そう言えば、前に買った本があったぞ、と思って出してきたのが泉正人さんのこの本。このブログでは『「仕組み」仕事術』などを紹介しているが、泉さんはお金に関する教育活動に力を入れられていて、本もたくさん書かれているのだ。
このタイミングで読めてありがたい、とてもわかりやすい本だった。
「はじめに」にこの本のコンセプトが書いてある。
本書の目的はズバリ、
「豊かで不安のないライフスタイルを送るための、正しいお金の知識を身につける」
ということです(P8)。
やはり、この本でも基本は「収入以下で生活すること」。それも、2割を貯金、2割を自己投資にあて、残り6割で生活しよう、というかなりシビアなもの。でも、お金を貯めること=安心を貯めることなのだ。
泉さんご自身も、最初は6割で生活するのは苦しかったそうだが、このルールだけは守る、とがんばったという。やはり何事も習慣化させることが大切だ。
こういった日常の見直しはもちろんだが、特に素晴らしいと思ったのは大きいお金の使い方についてもきちんと説明してくれていること。
家を買うべきかどうかと、生命保険に入るかどうか。
この、お金に関する大きな疑問を、シンプルに判断する方法が載っているのだ。
「保険はマイホームの次に高価な買い物である」として、再考を促している。生命保険よりも損害保険を考えるべきとも。
そして、家を買うか、借りるかの基準として示されているのは「利回り」と「資産価値」。とてもわかりやすいので、興味のある方はぜひ読んでみてください*1。
どちらも感覚や感情ではなく、明確な指標とデータがあるので、わかりやすいし判断もしやすい。
さすがは投資を手広くされている泉さんだ。
支出の管理も家計簿だけでなく、自分のお金の使い方のクセを見るために、損益計算書を作ってみることを勧めている*2。このあたりもやはり経営者ならでは。
1円2円を節約するような近視眼的な考え方に陥ることなく、バランスよくお金についての知識が身につく本。老若男女を問わず、すべての人にお勧めです。でも、できれば若いうちに読んだ方がいいですよ。
私のアクション:収入の2割を貯金する
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読書日記:『仕組み」整理術』
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
お金を稼ぐ能力と、お金を維持管理する能力はまったく別(P28)
この点を正確に理解していないと、私たちは豊かさを「稼ぎ」や「年収」だけで判断するようになってしまいます。そして収入さえ増えれば問題はすべて解決する、と錯覚してしまうのです。
「2割貯金」のルール(P51)
まず最初に、収入を「2:6:2」に分けます。
(中略)
そして、それぞれのお金の使い道を、次のように決めます。
・収入の2割…貯金
・収入の6割…生活費
・収入の2割…自己投資
この「仕組み」に従って収入の2割を貯めていると、毎年2割ずつ貯まっていくのですから、5年経てば年収分の貯金ができることになります。
(中略)
…「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)によると、2人以上の世帯が貯蓄に回す金額は、平均で「年収の8%」というデータが出ていますが、それを20%まで持っていくことが、お金の習慣をよりよくするためのポイントになると思います。
貯めたお金で買える「目に見えない」もの(P57)
それは「安心」です。
たとえば3000万のお金には、3000万円分の安心がついています。
仕事に対する不安、けがや病気に対する不安、リタイア後の生活など将来に対するいろいろな不安。こうした不安を和らげ、解消する手段のひとつとして、お金がある。
何が「浪費」で何が「投資」か考えてみる(P67)
私の考えるルールとは、私たちがふだん使う小さなお金を、使い方によって「投資」と「消費」と「浪費」の3種類に分けて考えるということです。
・買ったものが、払った額以上の価値がある=「投資」
・買ったものが、払った額と同じ価値がある=「消費」
・買ったものが、払った額以下の価値しかない=「浪費」
お金を正しく使うのは簡単(P70)
まずは「浪費」を減らして「投資」を増やしていくこと。
お金を払って得るものの「本当の価値」を判断して使うだけで、お金は正しく使われていき、そして増えていくのです。
無駄な出費を減らす方法(P75)
欲しいものを見つけた!
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STEP1 その場では買わずにメモする
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STEP2 1週間待つ
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STEP3 まだ欲しければ→買う
欲しい気持ちがなくなれば→買わない
「欲しいものと必要なものを区別する」
「欲しいもの」が本当に「必要なもの」であるかどうかは、また別の話です。
(中略)
1週間経っても欲しい気持ちに変わりがなければ、それは「必要なもの」と考えて購入するようにしますが、1週間経って欲しい気持ちが少しでも薄らいでいるようなら、それはただの「欲しいもの」だったのです。