毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

まず自分を知ろう☆☆☆

プロ論。3
B‐ing編集部
徳間書店(2006/12/15)
¥ 1,680
プロ論。』『プロ論。2』の続編。なぜかこの本だけ文庫になっていない。
読んでみたら、何となく予定調和というか、小さくまとまっている気がした。インタビューされている方々は、前の2冊同様とても豪華なのに不思議*1。長年続いていた連載なので、担当者が変わったということだろうか*2
そうは言ってもやっぱり響く言葉の宝庫だった。


今回繰り返し出てきたのは「自分を知ること」「自分の感覚を信じること」の大切さ。いい意味での「自分中心」が必要なのだろう。

続けてこういう本を読んでいると、自分がどういう生き方をしている人に惹かれるかがわかってくる。たくさんの人の言葉と出会う本を通して“自分を知る”きっかけになる、というのも面白い。
3冊通して感じたのは、映画監督は客観視する力が強い職業だということ。引用した人たちの中で一番多かったかもしれない。
ひとりでやる仕事と違い、映画監督はたくさんの人もお金も使う仕事なので、“自分を押し通す”というやり方が通じないのだと思う。“やりたいことと売れることの両立、すり合わせ”にはみなさん苦心されているようだが、ここに人生のヒントが詰まっていると感じた。


個人的にこの本で特に面白かったのは為末大さんと島田洋七さん(=がばいばあちゃんの言葉)。いろんな本を読んでいるが、いつも期待を上回る内容の濃さだ。
ぜひ、たくさんの人たちを鏡にして、自分を知るきっかけにしてください。
私のアクション:人生に正解はない、と知った上で行動する
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
榊原英資さん(元大蔵官僚、経済学者)

人は常に間違える(P20)

…投機家のジョージ・ソロスのは、ファリビリティー(誤謬性・falibility)をひとつの哲学にしています。人は常に間違えるということです。

世の中に確実なものなんて何ひとつない(P20)

※米国の元財務長官ロバート・ルービンのことば
だからこそ必死に情報を集め、考える。優秀な人の言うことを素直に聞ける。そしてよりよい結論を導ける。

白黒はつけられない(P20)

多くの日本人はすぐに「絶対正しい」と言いたがります。でもね、本当の答はやぶの中なんです。白黒はつけられない。常にグレーなんです。その前提で考えないといけない。

人生に答はない(P21)

そこに気づくと行動が変わります。そして世の中も、違って見えてくるんです。
■岩崎究香(峰子)さん(元祇園芸妓・作家)

お座敷では毎日の行いが出んのどす(P67)

毎日、きっちりとしたリズムで暮らしているか。どんな時も、立ち居振る舞いやあいさつがちゃんとできているか。うちは夜中の2時、3時に戻っても、毎朝6時に目を覚まし、毎日きっちりと同じリズムで生活し、それが狂わんようにしてました。

本当に一流の人には、いらんプライドがない(P70)

地位が上がって横柄になるのは、それだけの器やということ。いらんプライドを捨てられへんさかいです。本当に一流の人には、いらんプライドがない。「自分がこれを作っていて、世界一や」というプライドはありますけれども、地位やら役職やら、いらんプライドはない。素の人間が出るのどす。

突き抜けそうな人は、自分を知る人(P71)

自分が何に向いてるか、何が得意かを知っている。芸妓でいえば、舞を習うてみたけれども、頭打ちになった時、笛は得意やと気づけるかどうか。鼓はどうやろかと。自分の得手のテーマをけいこし、こだわる。これができんと、迷たはんのが見えんのどす。
北尾吉孝さん(SBIホールディングス株式会社代表取締役執行委員CEO)

結果がダメでもクヨクヨしない(P77)

ただしそのままにはしない。何がいけなかったのかを考え、次につなげる。そして、天が自分にこんな機会を与えてくれたのだと、前向きにとらえてみる。

あきらめない(P77)

時間はかかります。すぐには報われない。でも、あきらめない。人が陥りがちなのは、あきらめてしまうことです。
小宮山悟さん(元千葉ロッテマリーンズ投手)

幸運ではないけど強運(P83)

事実、どれだけ回り道してきたか。「ツイてねぇなぁ」の連続だった時期もある。でも、回り道をして今があるということは、強運だったということです。強運というのは、その時にはわからないんです。でも、あとで振り返ってみた時、強運だったとわかる。
村上隆さん(アーティスト)

毎日トレーニングして、基礎体力を作る(P94)

どんな仕事でも同じだと思いますが、一番大事なのは基礎。体がキレ味よく動くようにしておく。モチベーションを高く持っておく。すごくテクノロジカルです。アイデアが浮かぶ瞬間というのは、本当にコンマ何秒でしかない。

人間には限界がある(P94)

それを知った瞬間に人間には悲哀が生まれる。これが表現です。表現というのは力技ではなく、自分の限界を知るということなんです。
片桐はいりさん(女優)

