どれか忘れてしまったが、最近読んだ本で紹介されていた。深く考えずに図書館で借りたら、ぎっしり詰まった文章にちょっとひるんだ。だが、読んでみるとあまりに面白いので、するすると読んでしまった。
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世の中はどんな風に変わっていくのか。パラダイムシフトの仕組みをここまではっきり説明している本は他にないだろう。しかも、この本は16年前に出版された本の改訂版なのだ。今だからこそおぼろげに見える未来が、岡田さんはすでに16年前に見えていたことになる。
この本の内容のほぼ全部が衝撃的だったが、それをひと言で表しているのが堺屋太一さんの「やさしい情知の法則」だ。
「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる」(P30)
これで、世の中の仕組みの基本的なところは説明できてしまうのではないだろうか。
今までは「モノがあふれ、時間が足りない」時代だったが、これからはモノが少なく、時間があふれる社会になるという。
そして、若者の考え方が「これからのトレンド」になるのだそうだ。
それが、この本で展開されている「貨幣経済社会から評価経済社会へ」というパラダイムシフトなのだ。
「いかに人に評価されるか」がその人の価値となる。
今の若者は科学も、政治も信じていない世代。それでも、未来は明るい。
これからはすごい変化を体験できる貴重なチャンスであり、私たちの前にはまったく新しい世界が広がっているのだそうだ。
きっと、小さいことひとつひとつは大変だったり辛いこともあるのだろうが、大きな流れとして「こんな体験めったにできない」というワクワク感があるのだろう。
これから先に辛いと感じることがあったら、これを思い出そうと思う。
他に「近代的自我」の問題についての話もとても面白かったのだが*1、うまくまとめられないので、興味のある人はぜひ読んでみてください。
知的好奇心を刺激してくれる良書。前後して出ている本が何冊かあるので、合わせて読みたい。
私のアクション:自分の多面性を認めて活かす
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
ある時代のパラダイム(社会通念)は(P31)
「その時代は何が豊富で、何が貴重な資源であるのか」を見れば明らかになる。
実際に未来を予測しようとする際にもっとも大事なのは(P33)
「今の時代と未来では、どんな価値観の違いがあるか」ということをはっきりと見極めること。
もっとも大事なもの=「今の自分の気持ち」(P47)
この「自分を大切にする」というのは、現代の若者を語る時の重要なキーワードです。
これからの評価経済社会で幸せに生きていくためには(P245)
軽やかに色を変える能力が一番大切になってくる。
(中略)
さまざまな価値観があふれる中で、自分の気分や状況、立場、好みなどなどによって、いくつかの価値観を選択すること。
(中略)
そのひとつひとつの価値観の中には、「いわゆる」なものがあっても、誰か有名人のものまねがあってもいいのです。それよりも全体として自分の感性に合うように、いくつもの人格を持ち、自分なりに使い分けることが大切。
これからの評価経済社会では自分の気持ち、つまりワガママが大切(P250)
自分の気持ちのハッキリしている人は、いきいきと暮らせる。いかにして、合法的にほしいモノを手に入れるかと同様、いかにして社会の中で平和にワガママを通すかが勝負ともいえる。
そのためには、自分のワガママを通す代わりに他人のワガママを認める、という考え方が必要。
*1:「私とは何だろう」というのが「近代的自我」の象徴的な悩みですが、岡田さん曰く「現代は情報が多すぎてそれを考えるのは無理」だそうです…