毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

日本独自の“文化”に立ち返る☆☆☆☆

「できる人」の極意!』でこの本のことを知り、借りて読んでみた。腰ハラ文化って何だろう?と思ったので。
さすがは身体論がご専門の齋藤先生、深く鋭い考察が展開されていて面白かった。これはほかの人にはなかなか書けない本だと思う。


突然だが、私は「腹」と「肚」という字を使い分けている。「腹」はお腹が空いた、とかお腹が痛いという時に。これに対して「肚」は肚が据わる、とか肚を決めるといった時に使いたくなる。ところが、うちのATOKは「はら」で「肚」は出せない。毎回手書きで出すという面倒なことをしている。

実はサブタイトルに「腰ハラ文化」とあるが、これが「肚」なのだ。文中では「腰肚文化」と書かれている。あまり使われない漢字だからカタカナになってしまったようだ。すでにここから「腰肚文化」が衰退していることがうかがえる。


以前は当たり前のように持っていたこの文化がどういうものだったのか。たくさんの古い写真で見る日本人は、今と明らかに違う立ち方、体の使い方をしている。海外で日本について書かれた文献からも、その違いがわかる。

また、「腰肚文化」の衰退は「からだ言葉」が使われなくなっていることからも実感できる。「背負う」「踏み締める・噛み締める」「磨く・切磋琢磨する」など日本語には体の部分を使った表現がたくさんあるが、体感としてわからないものは使われなくなっていく。つまり、身体感覚が衰えれば同様にことばも衰退する傾向にあるのだ。

ここから、体に覚え込ませる「型」の話、さらには呼吸法へと広がっていく。


特に心に響いたのは、現代の子どもたちが抱える諸問題(キレる、ムカツクなど)は、身体文化が継承されなかったからではないのかということと、なぜ文化が継承されずに途絶えてしまったのか、という考察だった。
戦後、アメリカの文化に憧れるなどの結果、親子が対等で仲良しになってしまい、親が伝えるべきものが伝わらなかったというのだ。
70年代に再考の機運はあったのだが、80年代バブルとその後の後始末に追われてそのままになってしまったという。

ただ、今の子供にいきなり幕末の武士や農民の身体性を身につけさせるというのも無理な話だ。この本では「昭和の子供」の身体性を目指すことを提案している。これなら、まだ体が覚えている世代がたくさんいる。


今は便利な時代で、体を使わなくてもできることがたくさんある。放っておけば頭だけが働き、体はスイッチが切れるというアンバランスになりやすい。
体もしっかり使って感覚を鋭敏に保つこと、頭と体のバランスを取ることの重要性を改めて感じた。両方をしっかり使うことが、人間力のアップにもつながるのだ。
ふだん無意識に使っている「からだ」について意識するきっけかになる本です。
私のアクション:鳩尾を柔らかくする呼吸法をやってみる