人はその人にしか出せないものを必ず持っている(P113)

残念なことに、それが長所と気づかずに、短所だと思っている場合も多い。だけど、自分の中で短所を受け入れ、長所だと認めてあげられれば、今度はそれが個性になる。

欠点をモチベーションに(P114)

ひとつ欠点を克服してもまた欠点が見つかる。だから、努力をやめることができない。次はここを直そう、今度こそ満足できるようにがんばろうと思うことが、いつの間にか仕事を続けるモチベーションになっていきました。…だって、たまに「この人、天才だなあ」って思う人と出会いますけど、そういう人は途中で成長が止まってしまう。それより、いつか納得できる演技をしたいと渇望しているくらいの方が、仕事は長続きするんです。

課題が生まれるってことは、ちゃんと年を重ねられている証拠(P115)

金田一秀穂さん(言語学者

体力が続くための一番の条件は面白がる視点(P126)

実は丈夫さではありません。実際、僕はものすごく体が弱いし、疲れやすい。しかも、学生より年齢も上です。
ところが、(学生を連れて海外に行って)学生がおなかを壊したりしても、僕は大丈夫なんです。なぜか。面白がる視点が僕にはあるからです。
(中略)
面白がればいいし、聞いてみればいいんです。そうすれば疲れないから体力も温存されるし、実際に面白い。

大事なのは、自分の言葉で話すこと(P126)

面白がるというのは、自分の言葉を持つということです。自分で感じた言葉が出てくる。
しりあがり寿さん(漫画家)

何を選択しても、メリットもデメリットもある(P133)

自分で冷静に見極めるしかない。自分なりに勉強したり努力するしかない。最も危険なのは、人の意見やムードに振り回されて、安易な答を求めてしまうことです。答なんてどこにもないんですよ。自分の目で見て、自分で出した判断こそが、答なんです。
為末大さん(元陸上選手)

一流選手は、負けても立ち直りが早い(P137)

これが強さを生みます。実際、勝ち続けてチャンピオンになった選手よりも、幾度も負けを経てチャンピオンになった選手の方が、追いかける方はキツいんです。
藤沢久美さん(シンクタンク・ソフィアバンク副代表)

企業をヒントにする(P144)

企業は、個人以上にせっぱ詰まった状況を過ごしてきました。生き残るために、成功するために相当知恵を絞っていた。では、何をやっているか。選択と集中で、強みに特化する。自分にないものは、業務提携でカバーする。株価という価値を上げるために、ビジョンを明確にし、戦略を立てて実行する。
これ、実は個人でも同じなんです。得意分野を作り、ネットワークを作り、目標を立ててステップアップしていく。私はいつも言っているんですが、私個人が藤沢株式会社なんです。
三池崇史さん(映画監督)

個性は無意識になった時、自然な時にこそ出るものだ(P150)

こんな風にやりたいというのは、個性じゃなくてあこがれなんです。ところがみんな勘違いする。つまらないあこがれにこだわってつぶれていく。本当の自分でやらないから、無理が出ちゃう。

我を通すのは意味がない(P150)

我を通そうとするのだって、我を通したという事実が自分のプライドを満足させるのであって、意味ないんですよ。あいつは難しいヤツだと思われるだけで。仕事というのは、どう妥協するかでしょう。映画でも何でも思い通りに進むはずがない。その時に、どうするか。妥協して、どう面白くするか。そこにこそ本当の力が出る。プライドの勝ち負けの問題じゃないんですよ。
岩村明憲さん(プロ野球選手)

野球選手は、技術はほとんどみんな同じレベル(P157)

あとはメンタルな部分が左右する。いかに平常心を保てるか。気持ちを切り替えられるか。冷静になれるか。

ネガティブなことをいかにポジティブな経験に変えるか(P157)

いよいよこれからという時のケガ(手首の骨折)でした。しかも開幕直後。これはこたえました。ネガティブに考えたら、ものすごい痛手です。ただ、嘆いていても前には進みません。これをいかにポジティブな経験にできるか、考えるようになりました。「3ヶ月の猶予をもらったと思え」。体をケアする。外から野球を見る。足腰の強化に使う。人付き合いを広げる…。
金美齢さん(評論家・台湾出身)

フェアであることも大切(P162)

人の仕事がきちんと評価できるから、自分の評価も人から得られる。自分がフェアにならないと、他人が自分にフェアになるはずがない。だから会社に勤めたら、会社にもフェアじゃないと。

神は自ら助くるものを助く(P163)

自分がやらなくて、誰が助けてくれるんですか。一生懸命やっていれば、誰かが必ず助けてくれるの。

苦しみは人を磨くの。だから、苦労のない人はのっぺらぼうよ(P164)

島田洋七さん(漫才師)

山を登ったら、今度は谷も下りていけ(P169)

