毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

本当は温情派・落合前監督☆☆☆

昨シーズンまで8年間、プロ野球中日ドラゴンズを率いた落合博満・前監督の著書。家族が借りてきたので読んでみた。
著者が何を考えてチームを率いたのか、また現役時代を過ごしたのかがわかる、いい本だった。


落合氏は、一風変わった人として知られている。現役時代は3冠王に3度輝く名選手で、名球会への入会資格*1を得たのに拒否。中日監督としてチームを率いていた8年間は「勝つことが最高のファンサービス」とし、いわゆる“ファンとふれ合う”ようなイベントをまったくやらなかったそうで、球団とはいい関係を築けなかったとされる。
試合後の監督インタビューでも「見ての通り」だけで終わってしまったりして、記者泣かせだったそうだ。

でも、何だかんだ言っても、2011年までの中日は強かった。敵に回すのは嫌なチームだった。私はファンサービスと強いチームとどちらを取るか、と言われたら強い方を取るので、落合氏の方針は正しい、と思っている。
読んでみて、その思いはさらに強くなった。


この本を読めば、何を考えて采配を振っていたのかわかる。何を考えてあんな発言をしていたのか、はじめて明かされる舞台裏もある。
プロ野球の好きな人は、読んでみれば「なるほど、そういうことか」と思うところがたくさんあると思う。
なぜ、キャンプ初日から紅白戦をやったのか。
なぜ、故障して何年も満足に投げていない川崎投手を開幕投手にしたのか。
なぜ、荒木選手とと井端選手をコンバートしたのか。
なぜ、日本シリーズ完全試合目前の山井投手を替えたのか。

落合氏は大学を中退、社会人を経て25歳でプロ野球界入りした苦労人で、実は選手の気持ちがわかるやさしい人なんだと思う。だからこそ、結果的にしゃべらない、顔に出さない、マスコミからしたら扱いにくい監督になったのだ。WBCにひとりも選手を出さなかったとバッシングされたことがあったが、この本を読めばいかに選手を大事にしていたかがよくわかる。


唯一残念なのは、そういった監督としての話と、一般の人にとっても役に立つような生き方・考え方が一緒に書いてあることだ。
私はできれば別に読みたかった。
もちろん、その「生き方」だけでも充分濃い内容になっている。
ある程度野球のわかる人ならぜひ、読んでみてください。
私のアクション:目標はやや高めに設定しておく


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「嫌われている」「相性が悪い」は逃げ道(P18)

そう思う前に、やることはいくらでもあるだろう。大切なのは、「自分の置かれている立場を、自分で正当に自己評価すること」である。
正当にというのは、冷静に組織の中における今の自分の立ち位置を見るということ。
(中略)
上司や監督に「嫌われているんじゃないか」。
そう考え始めた時は、自身を見る目が曇り始めたサインだと気づいてほしい。

ビジネスマンも野球選手も、3つの敵と戦っている(P42)

…仕事を「戦い」や「闘い」にたとえれば、自分のスキルを成熟させながら3つの段階の戦いに直面することになる。
それは、自分、相手、数字だ。

「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定する(P46)

私自身の経験を、あるいは他の選手の取り組みを見ていても、3割という打率を叩き出すのは容易なことではない。…ファンやメディアから「3割まであと一歩」と言われるが、その1分、2分を積み上げるのが至難の業だ。
(中略)
だが、3割を超えられない選手の傾向を分析すると、3割を目標にしているケースがほとんどである。一方、3割の壁を突破していく選手は、一度も3割をマークしていないにもかかわらず、3割3分あたりを目指している。

メンタル面にも理由がある(P47)

3割を目指す選手は、2割8分くらいまでは平常心で打席に立っていられるが、2割9分、2割9分5厘と打率を上げてくると、自分の打撃を見失ってスランプに陥ることが多い。
つまり、3割という数字が、自分の中で「目標」から「ノルマ」に変わってしまうのだ。…だからこそ、3割3分を目標にし、2割9分から3割へ打率を上げていくのも、あくまで通過点だと感じられるようにした方がいい。

周囲に公言する(P48)

目標というのは、心に秘めているだけでは達成への底力が生まれない。わずかの差で達成できなかった時「みんな目標を下回っているんだから」などと自分で言い訳を探して納得してしまうものだからだ。
(中略)
自らの自尊心に火をつけるのも、目標達成の手法のひとつだと思っている。

設定する目標が高くなればなるほど、経験者のアドバイスは重要になってくる(P49)

自分の目標を達成したり、充実した生活を送るためには、必ず一兎だけを追い続けなければならないタイミングがある(P53)

1日、1日と生活していく中で、さまざまなことをそれなりにこなそうとすれば、どうしてもバランスを取ろうとするため、ひとつのことに深く取り組む、すなわち没頭することができない。そして、それを一定期間継続すると、没頭するという感性を忘れてしまうのである。

他の球団で同い年の選手がレギュラーを取っても気にすることはない(P61)

レギュラーになってから、その選手より長く活躍すればいい。

負けない努力が勝ちにつながる(P68)

レギュラーになって活躍したいと思うなら(P103)

1.できないことをできるようになるまで努力し
2.できるようになったら、その確率を高める工夫をし
3.高い確率でできることは、その質をさらに高めていく
この段階を踏まなければならない。

*1:野手は2000本安打を打つことで入会できます。ちなみにピッチャーは先発なら200勝、抑えなら250セーブ