毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

書いてあることを鵜呑みにしないための考え方☆☆☆☆

知的複眼思考法
苅谷 剛彦
講談社(1996/09/25)
¥1,680
※文庫版が出ています→『知的複眼思考法(講談社プラスアルファ文庫)
家族が借りてきた本。タイトルを見て単純に興味が湧いた。
ハードカバーで硬そうな印象を受けたが、読んでみたら意外に読みやすく、得るものの多い本だった。


著者の苅谷剛彦さんはこの本を書いた当時、東大で教えていた。講義を受け持つにあたり、何を教えようかと考え、知識を教えるよりも、「考え方」そのものを教える方が学生の力になるのではと思ったそうだ。
ひとことで言えば本の主張を鵜呑みにしないための考え方、本の著者と対等に立つ考え方だ。
苅谷さん自身は、この力をアメリカ留学時代に鍛えられたという。


実際の授業の内容も含め、ワーク形式で進められる。後半には、鵜呑みにしないための受け取り方だけでなく、理論のブレをなくすための表現方法も学べる。例として挙げられている記事や、学生の論文が、著者の指摘でみるみる一貫した主張の読みやすい文章になっていくプロセスは感動、と言いたくなるほど鮮やかだ。

私たちはふだん、無意識に「活字になっているものは正しい」「著者は私たちよりも立派な人だ」と思って本などの情報を受け取っている。新しいことを学ぶ時には無心に受け取ることも必要だが、日本人は一般に自分の考えを持つのが苦手だと思う。

図解などは出てこないが、いわゆるロジカルシンキングが身につく本。ロジカルにものごとを考えるために、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:常識的な考え方を疑ってみる
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

批判的読書4つのポイント(P72)

1.著者を簡単には信用しないこと
2.著者のねらいをつかむこと
3.論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと
4.著者の前提を探り出し、疑うこと

複眼思考とは(P122)

ものごとを単純にひとつの面から見るのではなく、その複雑さを考慮に入れて、複数の側面に注目することで、当たり前の「常識」に飲み込まれない思考のしかた。

複眼思考で一番大切なのは(P247)

ものごとを鵜呑みにしない態度、ステレオタイプ的な解答に出会ったら、「ああそうか」とやり過ごさずに、ちょっと立ち止まって自分のことばで考え直してみるという姿勢。

当面の問題を少しずらしてみる(P247)

それだけでも、その問題がどのような広がりを持っているのかに目が行くようになる。新しい問いが見つかることも少なくない。問いをずらしていく方法を身につけることで、簡単にステレオタイプに飲み込まれない、自分なりの視点を持てるようにもなるだろう。自分の視点を持つとは、自分がどのような立場から問題をとらえているか、その立場を自覚することでもある。