こんな本書いて大丈夫かな、と思ったが期待を裏切り(?)、よくできた本だった。
さすがは球団OBで、今も深く関わる彼だからこそ書けた本だと思う。
◆目次◆
序章 なぜ大谷翔平の心が動いたのか
1章 ドラフト一位が伸びる育成システム
2004年ドラフト1位 投手・ダルビッシュ有
2006年ドラフト1位 投手・吉川光夫
2010年ドラフト1位 投手・斎藤佑樹
2003年ドラフト自由枠 野手・糸井嘉男
2005年ドラフト1位 野手・陽岱鋼
2007年ドラフト1位 野手・中田翔
2章 わくわくドキドキのポジション争い
3章 ガンちゃんが推薦する七人のニューヒーロー
4章 人を育てるチーム方針とは何か
終章 “ファミリー”が常勝チームをつくった
この本を読めば、大谷選手がなぜこの球団に入ろうと決意したのかかよくわかる。その興味だけで読んでも充分面白い。
私が一番注目したのは第1章(あえて詳しく目次を載せてあります)。これを見れば、斉藤投手を除いて今のレギュラー陣*1がほとんどドラフト1位で、しかもきちんと育っていることがよくわかる。
指名する選手を決める方法は球団独自のものとして有名だが、このリストを見ればきちんと育成するシステムがあることがよくわかる。他球団ではせっかくの「ドラ1」が活躍できないまま去っていくことが案外多いからだ。何が違うのかは4章にくわしい。1人ひとりの性格や特性も見極めてメニューを組み、野球以外の面でもサポートしていくきめ細かなものだそうだ*2。
そして、その方針を支えるのが球団全体の特色だ。親会社やオーナーの影響も実はかなり大きいという。プロ野球チームも人の集まり、人を大事にする組織かどうかが選手の実力や選手生命の長さまで左右するのか、と驚いた。
巨人も強いチームだが、菅野は損したんじゃないの?とちょっと思ってしまった。
2・3章は、ファイターズファンにとってはかなり突っ込んだ面白い内容だった。裏話満載で楽しめる。
ひとつ気になったのは、阿井ヘッドコーチを招聘したのは栗山監督、という記述。栗山監督の『伝える。』では、球団が選んだように書いてあったが、どちらが本当なのだろう。
ガンちゃんの本にしては、直球勝負の中身の詰まった本。タレント本ではなく、内容で読ませます。
パリーグ好きな人はぜひ読んでみてください。人を育てる方法を知りたいという方にも、何かのヒントになるかもしれません。
私のアクション:正捕手争いを見守る
関連記事
読書日記:『伝える。』
読書日記:『覚悟』
※この本のメモはありません