毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「のびしろ」を作る教科書とは☆☆☆☆

理想の国語教科書
齋藤 孝
文藝春秋(2002/04/25)
¥1,300
タイトルを見て「理想の国語教科書ってどんなもの?」と疑問に思い、借りてみた。
齊藤孝先生の考える“理想”だが、大人が読んでも充分読みごたえのある内容だった。こんな教科書で国語が学べるなら、もっと授業が好きになりそうだ。


この「教科書」は小学校中学年を設定してある。今の教科書は100%理解できることを前提に作られているので、先生の目から見るとつまらない内容のものが多いらしい。噛みごたえのあるものを食べないとあごが鍛えられないように、ある程度レベルの高いものをこの年代で読むことが必要だ、と書いてあった。
そのため、読みにくい漢字にはすべてルビがふってあり、子供が面白がりそうな作品も取り上げるなど、工夫してある。

さらに、3色ボールペンによる使い方の解説など、懇切丁寧だ。この本に対する先生の情熱が感じられる。解説を読みながら取り組めば、家庭でも親が子供に読ませることができるようになっている。


もうひとつの特徴は、今の国語教科書では取り上げられていない「世界文学」が入っていることだ。私も、日本の文学全集は読んだものの、世界に行く前に軟弱なジャンルに行ってしまったので、もし教科書で読む機会があれば、もっとハードルが低くなったかもしれない、と思う。
教科書はあくまで導入でいいのだ。作品の一部を取り上げただけでもその雰囲気はわかるし、興味が湧けば自分で読んでみればいい。
この本では、その希望に応えられるように、出典がきちんと出ているところも親切だと思う。


久しぶりに読んだ「走れメロス」や「夢十夜*1は面白かったし、高校の現国の授業でアレルギーになり、それ以来まったく読んでいない小林秀雄の作品を読んで意外に読めたり、収穫がたくさんあった。
中でもうれしかったのは、幸田文の「なた」が読めたことだ。齋藤先生の本で取り上げられている作品も多いので、読み物としても純粋に楽しめた。

最後に、「テキストを選ぶポイント」をご紹介。

キーワードは「すごみ」「あこがれ」「生の美意識」(P320)

だそうだ。こんな高い意識で作られた教科書で勉強すれば、いろんな意味でもっと力のある子供が増えると思う。
私のアクション:『理想の国語教科書 赤版』も読んでみる
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*1:載っているのは「第一夜」