毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

自分の「限界」を超える方法☆☆☆

突破論
突破論
posted with amazlet
平井伯昌
日経BP社(2012/07/17)
¥ 1,470
著者の平井さんは、言わずと知れた北島康介選手を育てた水泳の名コーチで、現在は競泳日本代表チームのヘッドコーチだ。
北島選手の2大会・2種目連覇以来、「人を育てる」というテーマでビジネス界でも講演などを頼まれることが増えたのだそうだ。この本もビジネス系雑誌の連載をまとめたもので、ロンドン五輪に向けて指導してきた寺川綾加藤ゆか上田春佳の3選手の指導プロセスを軸にさまざまな指導論を知ることができる。
私は自分で自分をどう成長させていくのか、そのヒントをつかみたいと思って読んでみた。


選手1人ひとりの性格などを考えて指導法をきめ細かく変えること、コーチと選手の距離の取り方などは後輩や部下の指導に悩む人にはヒントになると思う。
最後の章には3選手のインタビューも載っているが、見事に平井さんの書かれていることと各選手が話している内容が一致しているので、信頼関係の強さが伺える。選手はひとりでは育たないのだなあ、と改めて感じた。人生をかけて打ち込んでくれるコーチがいてこそ、結果が出せるのだ。

平井さんは「逆算式」で計画を立てることを以前から書かれていたが、この本ではそのメリットがよくわかる。私は逆算式が苦手なのだが、この本を読んで一度試してみようと思えた。
また、プランの綿密な立て方や微調整の方法、適切な目標設定などがくわしく説明されているので、スポーツ以外の分野でも役立つと思う。
これなら、練習(または課題や勉強など)の意味がわかり、納得して取り組めそうだ。
特に、“限界の打ち破り方”は参考になる。


世の中のほとんどの人がこんな名コーチにつきっきりで指導してもらうのは無理なので、この本を読んでセルフコーチングを試してみるのもよさそうだ。目標設定が苦手な人、頑張っているつもりなのに結果が出ない人はぜひ読んでみてください。
私のアクション:計画を「逆算方式」で立ててみる


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

逆算方式の方が積み重ね方式より本番に強い(P23)

逆算方式でやれば、不安要素がどんどん減っていきます。康介がレースでスゴイ力を発揮する時は、スタート台に立った時に不安要素がない時。

大事なのは絶対評価(P44)

康介の場合、他人との比較という相対評価ではなく、自分に対する絶対評価から、自分自身、ひいては物事を捉えています。自分にとって価値があるのは、人と比較した評価ではなく、自分ががんばれたかどうか。周囲の影響などまったく関係ないから、周りに流されないし、ダメだった時は周りのせいにしない。言い訳をしないから、次につながる課題を自分で見つけます。

常勝にこだわらない(P53)

最終的に自分はどんな人間になりたいのかというゴールを設定する。その最終目標に向かって、場合によっては常勝にこだわらず、定期的にインプットに集中する期間を持つ。すると、自分のポジションをより高めることができます。

忍耐力を持って取り組んだ経験が必要(P98)

スポーツでも、競技力を向上させるには、なぜそれをやると強くなるのかという理屈が分かっていた方がいい。でもそれは「最終的」でいいんです。それよりも大切なのは、とにかく忍耐力を持って物事に取り組めるかということ。効率や動機ばかりが先立って、忍耐しながら必死に頑張る経験がごそっと抜け落ちていれば、本当に辛い時期に乗り越えることなどできません。

ぶれない=不安要素が減る=実力発揮(P106)

周囲の環境や、状態の良し悪しで簡単に崩れない強い芯を作るには、まず、明確な目的意識を持つことが大事です。「何のために競技を続けているのか」「自分の最終目標は何なのか」「自分とは何か」と自問し、その答え(=目指すべきもの)が明確になればなるほど、考えのぶれは少なくなります。ぶれないということは、不安要素が軽減することであり、実力を発揮しやすくなる。

「ぜったいにこうなる」と信じる(P115)

「こうなりたい」と思うことは非常に大切です。なりたい、なろう、絶対になるんだ!と目指すべきものになるために、自分を本当に信じられるかどうか。信じられるぐらい努力したかどうかが重要です。それは指導者も同じで、「メダルを獲らせたいな」ではなく、「絶対に獲らせるんだ!」と思えるかどうかで、最終的な到達点は変わってくる。

好調な時ほど要注意(P118)

私はよく、「絶好調は不調の始まり」という言葉を口にします。一見、ネガティブワードのように思えますが、好調な時こそ舞い上がる気持ちを抑え、冷静さを保たないとたちまち不調に陥ることがある。絶好調な時ほど心や体のバランスが崩れやすくなります。

ケガをした時感じた思いを大切にする(P120)

ケガをした時ほど、「泳ぎたい!」という思いが生じます。私は、不調な時に感じた思いほど大切にしなさいと、選手に話しています。その悔しさが厳しい練習を乗り越え、大きな大会で勝負するためのパワーになるからです。

稲森和夫さんのことば(P196)

「『楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する』ことが、物事を成就させ、思いを現実に変えるのに必要なのです」

高い目標と現実の間を埋めるのが練習(P196)

データとその時の状態から、選手の課題を明確にしたら、緻密な計画を立てます。それまで試してきた練習の結果からメリットとデメリットを洗い出し、デメリットの部分を減らす方法を考える。

計画は微調整が不可欠(P197)

コンピューターと一緒で、その都度、メニューをバージョンアップしたり、バグが出たら修正したり、アップデートしたりなどの調整が必要になります。計画を実行するには、状況を的確に判断しながら軌道修正する柔軟さが大事。悲観的に考える人は、計画通りにならなくなった時点で気持ちが萎え、臨機応変に対応できなくなるのかもしれません。楽観過ぎても悲観過ぎてもダメで、バランスが大事なのでしょう。