前に読んだ『プロ論。』の続編。前が面白かったので期待して読んだが、今回も期待を裏切らずに面白い内容だった。
続編なので、失礼ながら前より載っている人が見劣りするのでは、と思ったがトップの堺屋太一さんに始まり、吉越浩一郎さん、渡邉美樹さん、浅田次郎さん、宮本亜門さんなど豪華な顔ぶれ。
ただ、読む側の気持ちの問題かもしれないが、前はそれぞれの言葉がバラエティに富んでいたのに、今回は「好きなことをやれ」と「目の前のことにとにかく取り組め」にまとめられてしまうような印象があった。“さっきの人とまったく逆のことが書いてある”という振り幅の大きさが魅力だと感じていたので、その辺は少し残念。
先日読んだ『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』に
「他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちを経験する時間はない」(P175)
ということばがあったが、まさに人の人生から学べる1冊。前向きな気持ちになれます。
私のアクション:人生をロングスパンで考える
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読書日記:『プロ論。』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
■堺屋太一さん
好きなことをやらないと必ず後悔する(P15)
わからなければ探し続けるんです。好きを探すことこそ、人生で一番の仕事なんですよ。
■樋口裕一さん(小論文の専門塾「白藍塾」主宰)
さっさとやめることも大事(P69)
人生には選択を迫られることがいくつも訪れます。その時、もし決断が間違っていたかなと思ったら、サッサとやめることも大事です。さっさとやめて見切りをつける。いくらやったって、ダメなものはダメなんだから。
気持ちをいつも、ぴりっとしゃきっとさせておくこと(P95)
細胞から生き生きさせないと。頭で生きてちゃダメ。それでは、チャンスがやってきてもつかめません。…全身で考え、全身で感じないと。細胞から感じ取ろうとすると、生物的な反応で対応できます。
■リリー・フランキーさん
合う仕事は自分の体に聞くのが一番(P100)
体が、そこの空気に合ってるかどうかです。バイトもそうでした。デザイン系の会社のバイトより、肉体労働系のバイトの方が、オレは圧倒的に楽しかった。仕事相手も、親方も、友だちも合ってました。…体がそう言っているなら、素直に辞めた方がいいんです。
もっと自分を肯定した方がいい(P101)
…願ったり口に出したりしないと、叶うわけない。だって、誰にも伝わらないもの。わかんなきゃ、チャンスはめぐってこないんだから。どんどん自己肯定して、妄想を膨らませないと。
生業(なりわい)と仕事の違い(P101)
農家の発想は、田んぼに稲を作り、農協に納めてお金をもらう。これは仕事ではない、と。生業だというんですね。仕事というのは、あぜ道の草を抜いたり、まだ荒れているところを耕したり、すぐにはお金にならないことをやること、つまり先のことのために働くこと。
■今村ねずみさん(THE CONVEY SHOW主宰)
やる前から答を出しすぎ(P159)
みんな豊かになったから、答ばかり急いでいる気がします。何だって、やってみないとわからないんですよ。会ってみないとわからないし、行ってみないとわからない。
■大黒将志さん(サッカー選手)
試合に出すかどうかを決めるのは監督(P164)
もし一生懸命やっていて、それでも出られなかったらしょうがないんです。試合に出られるかどうかを考える前に、やるべきことをやるのが大事。とにかく必死で練習しておけということ。
■パパイヤ鈴木さん
好きなもの、面白いと思うものをはっきりさせ、それを大事にして仕事をしていく(P189)
結果を目指すより、こうしたい、これが面白いと思うことを優先させた方がいい。…大事なことは、分析にプラスされるサムシング・エルス、自分にしかできない直感であり、発想です。それを活かさなければ差別化にはならない。
■石田衣良さん
誰かの心を強烈に惹きつける魅力は、実は多くの場合、弱さや不完全さの中に潜んでいるんです(P197)
■倉田真由美さん
ヒットの秘訣は「異種格闘技」(P213)
異種格闘技とは「異なるものを取り入れて自分のものにアレンジしていく技」のこと。プロジェクトを成功させるためには、「一見、違ったもの」を合わせていくことが大切なんです。違うジャンルのものを、今の業態に利用できないかという考え方を常にしていけばいい。
仕事をする上で最も大切なことは「原理原則を核とし、それを守り続けること」(P214)
食品だったら、おいしいものを作ることだし、アニメだったら、動く絵で伝えられる面白さを追求すること。原理原則が核にあれば、時代を超えて支持されるものを生み出すことができます。
■細野真宏さん
論理的思考の訓練(P221)
何かが起きた時、できるだけ根源的な部分にまで踏み込んで原因を考えてみる。常に知的好奇心を持ち、心の中で「なぜ」を繰り返してみる。それが、論理的思考の訓練になります。日ごろからそうした意識を持つ(以下略)。
■箭内道彦さん(クリエイティブディレクター)
