競泳日本代表チームのコーチを務めた平井伯昌さんの本。
サブタイトルは「なぜ、競泳日本は11個のメダルを取ることができたのか? 」。つまり、この本はオリンピック直前に出たのではなく、好成績を受けて出版されたものだ。
このため、今まで何冊読んだ平井さんの本の中でも、わかりやすくて面白い本だった。
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ロンドンでは日本代表のコーチだったので、今までのオリンピックとは違い、ご自分が指導していた選手以外も全員を見る必要がある。選手全員の個性をつかんで指導法を変えるポイントなどは、部下や後輩を育て、チームとしてどうまとめるかのヒントになると思う。
また、下のメモにもあるが、「夢」と「目標」をバランスよく持つコツについても書かれていて、参考になった。目標だけでもなく、夢だけでもなく、その両方を持ってうまく導けば、選手は ぐんぐん成長するのだそうだ。
さらに、いかにメンタルを強くするかについて、さすがは結果を出し続けるコーチだな、と思えることがたくさんあった。
この春から東洋大学のコーチに就任する平井さん。これからの活躍も楽しみだ。
チームを率いる人も、自分の能力を上げたい人にも役に立つ本。壁を破りたい方はぜひ読んでみてください。
私のアクション:真の“計画通り”を意識する
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読書日記:『突破論』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
「楽しい」とは「充実している」という意味である(P20)
オリンピックは勝負をする場所で楽しむ場所ではありません。それでもロンドンのメダリストたちが口を揃えて「楽しめた」と言っているのは、それに勝利してメダルを取った充実感ゆえ(後略)。
選手個人の主観的な評価も必要(P90)
それは「自分に負けないように、やるべきことをちゃんと考えてその通りにやってきたのかどうか」です。
自分にウソをつかない強い心を育てる(P104)
練習でも、もっとがんばれるのに「もうこれ以上は無理だから途中でやめよう」とウソをついてしまうといつまで経っても強くなれません。
夢は現実に左右されないもの、目標は現実に応じて変わるもの(P115)
目標は自分が置かれた立場や環境で変わります。
(中略)
夢というのは立場や環境に左右されないもの。手が届かない場合もありますが、「金を取りたい」と夢を見続けていないと決して叶わないのです。
それに「本当はこうなりたい」と夢をいつも胸に秘めているのは、楽しいことだと私は思います。いつも目先の現実的な目標ばかりを見ていると、息苦しくなることもあります。夢を見続けながら、半年後、1年後の現実的な目標を叶えていくのがよいと思います。
状況がピンチになっても、自分の精神状態までピンチにしないことが大切(P127)
思考を切り替えれば、この機会に何か違うチャレンジはできないのかと考えます。それが飛躍のきっかけになるケースもあると思います。
「計画どおり」とは(P132)
立てたプランのプロセスを守ることではなく、目標を予定したように達成するかどうか。
北島康介選手「メダルが欲しくてやっているんじゃない」の意味(P164)
それは、メダルを取るために妥協なく努力して一生懸命やってきたことが自らの財産になるという思いです。