こちらも、落合博満・中日前監督の『采配』の読書日記を書くため検索していて見つけた本。
著者はライフハックで有名な小山龍介さん。小山さんは実は熱烈な中日ドラゴンズファンで、なぜ落合監督の8年間があんなに強かったのかをフレームワークの視点で解明する、というではないですか。
これは面白い、とさっそく借りて読んでみた。
◆目次◆
Chapter1 長期的な成功を約束する「針鼠マネジメント」
Chapter2 有機的なつながりを持つヒトデになれ
Chapter3 「個の時代」に求心力を生む<場>の思想
Chapter4 勝利ではなく、勝負の方程式
プロローグに挙げられている、本書で使われているフレームワークは次の5つ。
- 自分の勝ちパターンを頑ななまでに守る「針鼠の概念」
- 逆算から考える「バリューチェーン」
- 1人が欠けてもチーム全体で補う、ヒトデ型の「自律・分散・協調型組織」
- <場>のマネジメント
- 「U理論」
この本を書いた理由を小山さんは次のように述べている。
「オレ流」といわれた落合監督が、選手のもつ個性を活かしながらチームをつくっていく様子に、これからの時代のマネジメント術の大きなヒントが隠されているように感じたのです(P2)。
無理矢理かな、と思いながら読み始めたが、びっくりするくらいちゃんと説明がつく。すべてを直接落合前監督に確認したわけではないので推測もあるが、豊富な雑誌やネット記事などの引用もあるので、多面的に見られて面白い。
中でも一番の収穫は「ある試合で、実は具合が悪かった主審の体調を見抜いて交代を薦めた」エピソード(P202)だ。
この、「見るともなく全体を見る力」が落合前監督の鋭さのひとつだと思う。
フレームワークを使って解明するということは、逆に言えば理論の実例集としても読める。
実際、私は今までよくわかっていなかった「U理論」が、この本で何となくだが理解できた。これもうれしい収穫だった。
もっと読まれてもいい本なのにあまり知られていなさそうなのは、タイトルと装丁によるのだろうか。
何の本だが見ただけではよくわからない。サブタイトルは“個を活かして、成果を出す「落合式」采配術”なのだが、これも表紙では非常にわかりづらい。その辺がもったいない。
「野球の試合の流れを見るのが好き」なファンで、フレームワークにある程度興味がある人にとっては文句なしに面白い1冊。選手やチームのデータも詳細に載っています。
私のアクション:未来から現在を見るクセをつける
関連記事
読書日記:『采配』
読書日記:『なぜ日本人は落合博満が嫌いか?』
※この本のメモはありません