毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

“涙とは何か”を追究する渾身の対談☆☆☆☆

涙の理由
涙の理由
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重松清茂木健一郎
宝島社(2009/02/07)
¥1,200
先日読んだ『脳をやる気にさせるたった1つの習慣』で、ちらっと名前が出ていたのがこの本。重松清さんとの対談、というのに心惹かれて読んでみた。


重松清さんは、最近ほとんど小説を読まない私がけっこう好き、と思える数少ない作家のひとりだ。人の心のひだを書くのがうまいというのか、知らず知らずのうちに心を動かされることが多い。結果的に涙することも。
でも、そんな重松さんご自身は、自分の小説を「泣ける」小説と呼ばれることに抵抗があったという。


この本はある編集者がこのふたりを指名し、タイトルも内容も綿密に練られた企画がスタートだったという。
対談は6回を数え、3年近くの年月がかかっている。初対面の1回目からだんだん核心に迫っていくプロセスはとても読みごたえがあった。最後に「涙の理由」がはっきりしたところでは、感動してしまった。

結果だけここで書くのはもったいないので、ぜひ読んでみてください。
少しだけ書くと、泣かされる涙と、自然にあふれる涙は別のものなのだ。
その答にいたるきっかけになったのが、「清原和博選手(当時西武)が巨人との日本シリーズで、9回2アウトで守備についていた1塁ベースで泣いていた」エピソードだった、というのが個人的にはぐっと来た。


ここまで深く対談を重ねるというのはあまりないからかもしれないが、おふたりとも本で読むのとは違う姿を見られたのも興味深かった。
特に、小説家である重松さんはご自身が表に出ることが少ないので、読んでいてとても面白かった。

おふたりのどちらかが好きな人はもちろん、「泣ける○○」という言葉に違和感がある人にはぜひ読んでほしい本。なぜ引っかかるのかがわかります。