毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

知って見るとさらに楽しめる☆☆☆☆

先に読んだ『セーヌで生まれた印象派の名画』が面白かったので、同じシリーズのこちらも読んでみた。有名の画家がたくさん取り上げられていて、初めて知ることも多く楽しんで読めた。


著者は倉敷の大原美術館館長をつとめる人だ。
この本はもともと小学館版『週刊 西洋絵画の巨匠』全50巻に連載したそれぞれの画家論から、絵の見方について役に立つと思われるものを選び、書き直して1冊にまとめたもの。8つのテーマに分けてそれぞれの視点から解説してある。

表紙にもなっているフェルメールダ・ヴィンチルノワールなど誰でも知っている画家から、ボス、ミレイ、モローなどきちんと見るのは初めての画家まで時代も画風もさまざまに取りそろえてあり、飽きない。
また、ビジュアル新書というだけあって、カラーの絵がたくさん収められているのもうれしい。

絵は画家のことや時代背景などを知らなくても楽しめるが、知っていればもっと深く楽しめる、というのがよくわかる。誰の影響を受けたのか、元のモチーフになる絵がどれなのか、なぜゴッホが模写したミレーの絵が左右反転しているのか。
思わず人に話したくなるような面白い話がいっぱいだ。

個人的には『齋藤孝のざっくり!美術史』で取り上げられていたものの、白黒でよくわからなかったヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」がカラーで見られ、齋藤先生がうまい画家の筆頭にあげた理由がよくわかったのがうれしかった。

ただ、モリゾが好んで家族や身近な女性を描いた、とされるのは印象派特集にあった説とはまったく違うので少し違和感があった*1。画家本人の日記や手紙でもなければ、想像するしかないのでこういう解釈の違いも生まれるのかもしれない。

絵のことはよくわからない、という人も面白く読めるし、いろんな画家のさまざまな絵を見ることで、自分の好きな絵を見つける手がかりにもできそうだ。
この新書のアートシリーズはまだ点数が少ないが、今後に期待。
関連記事
読書日記:『セーヌで生まれた印象派の名画』
読書日記:『齋藤孝のざっくり!美術史』

*1:そちらでは当時職業としての画家は女性はめずらしく、結婚した女性は自由に外に出られなかったため、やむを得ず家族や庭などを描いたとされていました