目標にしたいくらいの人をライバルにする(P233)
会社に入ったばかりの頃、上司から「お前のライバルは誰だ」と聞かれたことがありました。頭に浮かんだのは、隣にいる同期入社のデザイナー。
それを見透かされて、いわれたんです。「そう思った瞬間、お前はもう終わってるんだ」と。ライバルにすべきなのは、日本で一番注目されているクリエイターのはずだと。
■片山右京さん
結果がついてくる人とついてこない人との違い(P240)
僕は両者を分けるのは、自信の違いだと思っています。自信がなければ自分を洗脳すればいいんです。「できる、やれる、絶対あきらめない」と自分に30分も言い聞かせていると自信が生まれる。…実は言葉の力って、大きいんですよ。日本語には「気」という言葉がたくさんあるでしょう。自分を信じ続ける人には、いい「気」か出るんです。
■幸田真音さん(作家)
サインに書き添えるのは「信じること」と「楽しむこと」(P244)
前者は、誰が何と言おうと自分を信じること。
(中略)
…後者はかつて外資系金融機関にいた頃、ボスから言われた言葉でした。…「Have fun!」大変な状況をこそ楽しめ、と。
発想ひとつで意識は変えられる(P245)
実際に外資系企業では、リストラされて喜々とする人もいます。「次のトライができてよかったね」と声をかける同僚もいます。…「問題が見つかったらビジネスチャンスが到来したと思え」というのが、アメリカ的なマーケティングの考えです。
■古賀稔彦さん
自分の欠点を認められる人は成長できる(P252)
人は誰でも自分の欠点は認めたくない。都合の悪いところは避けて通りたい。でも、欠点をそのままにしておくと、それがいずれ成長の足枷になる日が来る。だから、常に欠点を乗り越えていかないと、前には進めないんです。
■杉山愛さん
まずは自分を知ること(P264)
私は試合後に必ず反省し、課題点を見つけていきます。自分を徹底的に分析すれば、必然的に今やらねばならないことが見えてきますよ。
トップの人ほど何事にも臨機応変に対応でき、人間の器が大きい(P265)
上に行けば行くほど、取材に時間を割いたり、地域貢献をしたり、練習のほかにやらなくてはならないことがたくさん出てきます。…それでも明るくこなしていけるのは、考え方がポジティブで、どうせ同じ時間を過ごすなら楽しく過ごしたいと思っているからなんですよ。
いい時は焦らない、悪い時はあきらめない。最後は自分が勝つようにできていると思って、臨めばいい(P273)
目の前のことに、とにかく全力で取り組もうと思ってた(P280)
そこを片づけないと、先には進めないんだから。目の前の充実がなきゃ、その先にいいことなんてあるわけないんだから。
苦境に直面した時、自分をなぐさめてちゃダメ(P280)
どうしてうまくいかないんだ、どうして不幸なんだと自分を哀れんだら、問題が大きくなるだけ。やっぱり目の前なんだよ。自分が置かれている状況と、自分がやらなきゃいけないことを真っ正面から見つめないといけない。
■荒俣宏さん
人生の脚本を書き、演じるのは自分(P291)
誰かが書いた脚本を演じているのでは、あまりにさびしい。いかに楽しい脚本を自分で作るか。楽しい役を用意するか。仕事は、そこから始まるべきなんです。
■角田信朗さん(格闘家)
練習はね、自分に負けないためにするものなんです(P296)
■鎌田實さん(医師)
人生は面白いと思えることを探し出す感性を養うことが大事(P300)
そのためには本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたりするといい(以下略)。
がんばり続けて成功した人はいない(P302)
…「がんばらない」っていうのは、だらだらしていいというわけじゃないんです。「がんばらないけど、あきらめない」。これがすごく大事なことでね。…がんばれ、がんばれって、ずっと絶叫されると、本当の力は出てこない。
(中略)
がんばらない勇気を持っているがんばり屋が、人生で成功している。
苦しい時期は続かない(P303)
苦しい時期は心の貯金をする時間だから、本を読んだり、いい音楽を聴いたりするといい。そして、そこに書いてあることの意味を自分のものにする。遊ぶ時は思いっ切り遊ぶ。だらだらしない。そうしたら、また元気がわいてくる。「がんばらないけど、あきらめない」を続けていると、いつかきっと、チャンスが巡ってくる。いい人に出会えたりもする。その時こそ、がんばればいいんですよ。
■cobaさん(アコーディオニスト)
大事なのは「その仕事で何を表現したいのか」(P308)
自分自身の根っこの部分ですね。そのために仕事をしている。根っこがはっきりし、仕事との関係性がわかっている人は、結果を出せると僕は思います。成果やお金は、あとからついてくるものです。
■宮本亜門さん
前例がない=チャンス(P321)
20代の時、こんな演出家になりたいって人に言うと、「夢が大きくっていいね。でもなれないよ」って、みんなが言った。それも前例がないからと。だけど、よく考えたら、前例がないからこそ、自分の場所がある。前例があるってことは、話題にならないってことですからね。
*1:表紙に出ている名前を確認したところ、新しく何人か掲載されているようです