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自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

キリスト教は西欧文化の土台☆☆☆☆

聖書の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)
井出 洋一郎
中経出版(中経の文庫)(2010/02/26)
¥ 720 
「名画はなぜ面白いかシリーズ」(勝手に命名)の最後の1冊*1ギリシア神話編にかなり手こずったのでこれもむずかしいかな、とびくびくしながら読んだが、こちらは大丈夫だった。


◆目次◆
はじめに
第1章 旧約聖書の物語
第2章 マリアとキリストの物語
第3章 聖女、聖人の物語とアレゴリー
あとがき――参考図書案内
本書中のキリスト教・美術用語
エス時代のイスラエル・当時のエルサレム市街図
旧約聖書新約聖書の構成と内容

絵画を紹介する本なのだが、キリスト教の知識もふんだんに紹介している。さらにアトリビュート*2についても解説してあるので、わかりやすい。

キリスト教系の大学に行き、聖書を読む時間もあったのに結局ほとんど理解していないまま現在に至るのだが、断片的だった知識がこの本を読むことでうまくつながった気がする。
巻末の用語集や聖書の内容を紹介したページなどは、美術と関係なく、キリスト教のアウトラインを押さえるのによさそうだ。
たまたま私は「原始キリスト教」と呼ばれるものに関わる勉強をしたので、それで読みやすかったのかもしれないが、絵を見ながら読むことで文字だけを読むよりも受け取りやすい。

もちろん名画もたっぷり紹介してある。キリスト教の知識がない人にとって恐ろしいものにしか見えない「我が子を食らうサトゥルヌス」や「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」も、解説を読めばそれなりに納得できる。
ほかにも、キリスト教がいかに西欧文化の基礎になっているかがわかるものがたくさんあり、勉強になった。

個人的には風景画でよく知られるコローが描く「ソドムの大火」が印象に残った。こんな人でもテーマにするくらい、キリスト教は画家にとって必要不可欠なテーマだったのだ*3
つまり、それだけ美術館に行くと見る機会が多いので、知っておくと何倍も楽しめると思う。また「ルーブルに行く前に読んでいたら…」と悔しくなった。

絵を見るのが好きな人はもちろん、キリスト教について知りたいという人にとってもいい本です。
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※この本のメモはありません

*1:文庫として出版されたのはこの本が最初。私はちょうど新しい方からさかのぼって読んだことになります

*2:この本では「アットリビュート」と表記

*3:印象派以前は、宗教画か肖像画くらいしかなかったそうです