毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「動物行動学」は超刺激的!☆☆☆

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
コンラート・ローレンツ
早川書房(ハヤカワ文庫NF)(1998/03)
¥ 777
佐藤優さんの『読書の技法』で引用されていたので読んでみた。あとで気づいたが、齋藤孝先生の『読書力』巻末のおすすめ本リストにも上がっている1冊だ。
当初の目的とは違ってしまったが*1楽しんで読め、動物に関する知識も得られるいい本だった。
ちなみに、「ソロモンの指輪」とは、聖書に出てくるソロモン王が授けられた“はめると動植物をはじめ、すべての生き物の言葉がわかる指輪”のこと。著者はまるで指輪をしたソロモン王のように、動物の言葉を理解するのでこのタイトルをつけたようだ。

著者はかの有名な「刷り込み」*2を広く世界に知らしめた人物であり、この本がまさしくその役目を果たしたものだ。
決してむずかしい本ではないが、最初のうちはやや古めかしい訳と動物の種の名前が多数出てくるのでとまどった。ただ、読み慣れてくる西欧圏特有のウィットに富んだ文章に引き込まれる。動物学者の書いた本というと堅苦しそうだが、私は「楽しいエッセイ」のつもりで読んだ。


著者はできるだけ自然な形で動物の生態を観察したいと思うので、家の中で放し飼いに近い状態で多数の動物を飼っていたという。奥様は相当忍耐強い人だったに違いない。
また、著者は動物の言葉をある程度理解し、自らもコミュニケーションの必要がある時に使っていたそうだが、そのために周りの人たちには変人と思われていたそうだ*3。動物の研究に身も心も捧げた人だ。


長年研究してきた人だから言える「本当に飼いやすい動物」指南は胸を打つ。ひどい扱いをされる動物を1匹、1羽でも減らしたいという願いがひしひしと伝わってくるからだ。
また、人間が動物を擬人化して見ることに異論を唱えているのも意義深い。実はオオカミよりもハトの方が残忍だとか、常識と思っていたことを覆すエピソードが多数ある。

著者は1989年に亡くなっているが、この著書の中でも正しい知識を持って動物を飼う人が少ないことに嘆き、警鐘を鳴らしている*4。著者が今の世の中を見たらもっと嘆きそうだ。
動物のあり方を通して、最後には人間という種のあり方を考えてしまう本。

翻訳物が苦手じゃなければ、動物好きな方はぜひどうぞ。
※この本のメモはありません

*1:佐藤さんは「知識の刷り込み」について言及していたので、この本にもその話が出てくるのかと勘違いしていました。もちろん出てきません

*2:Wikipediaはこちら

*3:もちろん、この抱腹絶倒のエピソードはたくさん出てきます

*4:動物園まで名指しで指摘されています