池谷裕二さんの『のうだま2』に似た本かなと思い、速読対象にして一気に読んだ*1。
◆目次◆
はじめに
第1章 記憶のメカニズム 記銘力より想起力
第2章 想起力を高める方法
第3章 想起力が二十一世紀の頭のよさを決定する
エピローグ 想起力で人生を豊かにする
あとがき
さすがは和田さん、明確なターゲットが最初に提示されている。
…最初に明らかにしておきたいのは、ある程度の経験を積んだ社会人が、「記憶力を高めたい」、あるいは「取り戻したい」という場合、一般には、その目的は円周率を百桁まで覚えたり、年号を中学生並みに丸暗記…ではないだろうということです。
…その記憶力を使って、これまで以上に生産的な仕事をしたい、創造性を発揮したい、つまり価値あるアウトプットを出し続けたい、ということだと思います。
本書は、そういう方のために書きました(P4)。
著者によれば、それは可能だし、むしろ40歳を超えたくらいからその能力は高まるのだそうだ。
『のうだま2』にもあったが、加齢は記憶力低下の直接の原因ではなく、それ以外に問題があるようだ。
年をとって記憶力が落ちたのではなく、子どもの頃と比べて復習が少なすぎるという現実もあるのです(P20)。
著者の専門は精神医学であり、心理学的なアプローチを得意とするからか、脳科学に批判的な記述がたびたび見受けられる二が少し気になった。使えないと意味がないでしょ、ということかもしれない。
脳の中の仕組みよりも、いかに結果を出すかに絞った、非常に実践的な本*2。キーワードは「記銘力より想起力」。想起力=思い出す力、アウトプットする能力が、これからのカギだ。
年と共に記憶力が落ちてきた…、と思う方は読んでみてください。
私のアクション:インプットには必ずアウトプットを組み合わせる(例:読んだら読書日記を書く)
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
記憶力にも「入力系」(インプット)と「出力系」(アウトプット)がある(P17)
入力系を「記銘力」といい、出力系を「想起力」という。
記憶は「記銘」「保持」「想起」の3つに分かれる(P19)
簡単に言えば「入力→貯蔵→引き出す」の3セット。
知識社会とは(P47)
情報へのアクセスが簡単になればなるほど、知識、すなわち、脳内にインプットされた情報が多い、少なくともその分野についての質の高い情報がインプットされている人の方が有利になる。
これが、情報を読み取るためのリテラシーとそのための基礎知識が重要になる理由。これが「知識社会」ということ。
物知りだから本を書くのではない。本を書くから物知りになっていくのだ(P54)
情報を保持・貯蔵するには復習・反復復習(P92)
【記銘】
1.注目する←関心←集中
2.理解する
3.セットで覚える
【保持】
4.復習する
【想起】
5.練習する
想起にはリハーサルを重ねる(P95)
受験生なら過去問演習がそれに当たり、大人なら、講演やプレゼン、効用、議論などのリハーサル。
出力しやすい形で情報をくっつけた方が覚えられるし、想起もうまく行く(P99)
歌うとメロディーがあるから覚えやすい、セリフは体の動きと一緒だと覚えやすいなど。
40代50代になったら、入力と出力の比率を変える(P106)
子ども時代は詰め込み教育で身につくものもあるが、40代になったら、入れる知識はかつての2割、3割でいい。…出す方をいかに増やしていくかの方が重要。
(中略)
「入力の割合を下げ、出力の割合を上げる」
つまり、「これまで学んできたことの中から何が言えるのか」を重要視する。そして、その貴重な入力の中身としては、今まで思ってきたこととは違うことを入れることが重要。
想起から言える頭のよさとは(P139)
1.たくさんの可能性を挙げることができる
2.楽観的な可能性と悲観的な可能性のバランスがよい
3.実現可能性を検討することができる
想起力を用いて結果を生み出すポイント(P146)
新しい概念、知識、現象、法則に触れた時に、それまでの自分の経験をレファレンス(結びつけて考える)すること。
レファレンスして記憶し、かつ、それをアウトプットすること。