これから主流になるマーケティングかもしれない。
著者・阪本啓一さんは、マーケティングやブランディングの専門家。株式会社JOYWOWという、なかなか面白そうな会社をされていて、その熱い経営理念はこの本でも随所に出てくる。
テーマは新しいマーケティング(P9)。
(中略)
内容は、「たったひとりに集中しよう」というマーケティングアプローチ(P10)。
個人で仕事をしている時、一応「ターゲットを絞れ」とか、そういうマーケティングとかブランディングのレクチャーは受けた。
来てほしい顧客をたとえば「30代・独身女性」とするだけではなく、具体的な年齢や今いるポジション、どんな生活をしていて、何が悩みで、どんなことを求めているのかを考えなさい、と言われた。
でも、著者が提案する「フォーカスマーケティング」はそれとは違う。「実際の、生身の人間に向けて行う」ものだからだ。
「たった1人」にフォーカスする新しいマーケティングは、現実に目の前(PCやスマートフォンのスクリーンの向こう側)にいる1人に集中しよう、というものであり、「生身の人間」に焦点を当てる。架空のペルソナではない。
これを、「フォーカスマーケティング」と呼ぼう(P204)。
わかりやすい例が文中に出てくる。北海道のある若手の集まりで、イベントを企画した。それを「30代女性」ではなく、集まりに参加していたある女性が、一番気に入るであろう企画をみんなで考えたそうだ。その結果、本人が気に入っただけではなく、あとで聞いた他の女性たちも「私も行きたい!」という声が続出したそうだ。
架空の誰か、では届かないのだ。目の前にいる、誰か。もしくは目の前にはいなくても、リアルに感じられる誰か。その人に向けて考えたり、書いたり、提案することで、血の通ったものになるのだろう。
具体的な内容はこんな感じ。
時間がない人のための手っ取り早いTODOダイジェスト6(P13)
個人的に、「アナログ力を鍛える」というのが説得力があった。人と人の交流がこれからのカギになるのだ。それには、時間も労力もつぎ込まなければならないそうだ。
「差別化」が必要な職業、特に個人でやっている人には参考になる本です。
私のアクション:「具体的な誰か」を想定してブログを書く
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
「会社をつぶすには?」を問う=「コア・アイデアが広まりやすいか?」を考える(P43)
・ひと言でいえる=シンプル
・伝えた相手が何らかの得をする(賞賛を得られる、尊敬される、モテるなど)
・つい伝えたくなる面白さ(JOY喜び+WOW感動+LOVE愛+FUN楽しさ)が含まれている
マーケティングの本質はアイデアを広めること(P45)
伝えたいアイデアを、伝わったら喜ぶ人に伝える。喜ばない人に伝える必要はないし、必要ないアイデアをもらっても迷惑なだけ。
(中略)
マーケティングの第一歩が、「コア・アイデア(自分のビジネスを成り立たせているアイデア)が何かを知り、伝わりやすいようにすること」。
ウソはバレる(P67)
バーチャルワールド(仮想世界)が発達すればするほど、「人としての正直さ」「誠実さ」「利他の精神」が尊重される。ウソはバレる。だからこそ、マーケティングも、同じ要素が必要になる。
喜んでいる自分にお金を払う(P71)
製品・サービスではなく、「喜び」こそが商品なのであり、ぼくたちは喜び、さらに「喜んでいる自分」にお金を払うのである。
「それが顧客である私の喜びにつながるかどうか」が重要(P118)
喜びにつながれば顧客は自分のためにお金を払うが、「苦労はわかる。でも、ちっとも私の喜びにはつながらない」場合には、まったく効果がない。
ソーシャルのコツは「情熱と手間ひまかける」(P159)
そりゃ時間かかるよ。でもね、手離れを悪くすることが、「あ、この人(君のこと)は、きちんと全員のコメントを読んでくれるし、レスを返してくれる人なんだ」という印象を手にすることになる。
ソーシャルメディアで発信するコツ(P161)
主語(私は)が明確であること。
(中略)
ややもすると、匿名になってしまう。これではいつまで経っても…「Me-media」にならない。
「2回目の真実」とは(P181)
店に行って、気に入る。
再訪する。
再訪すると、人は「前回訪問した時と同じ点」を探し、満足する。
ところが、「同じ」だけでは満足しない。「何か新しい喜び」がほしい。
「何か新しい喜び」と出会えなければ、1回目の時が90点だったとしても、2回目は80点になってしまう。自然減するのが、人間心理だ。
「お礼のハガキ」は予定が決まった時点で用意する(P190)
予定が決まったその段階で、お礼のハガキを準備するのだ。住所も宛名もわかっているから書いて切手を貼っておく。役職は万が一、変わっている可能性があるので、書かない。スペースを空けておく。
訪問当日、ミーティングが終わったら、その日のうちにお礼の本文を書いて最寄りのポストに投函する。