今、売れに売れている「大人の大全」シリーズ。ビジネスブックマラソンで大絶賛されていたので読んでみた。
こんな分厚い本*1が1000円で買えるなんて、と驚いたが、非常にオーソドックスな作りで、少々拍子抜けした。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら
◆目次◆
1 できる大人は「社交辞令」が堂々と言える!
2 かけひき上手は「聞き方」「頼み方」のツボを知っている!
3 カシコい大人はこの「断り方」「誤り方」でピンチを抜け出す!
4 「気遣い」できる人は決め手のひと言が言える!
5 「もてなし上手」は、こんなモノの言い方ができる!
6 好感度の高い人は「ほめ方」のツボを知っている!
7 「常識力」のある人は、さりげない一言で一目おかれる!
8 世渡り上手は角をたてずに「自己主張」できる!
9 人の気持ちがわかる人は、いい言葉で「いい人間関係」をつくる!
10 結果を出す人は「会議」と「電話」をソツなくこなす!
まず「はじめに」で、大人にとっての「日本語力」を次のように定義している。
私たちは、大人にとっての「日本語力」とは、次の二つの力を兼ね備えていることだと考えている。
- 「タイミングと状況」に応じて、的確な言葉を選べる力
- 会話の「相手」に応じて、的確な言葉を選べる力
の二つの力。いわば「言葉の判断力」である(P4)。
そこで、「的確に選ぶ」候補を潤沢に用意した、と思われるのがこの本。
確かに、ありとあらゆる状況を想定してある。こんな状況一生に何回あるか、というような場面も登場する*2。
だが、私としては読みながら強い不安が起きてきた。文書の文例集ならまだいいが、会話の場合は微妙なニュアンスやシチュエーションがあるので、一歩使い方を誤ると逆効果になってしまいそうなものも多い。
言いようによってはかえって失礼に聞こえるのでは、と心配になるフレーズも。特に、ほめ言葉集などは、穴埋め問題のように安易に使うと危険な気がする。
本来は、こういう表現は実際にそういう状況でまわりの人が使っているのを聞いて身につけるのが一番で、それが無理なら映画・ドラマか小説でシチュエーションも含めて覚えるのが無難なのだと思う。
でも、現実にそうできないからこういう本が売れるんですよね…。
一番面白かったのは、特集の“そんな「言い換え」ができたのか!”(P136)。いかなるネガティブワードも強制的にポジティブに変換してしまう。
たとえば
×要領が悪い → ○マイペース、正直すぎる方
×うまく立ち回る人 → ○周囲がよく見えている人
×行き当たりばったり → ○臨機応変
×独りよがり → ○考えに自信を持っている
×視野が狭い → ○集中している
…など、私だったら○の言葉でほめられたら×の意味で皮肉られたのか、と思ってしまいそうだ。
ちなみに、この本を借りてきた家族に上に書いたような感想を伝えたところ、「そこまでうがった見方をしなくても…」と言われた。
すみません、日本語に関しては口うるさいので、辛口になってしまいました。
素直に読めば、いろんな表現が集められているので、いざという時に頼りになる1冊。手元に置いて、こういう時何て言えばいいんだろうと困ったり、反応がワンパターンだなと感じる時に見ると役に立ちそうだ。
ただし、使い方によっては劇薬になるのでご注意を。気持ちがこもっていれば、どんな言葉であっても伝わる場合も多いですよ。
※この本のメモはありません