毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

無心に、目の前のことに全力を尽くす☆☆☆

現在は北海道日本ハムファイターズの監督である、栗山英樹さんの現役時代の本。
実は、先月読んだある本で面白い、と紹介されていたのが読むきっかけだったのだが、その本のタイトルをメモし忘れてしまった。残念。
こんな20年以上も前の本があるかなと心配したが、さすがは大阪市の図書館、ありました。
ふたつの意味で、読めてよかったと思える本だった。


◆目次◆
第1章 “落ちこぼれ”が一軍に上がった日
第2章 野球に明け暮れた少年の頃
第3章 教職への道
第4章 プロ野球、闘いの日々
第5章 エピローグ…夢を追いかけて

タイトルでわかる通り、いわゆる“女性に人気の野球選手”の本だ。タレント本に分類されるような本だと思う。
しかし、中身が異様に濃い。文章もぎっしりだし、栗山さんの人生そのものが濃いんだと思う。

作りはごく普通の「自分史を振り返る」なのだが、栗山さんは「簡単な道と困難な道があったら、困難な方を選べ」を地で行く人なのだ。
ひとつは、不可能を可能にしてしまうパワーを感じた。

野球がやりたいけど、実力では強豪校に行けなかったので、設備と監督の熱意で高校を選ぶ*1
大学は野球の強い六大学に進学したかったが、両親の反対と自身の「先生になりたい」という気持ちがあったので、教員免許のとれる学芸大学に進学。
でもやっぱり野球がやりたかったので、活動費をアルバイトで稼ぎながら野球部を続ける。
練習試合の相手チームに息子さんがいたため、たまたま観戦していた佐々木信也さん(プロ野球ニュース初代キャスター)の目にとまり、ヤクルトスワローズの入団テストを受けて何とか合格。
しかし、入団直後はあまりの自分の力のなさに愕然としたそうだ。

それでも努力を重ね、何とか1軍に昇格し、少しずつ出場機会も増えてさあこれから、という時にメニエル病発症。ようやく克服したと思ったら、次は度重なる肉離れ。
ほとんどが才能に恵まれた人たちの集団であるプロ野球チームで、こんなに努力や工夫で乗り切ってきた人は少ないのではないだろうか。

その不屈の精神と言える気持ちの強さや考え方は、たくさんの人の役に立つと思う。
私は、病気やケガを克服した時の考え方がとても心に響いた。


もうひとつは、“長期的なビジョンをほとんど実現させている”という驚きだった。
将来の夢として書かれていたのは「キャスター」だが、引退後にテレビなどで活躍されていたのは有名だ。
子どもの頃、「プロ野球選手になり、年を取ったら先生になりたい」と作文を書いていたそうだが、引退後大学で教えていた*2そうなのでこれも実現している。
監督を自分に依頼するチームはないだろう、とちらっと書いてあるのはご愛敬。残念ながらこの本に夢を実現させるハウツーを教えてくれる章はないが、全体を通して見えてくることがある。

まず、目標やなりたいものをしっかりと定めること。栗山さんは小さい頃からそれがぶれていない。
そして、目の前のことに全力で取り組むこと。
この両輪が栗山さんを夢の実現まで運んだのだろう。

たぶん、監督は教師に似ているのではないだろうか。若い人の適性を見抜き、育てて一人前にするところは同じだ。今のチーム作りの源泉を感じた。

いい本だと勧めてあったのもうなずける。古い本なので手に入りにくいと思いますが、興味のある方は探して読んで見てください。
私のアクション:絶対に治る、と強い気持ちを持つ 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

病気治療に何よりも大切なのは(P165)

患者自身が病気に負けない強い心を持つこと。「もうダメだ」とあきらめてしまっては、治る病気も治らない。
(中略)
「また、めまいが起こるのでは」と心配するよりも、病気になればなった時のこと。それよりも、目の前で僕を待ってくれている野球に全力で取り組もうじゃないか、と思ったのです。

5年目、シーズン前に肉離れを繰り返した時の気づき(P194)

恩人・孔明さんの言葉
「焦る気持ちはよくわかるけど、今一番大事なのは、まず無心になってケガを治すことだ。決してあさましくなるな。その時、その時にできることをしっかりやれば、必ず明日は開けてくる。ケガが完治したら、また本気で野球に取り組めばいいじゃないか」
…僕はいい結果を残したいと、そのことばかりを考えていた。それが、焦りにつながっていたのです。孔明さんはそんな僕の胸の内をすっかり見抜いて、無心になることの大切さを教えてくれました。孔明さんの言葉に従って、僕は結果を考えずに、その時々に全力を尽くすことにしました。それが、結果的には好成績につながっているのです。

*1:宗教系の学校ですが、信仰していなくても入学できたのだそうです

*2:監督就任後に出た2冊のどちらかに記述がありました