毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

大人になっても脳は成長させられる☆☆☆

少し前に読んでいた本*1に紹介されていて、タイトルに惹かれたので読んでみた。タイトルに偽りなしの、役に立って面白い本だった。


著者は東大准教授で、脳の仕組み、特に海馬について研究を続けている人だ。“脳細胞は大人になったら新たに増えることはなく、死滅して減るだけ”という通説があったが、著者らの研究によって、脳の一部*2で、いくつになっても新たに細胞が生まれていることが発見されたという。
ここまで読むと、脳科学の本が好きな人は「池谷裕二さんと似ているな」と感じるかもしれない。確かに、同じ東大だし、本で見る限り、内容はかなり近そうだ。この本も復習として読める部分がたくさんあった。

大きな違いは、その読みやすさだ。池谷さんの本は「理系の、頭のいい人が書いた本」という印象で、文系の私はあの文章に対応できる自分になるのに少し時間がかかるが、この本はサイエンスライターが書いたの?と思うくらい読みやすいのだ。これは特筆すべきことだと思う*3


全編通して書かれているのは、一生増えていく脳細胞もある、という解説と、具体的に脳細胞を増やすノウハウだ。これがまあ、みごとに「長生き健康法」と同じなのだ。体の健康=脳の健康、ということだろう。
骨密度を高めて「骨貯金」をするのと同様、神経細胞になる前の幹細胞を増やして「脳貯金」することも可能だという。

ひとつひとつはむずかしいことではないが、知っているのと知らないのでは、何十年かあとの脳の状態が大きく変わりそうだ。
脳の将来が不安という方や、ぼけたくない人、アンチエイジングしたい人はぜひ読んでみてください。残念ながらこちらも絶版なので、図書館でどうぞ。
私のアクション:“当たり前の生き方”ができているか注意する
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

新生ニューロンは可塑性が高い(P27)

新生ニューロンが多ければ、「いい情報」は増幅して伝えられることになり、「嫌な情報」は減らして伝えられることになる。これによって脳回路を流れる情報がより望ましいサイズで伝えられることになるわけだ。また、新生ニューロンが多いと、海馬の機能が大きく活性化する。

もし脳の衰えが気になるなら(P29)

私たちは自ら進んで変化を求め、自分の「安全地帯」を踏み越えていかねばならない。いつまでも頑固に「自分のやり方」にこだわっていては進歩がないし、いつか周りの変化にもついていけなくなる。「自分にはこれしかない」という思いから一度離れてみれば、そのほかにもいろいろな方法があり、いろんな可能性があることに気づくはずだ。それに気づき、自分で「自分のワク」を越えていく必要があるのだ。

シナプスが減ること」は必ずしも悪いことではない(P52)

必要なものも不必要なものもどれもこれも回路を延ばしてしまったら、誰だって混乱する。ぼうぼうに伸びてしまった雑草を取り除いたり、充分に覚えてしまったところを刈り込んだりする作業は必要不可欠なことなのだ。

新生ニューロンが多いと、海馬の情報処理能力がアップする(P70)

新生ニューロンが多いと、入ってきた情報を、より柔軟に変化させ、より適した形にして伝えることが可能になる。そして、情報を受け取った部位もそれによってより望ましい力を発揮することができるようになる。
つまり、側坐核に増幅した情報が伝わればやる気のアップにつながり、帯状回前部に増幅した情報が伝われば幸せ感のアップにつながる。前頭連合野に増幅した情報が伝われば思考力がつく。ストレス情報は減らした形で扁桃体視床下部に伝わって、不快な記憶をことさら高めないように働く――こうした「効果」が期待できるのである。また、もちろん記憶を作る働きも高まって記憶力もアップする。言ってみれば、ニューロンが新しくなったたことによって海馬の情報処理能力が底上げされて、ここを情報の拠点とするすべての部位にいい影響がもたらされるようになるわけだ。

扁桃体と海馬の綱引き(P73)

…何らかのストレスにぶつかった時、この両者は頭の中で綱引きを始める。扁桃体が優勢なら「どうしよう、どうしよう」と不安が膨らむ一方になり、海馬が優勢であれば「大丈夫、何とかなる!」という方向へ考えることができるようになるわけだ。
…この綱引きは、どちらかといえば扁桃体優位で勝負が進められることが多い。とりわけ、「負けグセ」がついてしまっている人は、物事を悪い方へ悪い方へかと考えてしまう傾向があるようだ。
だから、海馬側に加勢をすることが大切なのだ。海馬が元気な状態であれば、ストレスを克服した時の記憶をスッと呼び出してきてくれ、ともすればネガティブな方向へ走ろうとする扁桃体に「待った」を書けることができるのではないだろうか。
(中略)
新生ニューロンが海馬において活発に生まれていれば、この勝負を優位に展開することが可能になることだろう。

新生ニューロンの5つの効用(P77)

1.記憶力がアップする
2.思考力、発想力、意欲などを高める
3.嫌な記憶を消す
4.ストレス抑制作用がある
5.適応力を高める

発芽玄米をたくさん食べてもGABAは脳に届かない(P86)

