることで絆が生まれる。
情緒が絆を生むのである。
共感を得るには(P126)
共感とは音叉が共鳴するようなものだから、共感してもらいたい側に何もないと、共感は起こらないのである。
したがって、お客さんに共感してもらうためには、こちらの側に何かがなくてはならない。その「何か」とは、経営理念やミッション、我が社の存在意義、事業目的、ヴィジョン、やりたいこと、成し遂げたいこと、こだわり、いきざま、さまざまあるだろうが、そのどれでもよい。
どれでもよいのだが、なければならないのだ。
お客さんは具体的なことからキャッチする(P131)
抽象的なことしか伝わらないのではもったいない。そして、具体的なことをやってる会社は、それを具体的に語るべきなのである。