いっぱい気づくことがある。そもそも頂上なんて住むところじゃない。記念撮影が終わったら下りてこい。谷はいいぞ。鳥もいるし、きれいな花も咲いている、川だって流れている。川で体を洗ってさっぱりしたら、もういっぺん山の頂上へ向かえ(おばあちゃんの言葉)。

見栄を張るな、誰も見ていない」(P169)

「人はまず働け。働けば、米、みそ、しょうゆ、友だち、信頼がついてくる」(P170)

安売りしない(P170)

…コツコツ努力して、どかんと売れたらね、そっからは安売りしちゃいけない。なぜなら、すごく売れたってことは、何かが身についているってことなんです。それは一生消えない財産です。それを安く売ってはいけない。
長嶋有さん(作家)

楽天的でいることも大事(P215)

シビアな状況でも、他の人から見てパラダイスの部分は間違いなくある。…数少ないパラダイスを楽しむべき。楽観性って、すごく大事。理不尽に、重い荷物を背負わされても、そこで何か冗談を言えるか。不満があってもいいけど、不機嫌な顔をせずニコニコしていられるか。成功者には、苦虫をかみつぶした人って、いないから。
押井守さん(映画監督)

自分にとっての勝ちは何か。それがわかってないから負ける(P202)

映画監督にとっての勝ちは、好きなものを作ることじゃない。次のオファーが来ることです。そうでなきゃ、ただの失業者ですから。売れるものとやりたいこと、このふたつを両立させなきゃダメなんです。どちらかひとつだと必ず破綻する。
鈴木敏夫さん(スタジオジブリ代表取締役

プロデューサーとして作品をヒットさせるコツは、実はシンプル(P208)

奇をてらったり、変なことを企画するのではない。まじめに作品を理解し、その内容を見てもらいたい人にちゃんと伝える。これだけです。
高田文夫さん(放送作家

うまくいかなくてもまた明日(P215)

そりゃ、うまくいかないこともある。僕だって企画が通らないとか、そんなのちょっちゅうだよ。いけると思って当たらなかったこともあるしさ。でも、僕は撤退も早いから(笑)。江戸っ子は、逃げ足早いんだ。失敗して謝るのも早い方がいい(笑)。それでね、今日のことはさっさと忘れる(笑)。うまくいきゃ、結構。失敗すりゃ、そこから学べる。とにかく忘れて、さあ明日、明日。それがいいんだよ。
岩井志麻子さん(作家)

幸せか不幸せかなんて、自己申告(P241)

他人や世の中が決めるものでは決してない。
小山薫堂さん(放送作家

「偶然力」を養う(P258)

いい偶然があるのに、気づいていない人がいかに多いことか。でも、偶然力は養うことができる。僕はいつもタネを拾いなさいといっています。「これは使えそうだな」「何かのきっかけになるな」と思ったタネは、どんどん人生のポケットに入れていく。あまりあれこれ考えずに、偶然に面白いと拾ったタネを大事に持っておくんです。
名越康文さん(精神科医

人間は何かに向けて挑戦していないと死んでしまう(P270)

緩慢な自殺になるんです。…とてもイキイキどころじゃない。必死です。でも、その必死さが自分の生を輝かせ、永らえさせていると思うんです。だから、新しい挑戦が大事になる。

自分は本来ごう慢なんだということを知れ(P270)

本来は、この一人称の感動こそ、絶対に忘れてはいけないのに。ごう慢になれというのは、自分の感覚を信じろということです。自分の絶対的な価値を磨くためにも、あらゆる場面で自分の感覚を信じてほしいんです。
市川春猿さん(歌舞伎俳優)

確固とした自分を持っていなければ、辛いことは乗り越えられない(P285)

でも、それは頑固とは違う。人の言うことをいったん受け入れて、自分のフィルターを通し、取捨選択をする。そして、必要なことだけ引き出しに入れておく。
熊谷正寿さん(GMOインターネット株式会社代表取締役兼社長)

ひとたび仕事に就いたら、利を急がないこと(P296)

人生の大きな目標があり、そこから細かな日々の目標を立てていたら、焦る必要はなくなります。逆に薄っぺらな成果を出しても、それはすぐにはがれてしまいます。長い目で本当の力をつけていくこと。それが結果的には、報酬をもたらすことになるんです。
■高島ちさ子さん(バイオリニスト)

自分で努力のリミットを作ってしまっては駄目(P309)

よく時間がないからできないということがいますけど、時間は作ろうと思えばいくらでも作れるものなんです。
高田純次さん(タレント)

達成感<充実感(P315)

正社員もそうだし、フリーターもそうだけど、結局、早く結果が見たいわけでしょ。だから焦る。迷う。でもね、何かを成し遂げた達成感よりも、何かに燃えているという充実感の方が僕は好きなんですよ。結果なんて、わかんないんだから。

*1:だから文庫化されなかったんでしょうか

*2:しりあがり寿藤沢久美の両氏のみ2002年、2001年初出で、あとは2005〜2006年中心です