家族が借りてきたので読んでみたら、「あれ、選手時代と印象が違う」と思った。
◆目次◆
第1章 逆境をバネに
第2章 基本を学びオリジナリティを磨く
第3章 常識の向こう側
第4章 信じるままに、感じるままに
第5章 本気で生きているか
終章 支えてくれた人たちへ
エピローグ
石川晃・元千葉ロッテ運営本部長の回想 今岡誠という男
今岡誠 年度別成績
獲得タイトルと栄光の記録
実は今岡氏は、ドラフト1位指名を受けた時から、「将来は阪神で監督をやりたい」と思っていたそうだ。
もちろん監督を決めるのは僕ではありません。しかしそういう思いを持っていれば、考え方や行動もおのずとその方向へ進むように磨かれ、研ぎすまされていきます。だから千葉ロッテに行ったことも勉強と思えるし、二軍で過ごしたことも財産だと言い切れる(P4)。
そうなのだ。阪神ファンはもちろん、プロ野球ファンの間では
「阪神で引退しておいた方があとあと仕事の面で有利なのに、なんでわざわざ千葉ロッテに?」
というのが共通の認識だったと思う。
でも、本人にとってはちゃんとした理由や考えがあったという。読めばなるほど、と納得できる。
そして、バッティング理論が面白い。しかも、野球に限らず、ビジネスなどにも応用できる考え方だと思う。読みながら感心してしまった。
自分で「これはエエ」という感覚をつかむためには、練習するしかありません。実際に体を動かし、試行錯誤することで初めて自分なりの形が見えてくる。
(中略)
そもそも野球には、岡田さん(=彰布・元阪神監督)が言う通り「バットを振った方が何かを感じられる」という部分があります。万人に通じるバッティングの定義など絶対にない。正解がない世界でやっている以上、自分の体でつかむほかないのです(P37)。
「常識的なやり方ばかりしていては、常識の範囲でしか結果は出ない」(P76)
著者曰く、バッティングの原則は「まっすぐを待って来た球を打つ」だとか。
速球のタイミングで待っていれば、変化球にも対応できる。逆はできない。
「上から叩け」「ボール球に手を出すな」という、よく言われる指導の問題点も指摘している。
でも、感覚派と言われながらも、「なぜそのボールをヒットにできたか」という理由は自分の中できちんと持っていたという。
「来た球を打つ」が前提だが、配球は前もって頭に入れていたそうだ。野村野球を全否定しているわけではない*1。
何も考えてない人だと思っていたけど、案外感覚派ではなく理論派だったのか、と印象を改めた。
今までたくさん野球選手・元野球選手の本を読んできたが、この本の説明がバッティングについて一番わかりやすかった。
もともとセンスのある人だからできるのでは、という点もあったが、私にはどれも納得できる考え方だった。
私は「テレビなどで解説がうまい人は、指導者としてもうまく行く」と思っているが(落合元監督などがその典型)、案外今岡氏もいい指導者になるかもしれない。
ただし、アマゾンのレビューでは私と正反対のことを書いているものもあるので、「どっちが本当だ?」と思われた方はぜひ読んでみてください。
野球ファンなら楽しめる本です。
※この本のメモはありません