毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「時間を大切にして何に使うのか」が重要☆☆☆☆

齋藤孝先生の『「意識の量」を増やせ!』(光文社新書)のうしろの広告ページで見て、センセーショナルなタイトルに驚き、興味を持って借りてみた。1秒もムダに生きないって、どういう生き方なんだろう、どんな人なんだろう、と思ったのだ。
しかし、読んでみたら逆説的なタイトルだった。
確かに、時間をムダにしないことは徹底しているが、使い方は普通の時間術とは大きく違う。


著者は感染症が専門の医師だ。アメリカや中国で研鑽を積み*1、現在は神戸大学大学院の教授で、大学病院で治療にも当たっている。

この本を書いたきっかけは、大学で後進の指導をしながら臨床も持ち、さらに年に4〜5冊は本を書いている著者が、たくさんの人から「仕事が速いですね」「時間の使い方が上手ですね」とよくほめられることだったそうだ。
ただ、この本は従来のタイムマネジメントの本とはずいぶん違う。基本的にテクニック、ノウハウの本ではない。もちろん著者のやり方は書いてあるが、それがすべての人に役に立つかというとむずかしいだろう。
それよりも、時間に対する考え方が学べる本だとらえた方がよさそうだ。ここがきちんとわかれば、あとは自分に合ったやり方を個々に探したり取り入れたりすればいい。


何しろ、「ToDoリストは作らない」「プライオリティリストは不要」「やりたいことからやればOK」など、時間術の本が好きな人が読んだらめまいがしそうなことばかりなのだ。
でも、読んでみるとなるほど、と納得してしまう。結局、人ははやりたいことをやりたい時にやるのが一番パフォーマンスがいい。鉄は熱いうちに打てとばかりに、気持ちが乗っている時にさっさと片づけてしまうのもひとつの方法だ*2
整理術もスケジュール管理も難しいことはなく、壁に貼る、机の上に積む、スケジュール管理は秘書に頼むで終了*3。最低限の労力ででき、維持できる方法を上手く取り入れている印象を受けた。


最もノリのいい時に仕事をするために、いつでもすぐかかれる複数の仕事を用意しておく、自分の感覚に耳を澄ませる、朝型か夜型か自分のタイプを知っておくなどの準備も大切だが、この本の一番の特徴は
「他者の視線を気にしない」
だ。他者に自分の行動を規定させないこと。常に自分の気持ちに問いかけて仕事をするのが、著者の提案する時間の使い方の根幹なのだ。

…今の自分の気持ちに敏感になり、「今一番やりたいこと」に注目して仕事をすれば、緊急性・重要性の高い仕事は、「自然に」リストを作らなくても優先させて行うようになってきます。些末な仕事は、「自然に」リストを作らなくても後回しになります。
(中略)
「今行えばパフォーマンスが最良であろう」仕事だけを選択し続ければ、その時点でもっとも質の高い仕事を、短時間で済ますことができるようになります(P46)。

そして、この本のもうひとつの特徴は、そうやって作った時間*4を「慈しんで使う」こと。
ふつうは工夫して浮いた時間を、さらなる効率を求めて再投資することをすすめるが、著者はそれは無間地獄になるだけだ、とやめてしまったそうだ。

具体的に著者が楽しんでいる「時間を慈しむ」例が出てくるが、ここは好みが分かれるところかもしれない。ただ、忙しく仕事をこなしていても、こんな風に過ごせるんだ、というのは励みになる。


著者は小説を読んだり落語を聞くのが趣味だそうで、そのため理系の先生なのに文章が軽いエッセイのようで読みやすい。この辺も好みが分かれるところだろう。(おそらく)村上春樹さんの小説を愛読されていると思うので、私は楽しんで読めた。

「効率化効率化とがんばっているのに、作った時間はどこに行った?『モモ』の灰色の男たちに取られているんじゃないの?」と思ってしまう人は一読をおすすめします。
私のアクション:他者の視線から自由になって考える


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「どのような環境下」におかれても、何かできるような準備をする(P19)

「これがないから、何もできない」ではなく、「これがなくても、あれができる」のメンタリティーです。…想定されるできない理由をできるだけ払拭し、どのような環境下でも「何か」ができるようにしておく。常に前進できる準備をしておきます。

まずは心構えが大事(P22)

時間は貴重な財産です。貴重な財産である、という自覚が大事です。時間は無駄遣いしてはいけないのだ、という強い気持ちが大事です。その気持ちなくしては、どんなにビジネス書でタイム・マネジメントのノウハウを学んでも、何の役にも立たない(以下略)。

目の前に独立した仕事を並べておく(P57)

目の前に仕事を並べておけば、「今一番気持ちを乗せることができる」仕事を選択できます。
(中略)
…Aをやり終えないとBに進めない、というのではなく、AもBも、順番は関係なく別々に行うことができなければいけないのです。

ボトルネック」になる仕事は早めに片づけておく(P58)

Aが終わらないと、B、C、Dに着手できないという時、このAをボトルネックを呼びます。
(中略)
この場合、実際に僕にできるのはAだけということになり、他に選択肢はありません。B、C、Dは、あくまでAが終わった時に初めてできる仕事です。そうすると、気分がAに向いていない時は、効果的に仕事ができない(他に選択肢がない)ことになってしまいます。

悩んでいる時間が無駄(P83)

多くの人が、やろうかな、やめとこうかな、と悩んでいます。あの「悩んで逡巡している時間」は割と無駄な時間です。こういう時は、トライしてみるのがよいと思います。トライしてみて、上手く行かなかったらギブアップすればよいのです。途中でギブアップすることについて、自分が自分に寛容であればよいのです。他人の目を気にしなければよいのです。

「やろうかな、やめようかな、どうしようかな」といつも逡巡している人は(P84)

メンタル的には「止まっている」人です。止まっている状態から動き出すのは、一般的には困難です。…たくさんの力、意志を使わないと動けません。「とりあえず動く」という気楽なメンタリティーで、いつでも動いていれば、そのことが、さらなる動きやすさを生むのです。

*1:あのSARSの時に中国で最前線にいた、というすごさ!

*2:著者の例で言えば、テストの採点はテストの当日にしてしまうのが一番いいそうです。あとになるほど時間がかかり、間違いも多くなって効率が悪い

*3:まあ、秘書が使える人は限られますよね

*4:著者は「時間を削り取る」と表現しています。かんなで削るイメージだそうです