日垣さんが考える「つながる」には、この本では次の5つの意味があるそうだ。
1.ある本を読んで、次の本へと「つながって」いく読書の愉楽。
2.書物を通じて、人と人が「つながって」いく醍醐味。
3.ネットやリアルの読書会などを介して、本来出合わなかった名著と「つながる」贅沢な時間。
4.本を読んで、無知または未知または無関心だった多彩な現実世界と向き合う「つながり」。
5.自己目的の読書にとどまらず、何が起きても不思議ではないこの時代に、良かれと思ったことを即行動に移せるかどうか、という「つながり」方。
まえがき(P6)より
また、この本のテーマは
自分一人ではなく、みんなでおもしろがる読書術
だそうだ。
日垣さんの考える「おもしろい」には7つのカテゴリーが。
1.むやみやたらとおもしろい
2.背伸びができておもしろい
3.「いろいろな人がいる」ことを学べるからおもしろい
4.知的好奇心を満たせるからおもしろい
5.人生の先達に学ぶ近道だからおもしろい
6.世の中を広く知ることができておもしろい
7.ありえたかもしれない人生を味わえておもしろい(P82)
日垣さんご自身の本の読み方もくわしく紹介されているし、第4章では読書会を開く具体的な方法がリアルとウェブ上の2パターン紹介されている。懇切丁寧なので、これを読めば即読書会が開けそうなくらいだ。
読書は基本的にひとりで読むものだと思っていたが、こんな風につながるのも面白そうだ、と思えた。
特に「ウェブ読書会」は初めて知ったが、ポイントを押さえればとても内容のあるものにできそう。読書会を主催したいと考えている人には、この章だけでも充分価値があるはず。
日垣さんの本の読み方はプロなので、素人がそのままやろうと思ったら大変なことになるが、以前からの通り、やはり「本は借りずに買え」「付せんは貼りすぎるな」派。なのにやっぱり図書館で借りて付せんを貼りまくってしまった*1。
役に立つことは山ほどあるので、下のメモをご覧下さい。
また、巻末付録の「読まずに死ねない厳選100冊の本!」が素晴らしい。ジャンルもさまざまなので、自分の世界を広げるヒントになりそうだ。
ブクログにこの100冊+αを登録したので、内容が知りたい方はぜひyasukoの本棚もどうぞ*2。
ワンランク上の本の読み方がしたい人や、自分の読書パターンを破りたい人にはヒントがいっぱいです。
私のアクション:バカ本でも、捨てる前に全ページめくってみる
関連記事
読書日記:『こう考えれば、うまくいく。』
読書日記:『知的ストレッチ入門』
読書日記:『すぐに稼げる文章術』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
著者の「古典」の定義(P26)
1.著者が亡くなっている
2.書かれてから50年以上たっている
3.自分が生まれた時すでに出ている
読みながら抽出するポイント(P36)
1.3時間かけて、「おもしろい!」と思う箇所を10ヵ所
2.「人と話し合いたい」あるいは「自分で考えたい」というテーマや問題点3ヵ所
3.「許せない、これは絶対違うと言っておきたい」と主張したい箇所を1ヵ所
著者の速読のやり方(P37)
冒頭の20ページと目次はじっくりと読むようにしています。冒頭でアウトラインをつかみ、目次で読むべき箇所を選別し、必要なところだけ読んでいくというやり方です。
人間には「桁違いのものを設定すると意外にできてしまう」性質がある(P37)
※読みたい本100冊を1週間で読む、と決めてしまう
まず、解決に向かってすさまじい勢いで前頭葉が動き出します。大脳が通常とは違ったパラダイムに変わると、発想の転換をせざるをえなくなり、言い訳や迷いを次々と駆逐し、しまいには「そもそもどうやって読もう」と一気に考え出します。この時、思いがけない智慧が生まれ、それがあなたの「速読法」になります。
新しい分野は2ステップで(P40)
なじみのない新しい分野について読む場合は、最初の1冊をしっかりと読むことです。その本にものすごくエネルギーを注げば、2冊目以降は短時間で読めるようになります。
1冊につぎ込む集中力や時間は、その分野の知識や基礎となるので、必ず2冊目以降でリターンがあります。
全部を読まない、全部を記憶しない(P41)
…「1行目から最後まで、全部頭に入ったら大変だ!」という意識をくれぐれも持って頂きたいと、強調しておきます。1冊で10の「肝要なこと」がしっかり脳に刻まれれば大成功だと思ってください。
なぜなら、記憶力がよすぎると、大切なところも大切でないところもそのまま頭に入ってしまいます。
ベストセラーで世の中の流れがわかる(P47)
一般的にベストセラーとは、ふだんあまり本を読まない人たちまで買うからベストセラーになるわけで、大量の本を読む人間の嗜好とはズレていることが多いのです。「世間」を大いに反映しているからベストセラーになっているとも言えます。
最新作、代表作、処女作を読む(P50)
気に入ったひとりの著者を選び、作品を読破していくという方法もあります。多作の著者であればそれだけでたくさんの本が読めますが、あまりにも多作な場合はまず「最新作、代表作、処女作」を読むことです。
(中略)
すると、「今現在、基本、原点」という3つの見地で把握できます。
時間制限しながら買う(P56)
目的を持って本を探すという時は、漫然と探さずに、時間を意識した方がいいでしょう。「2分!」または「今日は30分」と、あらかじめ制限時間をきめることです。
(中略)
本に限らず、何かを探す時は、何分何秒かかるかを気にかけると、いろいろな訓練になります。
書店であえていつも行かないコーナーを見る(P56)
「私は知的好奇心が旺盛だ」と自負していても、自分の関心の幅は案外狭いものです。図書館や書店は、「自分の小ささ、自分の狭さ」を思い知る場所です。あえてふだんは近づかない棚に一歩踏み出し、問題意識を持って知的ストレッチをしましょう。
