毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

読書法とやり直し勉強法、ひと粒で二度おいしい☆☆☆☆

 

読書の技法

読書の技法

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最近読んだ中ではダントツに内容の濃い本だった。
何しろ、「読書術」と「大人のやり直し勉強法」のふたつが1冊になっているからだ。

読書の技法というタイトルになっているが、物の見方・考え方、表現の仕方まで視野に入れているので、知の技法についての入門書と考えていただきたい(P3)。                           

とあるように、“いかにして本物の使える知識を身につけるか”をさまざまな角度から教えてくれる本だ。

 

著者は元外務省主任分析官であり、鈴木宗男事件に連座して逮捕され失職。その後は作家として活動されている。
外務省時代から膨大な量の本を読み、それを使いこなす仕事だったので、自然とこの本で紹介されている読書法が身についたのだそうだ。
外務省時代の研修や激務もすごいし、作家に転身後の1日の過ごし方も出てくるが、どちらも超人的だ。普通の人には真似できそうもないが、それを読むだけでも刺激になる。

著者は速読と熟読の二刀流だ。なぜなら、熟読に値する本は少ないから。
なので、まず5分で超速読を行い、どの程度労力をかけるかを判別し、4段階に分ける。
熟読する本は3回読み、さらに手書きでノートにまとめることで自分の知識にする。

非常にシステマティックで、よく練られた方法だ。また、ノートに書き写す意味もよくわかった。書きっぱなしではなく、まとめてからさらに本をもう一度読むのも大きなポイントだろう。ここで定着率が大きく変わってくるのだ。

 

私がなるほど、と思ったのは知識にも刷り込みがある、ということ。
最初に正しい知識と出会わなければ、あとで修正するのは困難を極める。そのために偏らない知識を身につける方法が、この本には丁寧に説明されている。

今まで深く考えずに本を選び、うかっと読んでいたと思う。娯楽はともかく、新しいことを学ぶにはきちんとした計画や方針、目的を考える必要があるな、と反省した。
また、やはり一流の人は「時間の貴重さ」に敏感だ。大して興味もない本を、何となくだらだら読むのはやめようと決めた。
個人的には、小飼弾さんの考え方に似ているように感じた。

 

もうひとつの大きな柱は、自分の知識の欠けた部分を自覚し、そこを補う方法。著者の考えは「高校レベルの知識があれば基本はOK」というものだ。
つまり、欠けた部分を補うとは、「やり直し勉強法」そのものなのだ。

実は著者は塾の先生になるのが夢だったそうで、実際に大学受験を目指す人の指導をしたこともあるという。この本を書くために相当数の教科書や参考書も目を通したそうなので、具体的な本もたくさん挙げられていてとても綿密だ。
歴史や政治経済の知識は、今の世の中の流れを理解するには不可欠だという。

また、私にとって衝撃だったのは国語と数学は実は近い学問だ、という話。

現代文は数学とまったく一緒なんです(P183)。

これは出口汪『NEW出口現代文講義の実況中継』*1から引用したものだが、これを読むと確かに似ている気がしてくる。数学の知識をきちんと身につけることで、論理的トレーニングにもなるというので、紹介されていたやり直し数学の本を読んでみようかという気になった。

読むと勉強する意欲が湧いてくる本。付け焼き刃ではない、一生使える知識を身につけたい方は必読です。
参考)東洋経済オンラインに、著者のインタビューが載っています。この本の内容と重なる部分もあるので、ぜひ読んでみてください。
佐藤優(上)「死から逆算して生きよ」
佐藤優(下)「歴史と国際政治の教養を磨け」
ブクログに紹介されている参考書の一部を登録しています*2
私のアクション:全部を読まず、まず速読してふるいにかける
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

情報は2段構えで読む(P25)

しっかりと頭に入れておかなくてはならない情報を選別する作業を30分くらいで行い、残りの時間はここで選ばれた重要情報だけを丁寧に読むのである。

基礎知識は熟読でしか身につかない(P45)

しかし、熟読できる本の数は限られている。そのため、熟読する本を絞り込む、時間を確保するための本の精査として、速読が必要になるのである。

基本書は奇数にする(P55)

その理由は、定義や見解が異なる場合、多数決をすればいいからだ。…そこでの多数決に従えば、少なくとも素人判断を避けることができる。
(中略)
学術的な心理は本来、多数決とはなじまないということをよく念頭に置いた上で、日常的には暫定的に多数決に従って知識をつけていくしかない。

自分の知識で現実の出来事を説明できるか(P58)

重要なことは、知識の断片ではなく、自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ。

本を選ぶ時は、真ん中のページを開いてみる(P60)

なぜ、真ん中のページを開くのかといえば、本の構成として、初めの部分は「つかみ」と言って、どのように読者を引き込むかという工夫を著者と編集者がしており、最終部の結論は、通常、著者がもっとも述べたいことを書いているので、読みやすいからだ。翻訳書の場合、そのような本自体の構成に加え、真ん中くらいになると緊張が続かなくなり、翻訳が荒れてくることがある。

