毎日「ゴキゲン♪」の法則

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美術の「素養」でさらに楽しく鑑賞しよう☆☆☆

印象派の名画はなぜこんなに面白いのか 』『ルーヴルの名画はなぜこんなに面白いのか』『聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』など、シリーズの1冊。今回はギリシア神話編だ。
日本人がなぜ印象派が好きなのか、読んでみてしみじみ納得した。



なぜここに印象派が?と思われるかもしれない。実は、著者が『印象派の名画はなぜこんなに面白いのか』で日本人が印象派を好きな理由のひとつとしていたのは、「時代背景や歴史・宗教などの知識がなくても楽しめる」ことだった。
そう、宗教画や神話にテーマを取ったものは、早い話が「素養」が必要なのだ。


もちろん、その「素養」をレクチャーしてくれるのがこの本。
ギリシア(ないしローマ)神話に登場する神々がどんな役割でどんなキャラクターなのか、神話のどの場面が描かれているのかをていねいに解説してある。
この本でも、教え子の大学生の疑問に答える問答形式で話が進むので、よく知らない人でもそれなりについて行ける。

とは言え、ギリシアとローマで名前が違ったり、複雑な血縁関係だったり*1、さらに神話にシチュエーションを借りて実在の人物を描いているとその説明もあったりしてとにかく複雑。読みながら「もういいよ、印象派がわかれば」とつぶやくこと数回。かなり咀嚼力と辛抱強さが要る。


日本人にとって西洋絵画がむずかしいのは、アトリビュート*2を知らないからだろう。アトリビュートとは、神や聖人の「持ちもの」のことだ。この姿でこれを持っていれば誰々、というお約束がある*3
西欧の人は見ればわかるそうだが、明らかに日本人にはハンディがある。これもていねいに説明してくれているので、ある程度の知識は身につきそうだ。
たとえば、必ずキューピッドを従えているのはヴィーナス。なぜなら、実はキューピッドはヴィーナスの息子だからなのだとか。


こちらも、もちろん見ながら美術館巡りができるようになっている。「はじめに」で触れられているが、ボッティチェリの『春』(プリマヴェーラ)で描かれている9人が誰なのか、わかるのとわからないまま見るのとでは大きな違いがあるそうだ。
実際の絵を見て「まあきれい」だけでは物足りなくなった方はトライしてみてください。
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※この本のメモはありません

*1:好色の神様が多く、母の違う子が山ほどいたり、血の濃い結婚があったりで、家系図を描こうとしたものの挫折…実は巻末に「ギリシアの神々の系譜」がまとめてあったんですが、それを見てもやっぱり複雑でした

*2:この本では「アットリビュート」と書かれています

*3:わかりやすく言えば、「七福神で琵琶を持っていれば弁天様、鯛を持っていれば恵比須様、白い髭で杖を持っていれば寿老人」みたいなものです