本は比較的廉価なセミナーであり、会えないような人に会えるインタビューでもある(P62)
専門用語/ジャーゴン/方言を書き出す(P67)
いくら素直になっても、「おもしろくない」と感じる場合は、専門家や当事者たちが使っている専門用語がネックになっている場合が大いにあります。「知識として理解できない」というのは、本を読んでいて内容に入り込めない大きな理由となるものです。
…専門用語/ジャーゴン(業界用語や隠語)/方言(特定の仲間内で用いる言葉)がわかれば格段に読みやすくなります。
すらすら読むためにも、なじみのない1冊目は専門用語などを書き出して、簡潔に解説できるくらいに理解してしまいましょう。
それでも生じる疑問は大事にする(P68)
本になっている以上、専門知識を持たない人でもわかるように書かれているはずですが、最後まで残る疑問があれば、それは専門家でもきちんと説明できないことかもしれません。こうした疑問は財産になるので、しっかりメモに取っておくようにしましょう。
コミュニケーションのポイントとは(P70)
コミュニケーションのすべては、自分の思考でなく相手の思考回路に入って話を進めていくことがポイントとなります。文句を言うにしても、喧嘩をするにしても、叱正するにしても、笑わせるにしても、です。
要点を外さずに読むためには(P73)
最初に目次をじっくりと読むことです。目次の中から3項目くらい選び、そこにどういうことが書いてあるか、それぞれ想像します。そのあと実際に本文を読んでみて、3つともほぼ予想通りのことが書かれていたら、残りについても目次だけじっくり読めばいいことになります。
もし、想像から外れているようであれば、その本は最初から読んでいきます。その際も、最初に目次をじっくり読んでおき、「どういう外れ方をしているか」と考えてみると、その本をより深く理解できるでしょう。
読み終えたあと、見返す「黄金の5分」(P75)
線を引き、付せんを付けながら読了したものの、そのまま放置してしまう本も多くあるでしょう。そうなりそうな本は最後に5分間、時間を取り、印の部分をもう一度見返し、まとめて再読するようにします。…これをやるかやらないかで、理解度ははるかに違ってきます。
損切りの大原則は「二重に損をしないこと」(P77)
つまらない本を買ってしまったことが発覚した時点で、その時点では本の代金の損だけとなります。しかし、ずるずると手放すことができずに、「これは良くない本だ」と思いながら読んでいると、時間というコストも失ってしまいます。おカネを損した上で、なおかつ時間まで損をしてはなりません。
最悪のバカ本でも、捨てる前に全ページめくる(P77)
※立花隆『知のソフトウェア』から学んだこと
損切りせねばならないと判断した最悪のバカ本でも処分する前に、1ページにつき1秒ずつでいいから、全ページをめくってみましょう。つまらないと思っても、とにかくめくるのです。もし、何か引っかかったら、そこだけ少し読んでみましょう。
こうすると大きな発見が確実に2、3ヵ所はあるもので、損の度合いを低く抑えることができます。
古典や翻訳書は先に注釈を読む(P107)
本を読むのに中断されるのが嫌だということと、注釈がどういう形でついているのかを先に見ておかないと、その時代にひたって楽しめないからです。
“いつか読みたい本棚”を作る(P112)
気になっているけれども、読む時間がない。でも、いつかは読みたい。こういう本がある場合、私は“いつか読みたい本棚”にまとめて並べておき、他の本…の中にまぎれこまないようにしています。
出張なり旅行に出かける機会があれば、その棚の本から十数冊をピックアップ。読みたいと思っていた本を読むきっかけとして利用します。
虫の目で旅をし、鳥の目で本を読む(P116)
旅と読書をたとえて言うならば、「虫の目」と「鳥の目」です。
現地を自分の足で歩くことで、虫のごとく小さなこともこぼさずに拾うことができますが、全体の地理はわかりません。その点、読書をすれば、空から辺り一帯を俯瞰する鳥の目のごとく、全体像をすばやく把握できます。両方併せ持ってこそ、思考は鍛えられるという次第です。
読書で得た知識を蓄積し、おのれの糧とするためには(P123)
1.素直に正確に読んできちんと理解する。
2.本を触媒として自らの知的体力を鍛える。
本の感想に独自の発想を付け加える(P127)
ものを売る商売に置きかえて考えれば、すぐにわかります。商品のどこが、どのようによくて、どう役立つかを的確に伝えられること。さらにその商品を理解し、深く考え、商品について自分独自の発想を付け加えること。このふたつができる人が、売れる営業マンとなります。
…人に薦める、もしくは「これだけは読んではいけない」と論拠を示して説得することは、その本から独自の発想を広げる訓練としてかなり有効です。
3つのおもしろさに着目して読む(P134)
私の場合、「事実のおもしろさ、解釈(著者の意見)のおもしろさ、文体(話術)のおもしろさ」の3つのいずれかの観点で文章を書くようにしています。…読んでいて、文句なしにおもしろい本があったら、3つの点のうち、どの点を自分が「おもしろい」と感じるのか考察してみると、新鮮で役に立つ発見が必ずあると思います。
メモの3原則(P144)
1.「自分の記憶力に対する正確な評価のみが、メモの度合いを決定する」
=自分に合ったメモの取り方を知る。自分はいったいどのような忘れ方をするのか、どのように外部記憶を利用すれば、本番(必要な時)に役立てることができるのか。
2.「重要な情報やアイデアを得た時、それを忘れるかもしれないと過去の体験から推察される場合は、即座にメモをする」
3.「使うことがほぼ確実なものしかメモをしない」