囲みの部分をノートに写す(第二読)(P68)

囲んだ部分のすべてを書き写すには及ばない。定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うのだが自分で意味がよくわからない部分を書き写すのだ。
そして、欄外に「わからない」とか「○○の言説と対立」といったような書き込みをしておく。読者自身の評価をノートに記すことが記憶を定着させ、理解を深めるコツである。要は写本を作ることが目的ではなく、理解するために抜き書きするという原点を忘れないことだ。

結論部分を3回読み、もう一度通読する(第三読)(P69)

第三読にかける期間は3〜4日である。もう一度、通読するのであるが、まず目次の構成をよく頭にたたき込んだ上で、結論部を3回読む。

2冊目以降の基本書の読み方(P71)

…今回は熟読といっても、最初の本と比べればずっと効率的に作業を進められる。…各冊を4〜5日くらいで処理することだ。
まず、2〜3日かけて第一読をする。その際に重要箇所についてはシャーペンで枠に囲み、その部分にポストイットを貼る作業も同時進行する。
その後、枠に囲んだ部分のうち、特に重要な内容を1〜2日でノートに書き写す。…ノートに書き写す部分については、「迷ったら書き写さない」という原則で、極力少なくする。

「超速読」で書籍を4つのカテゴリーに分ける(P76)

「超速読」は、…書籍を5分程度で読む技法で、試し読みと言ってもいい。
1.熟読する必要があるもの
2.普通の速読の対象にして、読書ノートを作成するもの
3.普通の速読の対象にするが、読書ノートを作成するには及ばないもの
4.超速読にとどめるもの

超速読の技法(P77)

5分の制約を設け、最初と最後、目次以外はひたすらページをめくる

超速読の目的は2つ(P78)

本の仕分け作業と、本全体の中で当たりをつける

知らない分野の本は速読できない(P79)

すでに充分や知識がある分野か、熟読法によって付け焼き刃でも一応の基本知識を持っている分野以外の本を速読しても、得られる成果はほとんどない。

当たりをつける(P79)

「この本はこの部分だけを読めばいい」「この箇所を重点的に読めばいい」
5分という制約を書けてページをめくり、気になった箇所があとでわかるように印をつけるのはそのためだ。

読書ノートを作る最大のポイント(P103)

時間をかけすぎないことだ。30分なら30分、1時間なら1時間と自分で時間を決め、それ以上、時間をかけないようにする。
(中略)
正確な形でデータを引き出せることと、積み重ねた知識を定着させることで、完璧なノートを作ることではない。

ノートを作るコツ(P104)

…自分が特に重要だと思った箇所…に加えて、コツとしては、自分が現時点では理解できなくても、重要だと推察されるところも1〜2ヵ所、抜き書きしておくことである。

基礎知識をつけたつもりでも読書力が向上しない時は(P113)

自分の基礎知識のどこに欠落があるのかをきちんと調べることだ。その時に重要なのは、高校レベルの知識に関して自分にどのような欠損があるかを客観的に認識することだ。

大学入試センター試験が目安(P115)

大学入試センターの試験問題をひととおり解いてみれば、どの辺に知識の欠落があるかがよくわかる。目安として、8割を得点することができれば、当該科目の基礎知識が身についていると考えてよい。

教科書と学習参考書を併用する理由(P123)

教科書はページ数と記載する事項が厳密に制限されているため、事項の羅列になっていて、読んでも意味がわからないことがある。教科書とは、教師がいる環境想定をしているので、説明不足が許されるのである。

専門書を読むには(P174)

ある程度の基礎知識があり、専門家が何を話しているかをだいたい理解できるようになって初めて専門書を読むことができるのだ。

頭に定着するには時間がかかる(P245)

本を読んでから、その情報が頭の中で整理されて、きちんと引き出せるようになるためには、一定の時間が必要になる。…筆者の場合、だいたい3ヶ月から6ヶ月すると、新しい知識が「発酵」して頭に定着し、自分で運用できるようになる。

疲れている時に読むのは記憶に定着させたいもの(P250)

極端に疲れていると熟読はできないので、夜中に新しい基本書を熟読することはあまりない。夜中に読むのは、何度でも読み返す基本書や過去に読んだ本など、記憶に定着させたいものが多い。新しく読む本なら、すでに通暁しているテーマのものを選ぶようにしている。

時間を効率的に用いるためには、「終わりから考える」ことも効果的(P258)

年頭に学習計画を立て、半年後、1年後に自分が何をしているかを考え、そのために必要な知識をどのようにして身につけたらよいかを考えると、効率よく知識を身につけることができる。

*1:本書では1冊のように書かれていますが、実際には3冊に分かれているようです。『New出口現代文講義の実況中継 1』『NEW出口現代文講義の実況中継 (2)』『New出口現代文講義の実況中継 3

*2:カテゴリ「おすすめ本リスト」の中でタグ「読書の技法」をつけたもの。タグ一覧は画面左下にあります。クリックするとそのタグがついた本だけが表示されます