毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「本を読む力」は鍛えられる☆☆☆☆

大学教授という仕事柄、どうやったら本を読む力を(特に若い人に)つけられるか、について書かれたものだ。

 


さすがは岩波新書、字もぎっしりだし内容も濃い。本を読む習慣のない人が読み通すにはハードルが高いのでは、と心配になった。

「単なる娯楽のための読書ではなく」、「多少とも精神の緊張を伴う読書」が、この本のテーマだ(Pii-
まえがきより)

さらに、「読書力がある人」のラインも提示されている。

…「文庫百冊・新書五十冊を読んだ」というものだ。
(中略)
…ここでいう文庫本は、 推理小説や完全な娯楽本を除いたもので、イメージとしては、「新潮文庫の百冊」のラインナップのようなものだ(P8)。

と、本を読む習慣のない人にはこちらもなかなか厳しいラインではないだろうか。

 

ただ、そこは齋藤先生。読書もスポーツのようにトレーニングすればできるようになるという。実際に中学生や高校生に比較的やさしいものから難易度の高いものまで順番に読ませる、という取り組みをした結果が出ている。読書が習慣になったり、読書の楽しさに目覚めた生徒が多かったようだ。
つまり、テニスを素振りから始めるように適切な指導者が難易度が少しずつ高くなるよう本を選んで与えていけば、本を読む10代が増える可能性が高いのだ。
私自身、10代の時に本は読んでいたが、海外文学に行けずにそのままエッセイなどの“あごがくたびれない本”に行ってしまった。こういう適切な指導ができる人が身近にいれば、とうらやましくなった。

 

本をある程度読める人が、読む習慣のない人をどう読書の世界に引っ張ってくるか、のヒントがたくさん詰まっている。
趣味として本を読み、特に鍛えた実感もない私には意外だったが、読書力を鍛えることで総合的な人間力がアップするのだ。「自分を育てる」という意味での読書について、再確認できる本でもある。
読書をめぐるあれこれが一度に読めて面白かった。

 

読む本の内容をもう少し歯ごたえのあるものにしたい人や、「ラノベばっかり読むな!」と言いたい相手が身近にいる人は一読の価値ありです。希望としては、10代の人にちょっとがんばって読んでもらいたいです。

巻末に「文庫百選」(「読書力」おすすめブックリスト)が載っているので、それを見るだけでも読書の幅が広げられそうです。
※私のブクログに登録してあるので、興味のある方はご覧ください。→http://booklog.jp/users/yasuko659
右の「おすすめ本リスト」を選択し、左下のタグ「読書力」をクリックしてください。併せて読みたいという本も一緒に登録したので、実際には100冊以上あります。
私のアクション:「カラマーゾフの兄弟」にチャレンジしてみる?

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

経験していないことも読書で自分の力に(P91)

経験していないことでも私たちは力にすることができる。
自分の中にわずかにでも共通した経験があれば、想像力の力を借りて、より大きな経験世界へ自分を潜らせることができる。自分の狭い世界に閉じこもって意固地になったり、自分の不幸に心をすべて奪われたりする、そうした狭さを打ち砕く強さを読書は持っている。

ゲーテのことば(P104)

「人間は努力する限り迷うものだ」

旅行の足跡を地図に残す(P136)

たとえば、旅行先の地図を考えてみよう。最初に見た時には、のっぺりとしたただの地図だ。しかし、現地に行ってみて、実際に足を運んだところに赤く○を付けていったとする。経路を矢印で地図に書き込んでもいい。素晴らしく印象に残ったところは、3重丸で囲んだり、行った店の名や出会った人の名を書き込む。そうやってみると、地図は「自分の地図」になる。すると、旅行が終わった後にも、その地図は捨てがたいものになる。その時の思い出が、自分のチェックポイントからよみがえってくる。

3色ボールペン:赤だけたどれば、本の基本的な要旨は取れるように引く(P140)

※赤=客観的な要約(すごく大事)/青=客観的な要約(まあ大事)/緑=主観的に面白い
客観的なという意味は、読解力のあるものならばおよそそこが本の大事なところだと思うようなところである。それは著者が一番に言いたいことと言い換えてもいい。赤をいきなり引こうとすると、緊張してなかなか引きにくいので、青を引きながらおよその要旨やあらすじをつかんでいく。そして、その中から最重要のものを見つけるという順序でやると効率はいい。

3色ボールペンが技になる(P143)

3色ボールペンでで色をスイッチさせることが、主観と客観の切り替えや、客観的要約の重要と最重要の切り替えなどを、技として身につけることができる。算盤をつづけていればやがては算盤が頭の中に入ってくるように、3色の切り替えを行っていると、頭の中で主観客観の切り替えなどがやりやすくなる。道具を使うことによって、思考の習慣が身につきやすくなるのである。

脳のギアチェンジ(P149)

「緩急をつけて読む」読書のギアチェンジの技ができるようになると、並行的に数冊の本を読むことができるようになる。ひとつの本で頭がいっぱいになってしまうというのではなく、頭の中を本ごとに部屋割りできるということだ。単線の線路ではなく、複線の線路にするイメージでもいい。
本を複数並行的にギアチェンジしながら読む練習を続けていると、脳の器が大きくなって、思考に余裕が生まれる。

登場人物の関係を図化する(P178)

ロシアの小説などでは、長い名前の登場人物が多いので、これをやりながら頭を皆で整理していく。たとえば、ひとりの女をふたりの男が好きになっている三角関係があるとする。それを三角に図化するのである。それを中心にしていろいろな人物が絡み合ってくるのなら、人物名をその周りに配置していく。登場人物の関係を図化するだけでも、小説の場合は相当理解がしやすくなる。

マッピング・コミュニケーションも3色で(P183)

この書き込みをやる時にも、3色の青、赤、緑でやる方がメリハリがきいてくる。
赤は最重要で、緑は本筋からは外れていてもおもしろいことがらというようにおよそ決めておけば、あとは自由でいい。厳密な思考よりも、大きな構造を間違えずに把握し、細部は会話で埋めていく。マッピングはきれいにまとめることを優先させるのではなく、大胆に、話が盛り上がるような勢いでどんどん書き込んでいくのがコツだ。

マッピングのあとはプレゼンテーション(P183)

各グループでマッピング・コミュニケーションを行ったあとは、その成果を別のグループに対してそれぞれプレゼンテーション(発表)していく。やり方としては、ひとつの机の上にマッピングした紙を、聞く側の方の人に向けておく。そして、そのマッピングをしたグループの人間が、コンビネーションを組んでリレー方式でプレゼンテーションをしていく。聞く側は、マッピングの紙を眺めながら聞くようにする。
話し合いのプロセスを簡単に紹介しつつ、話し合いを通じてクリアになったポイントや構造を主に発表する。各グループ3分ほどで発表してもらう。
(中略)
マッピング・コミュニケーションをする時間は、20分くらいが目安だ。

3色作文(P190)

小学生が文章を書くやり方として、みんなで短い文を読み、そこにそれぞれ3色で線を引く。まず赤で引いたところを原稿用紙に書き写す。そして、「なぜそこが一番大事だと思ったか」という理由を、簡単に文章でコメントとして付ける。次に、緑の箇所を書き写す。そして同じように「なぜそこを自分は面白いと思ったか」の理由を書き記す。その理由を書き記す際に、自分なりの経験と絡み合わせて書くことができれば、ほぼ立派な文章に仕上がる。