この本では「素アタマ」と呼ばれているが*1、パソコンのOSのような土台の能力、すなわち「知識運用能力」を鍛えるのが目的だ。これがなければいくら素晴らしいツールやテクニックを学んでも使いこなせない。
とはいえ、本質的な力だけになかなか「素アタマを鍛錬する」方法はない。
それを「守破離」の3つの段階に分け、さまざまな状況に応じて具体的な訓練方法を提示してくれるのがこの本だ。
ふだんの仕事で意識することや、自分の幅を広げる方法、考え方を変えてみるなどアプローチはさまざま。3つの段階のレベルも違うので、必要なところから読んでも充分役に立つと思う。
いつもは読まない本を読んでみる、書店で興味がある分野以外の書棚を眺めてみる、というのはよく聞くが、読書で「自分の考えと違うものを意識して採り入れる」というのが個人的には一番響いた。人は本を読んでも、無意識のうちに自分が元々持っている考えに合うものしか受け入れていないという。それでは考えが広がらず、柔軟性もなくなっていく。気をつけようと思った。
どちらかと言えば若い人向きだと思うが、自分のOSのバージョンアップのために読むのもよさそうだ。
私のアクション:いきなり細かいレベルで考えず、まずは大まかな構成を見る
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
二宮尊徳の言葉(P19)
大事をなさんと欲せば、小さなることを怠らず勤しむべし。小積りて大となればなり。凡そ小人の常、大なることを欲して、小なることを怠り、出来難きことを憂えて、出来易き事を勤めず。それゆえ、終に大なる事あたはず。それ大は小を積んで、大となる事を知らぬ故なり。
思考が行き詰まった時は(P143)
いきなり細かいレベルで問題を考えていることが多い。まずは、問題を構成しているものを大きく分けて考えることで、解決策を導きやすくすることができる。
楽する方法を考える(P151)
「どうすれば仕事が楽になるのか」を考えることは、仕事をサボっているようで罪悪感を覚えがちだが、実は大事なことである。「自分が楽になるためにどうすればいいのか」。こう発想すると、人は必死に考える。
資料などは、以前使用したものを整理しておけば、すぐに使えるようになるし、周りの人が使用した資料をふだんからシェアしてもらっておけば、それだけでフォーマットが増える。