毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「諦念」から生まれる成果もある☆☆☆☆☆

野比家の借金 人生に失敗しないお金の考え方 (光文社新書)』を読んだ時、著者の経歴に本が何冊か上がっていた。この本のタイトルが気になったので借りて読んでみた。
なかなか刺激的で奥の深い本だった。今年2冊目の☆5つだ。


◆目次◆
第1章 今日もモチベーションがあがらない
第2章 なぜ世の中は「やりがい」を強いるのか
第3章 やりたい仕事か、金になる仕事か
第4章 やる気が出ない自分をつき動かす方法
第5章 成果を出し続ける人の8つの習慣
第6章 絶望の国で生きていくための心得

 
著者は大学卒業後、メーカーを経て独立、コンサルティングや講演などをされている。本もたくさん出ているし、メディアに登場することも多い。さぞ順風満帆な人生だろうと思ったら、実は全くの逆だったそうだ。
大学卒業後、就職するのが嫌で海外に滞在していたこともあるし、どうにか就職した会社で配属された調達部門の仕事が好きになれず、異業種交流会に出たり、自己啓発の本を読みあさったりした時期があったのだそうだ。

しかし、著者は自分の経験から断言する。
自己啓発の本を読んでもうまくいかないことの方が多い。それよりも目の前の仕事をさっさとこなせることの方が重要だ」
つまり、この本は“世の流れに逆らう「逆説的仕事術」”なのだ。

私も自己啓発の本を読んだり、セミナーに出たりした。さんざん高いお金も払った。
でも、確かにたいした結果は出ていない。読みながら、「あ痛たた…」と思うところがたくさんあった。


坂口さんは言う。「自己啓発はカンフル剤にしかならない。一時的には効いてもその効果は持続しない」
確かにそうだ。「気合いだ!」だけでは続かないのだ。

…モチベーションアップの宣教師たちがあげた三つは、次の通り書き換えられるべきだろう。
●失敗したら成長のチャンスと思え→思わなくてもいいから、失敗の原因対策をしろ
●目標をもて、セルフイメージを高くもて→もたなくてもいいから、仕事のムラをなくせ
●仕事を愉しくしろ→愉しくなくても仕事をたんたんとこなすわざを身につけろ(P21)

プロフェッショナルとは、ときに100点をとれることではない。安定した品質をお客に約束できるひとのことだ(P20)。

一緒に仕事をするなら時々ホームランを打つ人よりも、コツコツとヒットを重ねる人の方がいい。信頼とはそういうものだ。
では、どうやればコンスタントにそこそこの結果を出せるのか。それをいろいろと教えてくれる。
ただ、具体的な技術を教えてくれる第4章の「準備編」「実践編」などは、ほかの本でも見られるもので、特に斬新というものではない。


私は、「あきらめから始める」ことに衝撃を受けた。必要なのは「自分探し」じゃなくて「自分なくし」。目の前のことをいつもたんたんとやる。やっていくうちに「これがやりたかったんだ」と自分をだませるようになるかもしれない。または、少しでも目の前の仕事をやりたいことに近づけていく。自分で考える時間を作り出すために、いかにさっさと仕事を終わらせられるか、工夫の限りを尽くす。
この本では仏教にも少し触れられているが、素晴らしい哲学書でも読んでいるのか、と思うことが何度かあった。
“あきらめから生まれる希望”とでも言えばいいのだろうか。

人生の大逆転を狙うのではなく、日々の数パーセントの微細な改善と改良が、未来にさらに大きな変化をもたらすと信じること。そのために今に集中すること(P213)。

これも「今ここを生きる」なのだ。
内容は似ていないが、去年読んだ『1秒もムダに生きない(光文社新書)』を思い出した。いわゆる常識を覆すことばかり書いてあって衝撃的なところが似ている。

私も含め、「自己啓発」「成功法則」好きな人の必読書です。
私のアクション:「うわー、愉しい」を口癖にする
関連記事
読書日記:『野比家の借金』
読書日記:『1秒もムダに生きない』


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

自分自身のモチベーションを理由にしていては、他人にとって継続・安定した「役」に立つことはできない(P19)

「やりたい」だけで仕事を選ぶのは危険(P77)

…1人の人間が永続的に同じ感情を抱き続けると仮定している点で間違っている。「自己実現したい像」も「やりたい内容」も、数年ごとに移り変わることが普通だ。

「うわー、愉しい」理論(P142)

あえて「うわー、愉しい」と言ってみる。
どんなくだらなく、つまらない仕事であっても、それが愉しい訓練だと勘違いすることで意味が違ってくる。

著者の考える「仏教が伝えたかったこと」(P143)

自我を否定し、ただただ目の前のことに注力し、しょせんは無に過ぎない現世で真摯に生きることではないだろうか。

自分なりの教科書や作業標準書を作れば 、やる気やモチベーションに無関係に仕事をこなすことができる(P156)

体を疲れさせないために(P165)

「短時間で仕事をこなす」ことは「心を傷めない」ことにつながる。

幸せとは、その人が「愉しい」と感じるかけらを寄せ集めた集合体でしかない(P178)

その意味では、目の前の仕事に集中して「愉しい」と勘違いすることで、現在そして将来にわたる幸せの総量が上がっていく。

「赤えんぴつサラリーマン」と「黒えんぴつサラリーマン」(P193)

前者は、誰かの批判はできる。ただ、まっさらな紙を前に出されても、自分の意見や主張を述べることができず、仕事を造りあげることはできない。
後者は、前者から何と言われようと、たんたんと粛々と仕事をこなし、自分なりの仕事を造りあげる。

何かにあせった時は、「慌てても現状は変わらない」とあきらめよう(P197)

著者の社会人新人時代に聞いたある人のことば(P200)

※異業種交流会で会った、ある大企業の最年少役員
「時代がどんなに影響したって、その人が努力していたら、いつか世間は認める。スタートがどこであっても、どんな仕事に就いていても何らかの形で成功する。その程度は、世界は柔軟にできている」

「好きなことを仕事にしたい」から「今の仕事で好きなことをする」へ(P203)

大切なのは、好きなことをやるのではなく、やることを好きになることだ。