小飼弾氏の『新書がベスト』で薦められていた本。
非・理系*1の私に読めるのかちょっと不安だったが、文体が語り口調で読みやすく、わかりやすい例もたくさん挙げてあるので楽しく読めた。
さすがは学者ではなくサイエンスライターの書いた本だ。
著者の竹内薫さんはペンネームで小説も書いている方だが、東京大学理学部物理学科卒業という輝かしい経歴の持ち主*2。著書は相対性理論や超ひも理論などの、素人には難解な理論に関する本も多い。
そんな人が「科学とは何か」をていねいに教えてくれるのだ。
この本によれば、普通の人が考えている「科学とはこんなもの」という概念はかなりまちがっているようだ。
衝撃を受けたのがプロローグにあった次の言葉。
よく「科学的根拠」がないものは無視されたりしますが、 それはまったくナンセンスです。
なぜなら、科学はぜんぶ「仮説にすぎない」からです。(P33)
科学に絶対はなく、今は“これが結論”とされているものも、明日にも新しい理論が出てきたり、反証される可能性があるそうだ。ここが数学と違うところだという。数学は証明できればそれで終わりだが、科学は今後いつ反証されるかわからないので、永遠に証明はできないのだ。
科学は実は「哲学の一部である」という、西洋では当然のことが日本ではあまり知られておらず*3、科学史などの伝統を受け継いでいないのが大きな問題、という著者の説には説得力がある。
読み進むうちに、自分の中の思い込みや常識が取り払われ、硬い頭が柔らかくなってくる。
「こういう考え方をしてもいいんだ」と知っておくだけでものの見方が大きく変わりそうだ。
若い世代には視野を狭めないために、それ以外の方には何でも鵜呑みにしないために、ぜひ読んでほしい本。
私のアクション:「これが仮説だとしたら?」と考えてみる
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