わかりやすくて実践的な本だった。
◆目次◆
第1章 時代は「クチコミ」から「マキコミ」へ
第2章 コツコツ「継続」がソーシャルメディア上の土台
第3章 つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神
第4章 「マキコミ」から生まれる新しい価値
巻末特別座談会 野村宗弘×コグレマサト×いしたにまさき*1
お二人の最初の共著は『クチコミの技術』というタイトル。現在は「クチコミ」が発展して「マキコミ」になっている、という意味でこの本は続編とも言える。
本書は、企業のウェブやマーケティング担当者であり、同時に個人としてもソーシャルメディアに参加している人に向けて書いています。…両方の視点を持つことが、今のソーシャルメディアを理解するためには大事ではないかと考えます(P4)。
というわけで、企業の成功例、日産自動車「TIIDA」やサントリー「ハイボール」の事例が、担当者たちのインタビューによってていねいに紹介されている。ソーシャルメディアを企業PRやキャンペーンに使いたい、という企業にとっては参考になると思う。
私は一消費者の視点で読んだが、ツイッターの返信を誰がどうやっているのか、ルールはどんな風に決めているのか、というのが面白かった*2。
ソーシャルメディアをどう使うのか、という話も時代の流れや多くの例が示されていて、わかりやすかった。ブームになった時よりも、今くらいの方が俯瞰的に見られて理解しやすいかもしれない。
「ブログはもう古い」という言われ方もずいぶんしたが、この本では“ツイッターがフロー情報なら、ブログにはストック情報としての強みがある”というスタンスで、意味のあるものと考えられているのを知ってうれしかった。
ブログの書き方やスタンスだけでもいろいろ勉強になった。今からブログをやろう、という人がどのくらいいるのかわからないが、それだけでも充分価値のある本です。
いしたにまさきさんが言い続けていること(P221)
1.情報をフローとストックで考えること
2.情報発信を続けていると、量的変化が質的変化に変わる時が来る
内容はとても濃い。ソーシャルメディアの流れを知りたいという人にも役に立つし、具体的にどうすればいいのかというヒントもたくさん詰まっている。
情報の受け手だけではなく、発信する側にも立ちたい、という人はぜひ読んでみてください。
私のアクション:アクセス解析を勉強する
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
ツイッター情報はストックには不向き(P31)
リアルタイムの情報を伝達するにはツイッターは効果的だが、ツイートの寿命は非常に短く、一説では長くても1時間と言われている(米Sysomos社が2010年9月に発表)。次々に流れてくる新しいツイートに押し流されて、見えなくなってしまう。
ブログは情報のストックとして存在感を増している(P32)
ストックとしての価値はツイッターの登場により、際立つようになったとも言える。ツイッターが盛り上がり、「ブログが書けなくなった/書かなくなった」という人が多い今だからこそ、ブログを書いていくべき、という考え方もある。
「ソーシャルメディア」の著者(コグレマサト氏)の定義(P35)
…個人の情報発信を最小単位としながら、人と人とがつながることで作り出されるメディア。
消費行動に影響する「ソーシャルフィルタリング」(P37)
消費行動プロセスAISASが、ソーシャルメディアの登場により、AISAに変わってきている。
AISAS Attention(注意喚起)→Interest(興味惹起)→Search(検索)→Action(購入)→Share(情報共有)
AISA Attention(注意喚起)→Interest(興味惹起)→Social Filter(ソーシャルメディアでの精査)→Action(購入)
これは、気づく→興味を持つまでは同様で、検索する代わりに「ソーシャルフィルタリング」、つまりソーシャルメディアで聞く、という行為を通して、購入するかどうかを判断する、というものです。
情報のフィルターとなるユーザーを選ぶコツ(P75)
自分と趣味趣向が少しずれているユーザーを選ぶ。ものすごく似通っている場合、得られる情報は自分が情報収集した結果とあまり変わらないものになってしまう。自分がふだん見ないものを見ているユーザーが、ここでは自分にとって価値のあるユーザーになる。
気になること書いてみると、何かが起こる(P79)
ブログを続けていると、気になる材料ではあるが、書く必要があるのか?と思うような微妙な材料と出会うこともある。そのような場合、少しでも書いておいた方がいいと感じたら、少しがんばって記事にしておく。それが結果的に、読者との面白い関係を作る。