毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

歴史から学ぶリーダーシップ☆☆☆☆

対訳・代表的日本人
内村 鑑三(監訳:稲森和夫)
講談社インターナショナル(2002/10/04)
¥1,785
この本をいつかは読みたいと思い、長年“探書リスト”に書いたままにしていた。
いざ読もうと思って調べたら、いろんなところからいろんな本が出ている。選んだのは講談社インターナショナル*1の対訳本。
あの、稲森和夫さんが監訳されている。


稲森さんがこの本の翻訳をされたのは、21世紀を迎えるにあたって、どのように生きていくかを偉人たちに学ぶ必要性を強く感じたからだそうだ。

私たちは、21世紀を目前にしたいま*2、いつまでも迷い続けているわけには行かない。確固たる人生観を持ち、意義ある毎日を送るべきなのである(P8・序文より)。

なるほど、確かにこの本で取り上げられている5人は、全員が素晴らしい功績を残しただけではなく、生き方がすがすがしい。無私無欲で一心に自分の仕事に邁進している。

西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮上人。いずれも名前は知っている人ではないだろうか。しかし、具体的にどんな生涯を送ったかくわしく知る人は少ないと思う。おそらくこの5人の中で一番知名度の高い西郷隆盛でさえ、読んでみて「こんな人だったのか」と驚くことが多かった。


私が一番感銘を受けたのは上杉鷹山だった。これだけの人物が日本ではあまり知られていないというのは本当にもったいないと思う。領地返上寸前の米沢藩に養子として入り、財政を立てなおした手腕は、今の国や地方自治体、企業などで学ぶべき点が多いはずだ。
また、本当に人格者で、何度か目頭が熱くなった。名君とはこんな人のことを言うのだと思う。


二宮尊徳も、幼少時代の銅像があったから偉い人なのだろう、程度の認識しかなかったが、読んでみるとまた素晴らしい功績を残している。もとは自分の家の土地を復興させたいとやっていたことが結果を出したため評判になって藩主の知るところとなる。何度も要請を受けた結果、農民の身分でありながらたくさんの村を指導したという。身分制度の厳しい江戸時代では考えられないことだ。
中でも、飢饉に備えて食料の備蓄を充分にさせたという慎重さは、現代でも学ぶべきではないだろうか。

5人の人生で、誰に心惹かれるかは人によって違うと思う。でも、きっとそれぞれに学びがあるはずだ。
読むとピンと背筋が伸びる本。気になる一人だけでもいいので、ぜひ読んでみてください。


対訳だからといって英文を全部読んだわけではないが、ところどころ見比べながら読むだけでも面白かった。英語もかなり堅苦しいので日本語訳もスラスラ読めるとはいかないが、訳注がくわしく、全体に工夫されている印象だ。
欲を言えば広さの面積や数字が英語圏のまま*3なので、イメージでつかみにくいところが難点。
対訳本のため、日本語も横書き。縦書きが苦手な人にはそれだけでも読みやすいかもしれない。
私のアクション:自分の中の“怠け心”をなくす
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*1:バイリンガル本を多数出版している、英語学習者にはありがたい出版社だったんですが…昨年解散したようです→Publishing News――講談社インターナショナルが解散[2011/05/09]

*2:序文が書かれたのは1999年2月。なぜ出版が2002年になったのかは不明です

*3:例)エーカー