このGABAという物質は「脳血液関門」を通れない。いくら食べても、それが脳に届くことはないのだ。

GABAニューロンを活発にするには(P87)

(=GABAを作るニューロン
…頭をよく使うということだ。
記憶をしようとしたり勉強しようとしたりして盛んに海馬を活動させていれば、必然的にGABAニューロンが活性化して、GABAをよく分泌するようになる。また、GABAニューロンをそのような状態にするには、シータ波という脳波を当てることが有効であることもわかっている。

回路が変われば「新しい可能性」が生まれる(P126)

…新しい回路がつながり、新しいネットワークができたということは、その人に新しい「可能性」が生まれたということでもある。
これは、新たな道が通ったようなものだ。
何らかの目標地点へ行くのに、今まで近道がなくてずっと遠回りをしていたのが、思いがけないところに道ができて、目標までスッと行けるようになったような光景を想像して欲しい。
そういう通り道の変更は、脳の中ではしょっちゅう行われている。時には何の脈略も関係もないと思っていた道と道が突然つながって、今まで考えもつかなかった到達方法が浮上するようなこともある。ひらめきやアイデアが浮かぶのはこういう時だ。

「幹細胞=(ニューロンのタマゴ)貯金」をしよう(P144)

大脳の神経幹細胞はもちろん、海馬の新生ニューロンも、もとはといえば幹細胞という「ニューロンのタマゴ」だ。この「タマゴ」を今のうちに増やそうという考え方だ。よく、「骨粗鬆症の予防にコツコツと『骨貯金』をしましょう」といわれるが、これと同じだ。
幹細胞、特に新生ニューロンになる海馬の神経幹細胞は年齢と共に減る。だから、年をとってから慌てないように、今のうちから増やしましょうというわけだ。
貯金のしかたは「頭を使う作業をする」ということになる。
(中略)
…「1日に1回は算数の問題を解く」とか「1週間に1回は外国語の勉強をする」とか「1ヶ月にひとつは何か新しいことを始める」といった具合に、頭を使う習慣を自分に義務づけてしまうのだ。

「いつもと違う刺激」を自分自身工夫して作る(P149)

では、どのようにして刺激を生み出せばいいのか。
やはり何より肝心なのは、あなたの生きる姿勢だ。
たとえば、どんな小さなことでもいいから、何か今までの自分の殻を破るような行為をする。ほんのちょっとでいいから、これまで自分が納まっていたワクから一歩踏み出してみる。「小さな冒険」を試みる気持ちを、日常生活においていつも抱いている姿勢が大切なのだ。

「当たり前の生き方」を「当たり前にできている」ことが大切(P150)

あなたは「早寝早起きです」と胸を張って言えるだろうか。
あなたは朝食をきちんと摂っているだろうか。
あなたは自分の足を使ってどれだけ歩いているだろうか。
あなたは毎日、好きなものを好きなだけ食べてはいないだろうか。
あなたの睡眠時間は充分足りているだろうか。
あなたは「家には寝に帰るだけ」になってはいないだろうか。
あなたはいつも疲れを翌日に持ち越してはいないだろうか。
(中略)
「脳のリズム」に逆行するような生活を送っていては、脳に疲れを溜め、その機能を低下させてしまうことは目に見えている。
だから、脳を活性化するには、そうした当たり前の生活が当たり前にできていることが、さしあたっての前提条件となる。

運動で新生ニューロンの活動が高まる(P156)

…あまり激しいスポーツになると、かえってストレス・ホルモンの分泌を促進してしまう。だから、あくまで「適度」な運動を心がけることだ。
…新生ニューロンは生まれてから1人前になるまでに約1ヶ月の時間を要する。だから、できれば1ヶ月以上継続できるような運動をすることが望ましい。

脳にいい食事:「プチダイエット」をする(P160)

…脳は満腹の状態の時よりも少しお腹が減っているくらいの時の方が旺盛に活動する。それに…BDNF(=脳由来神経栄養因子)はカロリー制限をしている時の方が1.5倍も出ることがわかっているのだ。
つまり、多少空腹を感じるくらいの状態の方が、新生ニューロンも活発に機能するということになる。

脳には「目に見える目標」が必要(P168)

…目標に向かって動き出した時、脳の中ではすでにドーパミンが出始めている。達成した時の快感を予測して、快感ホルモンが分泌されるのである。
(中略)
※目標を設定する際のポイント
ひとつは、できるだけ「目に見えるような形」で目標を設定することだ。視覚情報を伴う形で「目標」が設定されると、その目標がより深く脳にすり込まれる。その結果、より脳のやる気を引き出すことができるのだ。
(中略)
もうひとつは、「その目標をクリアした暁にはこんな素晴らしいことが待っている」というご褒美をつけることだ。その先に何らかの「報酬」が見えていると、脳はさらにやる気になり、目標に向かって邁進するようになる。

*1:すみません、メモを忘れました…

*2:具体的には海馬の歯状回

*3:池谷さんの本も好きなんですけどね