書店で平積みされていて、興味を持った『書くだけで自分が9割変わる』という本。「日報」という決して新しいとは言えないアイテム、赤ペン添削をしているという表紙の著者の写真、何だか新鮮だ。
とりあえず図書館で検索してみたら、例によって地元は在庫なしで、大阪市は予約待ち人数がすごい。
ふと著者名で検索してみたら、1冊目のこの本は地元にあった。予約もなくてすぐ借りられたので、同じ日報だしと思い借りてみた。
斬新な内容だった。
◆目次◆
はじめに
序 章[日報の威力]A4 1枚の日報から成果に直結する「やるべきこと」がわかる
第1章[数字]日報の数字を読み解けば見る見る業績が上がる
第2章[行動]山ほどのムダと非効率な日常 日報がみごとにそれを指摘してくれる
第3章[お客様]「分っているつもり」「思い込み」阻害要因をぶち破る日報のすごさ
第4章[商品]日報を毎日検証すれば、魅力ある商品の正体が分ってくる
第5章[モチベーション]理性型か感性型か、タイプ別に日報で自己管理ができる
日報と言えば、営業が仕方なく書かされるもの、というイメージが強い。
ところが、著者・中司祉岐(なかづかよしき)さん(ページ中央あたりに著者プロフィールがあります)の言う日報はまったく違う。
・自分のために
・手書きで
・オリジナルフォームに
毎日書くものだ。
実はこれ、著者自身がさまざまな業界で成果を上げてきたノウハウを詰め込んだもの。
これがあれば、夢を実現することも、大きな目標を小さな目標に分けて達成することも、日々のToDoをもれなくやることも、数字に落とし込んだり検証したりすることも、問題点をあぶり出すことも、みんなできてしまうのだ。
最初に、著者自身の体験が書いてある。経験のない業界で飛び込み営業を始め、まったく結果が出なかった時、ヒントになったのが自分のメモだったのだそうだ。いいことも、悪いことも、メモして毎日検証し、過去のデータを見直すことで、大きな成果を上げることができたという。
また、日報コンサルタントとして独立を考えた時、どうやって目標とする売上額を達成するかをきちんと数字に落とし込み、達成したその方法も読むことができる。
もちろん、書くだけではダメで、日報の読解力や分析力が必要なのだが、ここまで使えるアイテムなのだ、というのが実感できた。
著者が主に対象としているのは、中小企業の経営者や個人事業主など、ひとりでがんばっている人たちだ。あくまでビジネス・仕事の成果を上げるのが目的。
私は以前個人で仕事をしていて、いろんな事情で現在はいったん終了しているが、当時この日報を知っていたらもう少し違う結果が出ていたかもしれないな、と思った。
著者は日報コンサルタントとしてクライアントを直接指導(赤ペンで添削)されているが、大きなポイントは「オリジナルの日報フォーム」だと思う。
たくさんの事例が紹介されているが、ほんとうにひとつひとつ違うのだ。初回の面談で長時間かけてヒアリングを行い、その人に最適なフォームを作るのだという。
この本を読んだ時、最初に岡崎太郎さんのモチベーションシートに似ているな、と思ったが、大きな違いはオリジナルかどうかだと思う*1。
本を読んだだけではオリジナルシートは作れないが、著者曰く、人は2タイプに分かれるので、それに合わせたフォームを用意するといいそうだ。
2タイプとは「理性型」と「感覚型」(下のメモにタイプ別のポイントをまとめてあるので、興味のある方はご覧ください)。自分がどのタイプか判断する簡単なテストも載っている。
私はテストをしたら感覚型だった。自分では理性型の面もあるのでは、と思っていたが*2、感覚型の欠点を見たら“まごうことなき感覚型”でございました。
なるほど、これなら自分の欠点を補いながらデータが残せそうだ。
「手帳を捨てたら、成長できた。」
というのがこの本の「売り文句」なのだが、案外おおげさではないかも、と感じた。
やりっ放しでは成長しない。毎日こまめに記録を残して検証すれば、同じところをグルグル回る状態から脱出できるのではないだろうか。
手帳・ライフログに行き詰まっている方は、一読の価値ありです。
私は現在仕事をしていないので、本来ならこの本の対象外になるのだろうが、日々の生活をきちんとするためにフォームを作ってやってみることにした。
一時期トライしてやめていた小室淑恵さんの「朝メール・夜メール」を再開しようと考えていたところ、この日報でそれができることがわかったからだ。
具体的なことは、これからプロジェクトとして書いていく予定です。
私のアクション:自分オリジナルの日報を作る
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読書日記:『「3人で5人分」の仕事を無理なくまわす! ―「欠員補充ゼロ」の職場術』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
日報に必須の基本項目3(P28)
1.時間軸による自分の行動[スケジュール]
2.行動する中で得た発見[気づき]
3.発見に対してどう実践(行動)を起こすか[実践予定]
課題を数字から読み取れるかどうか(P69)
それが会社や店の浮沈を決める分岐点。その読解力は、ほんのささいな変化でも見逃さない注意深さと集中力…「何か、改善点はないか」と、いつもいつも日報をめくり直して、課題を見つけ出そうとする執着、努力で培われる。
一番大切なのは「1日の行動予定」(P110)
ベストなのは夜、明日は何をするか考えながら書くこと。翌日に会う人、行くべきところ、やらなくてはならないこと、考えておくことなどを具体的に書くと、翌日のイメージトレーニングになる。
「収入に結びつく行動」と「それ以外」を分ける(P110)
営業、接客、プレゼンなど個々の行動内容以外に、移動や休憩なども記入する。その際、「収入に直接結びつく行動」と「それ以外(休憩、移動、相手が留守、食事など)」を色分けするとよい。
色分けしておくと、振り返って検証した時に「有効な活動時間」と「無駄な行動時間」の割合が理解できる。
「予定」と「実際の行動結果」を検証する(P113)
1日が終わったら、実際の行動を書き出す。できるだけ細かく、時間も分単位まで正確に書いた方が、あとの検討に役立つ。
書き終わったら、スケジュール予定とつき合わせながら、どこが予定したことと違ったかを検証する。
1.時間 ひとつの作業、ひとつの仕事にかかった時間を累積して計算する。ムダだったと判断した時間も計算する。
2.改善点はないか ムダだった時間は改善の対象になる。
第2章のポイント(P142)
・日報は日々の行動を映し出す鏡
たいていの人は「行動しているつもり」になっているだけ。だから、毎日の行動が空回りしているのだ。「つもり」ではなく、本当の行動を。
・本当の行動とは目標への道を外れないこと
日報を書くことによって、日々の行動には一貫性が出てくる。それが自信を生む。
・行動予定を詳細に書き記す
このことによって、ひとつひとつの行動に明確なイメージが生まれる。つまり、予定を書きながらイメージトレーニングしているのだ。
・費やした時間をお金に換算して考える習慣をつける
行動には「プラス面」と「要改善面」があり、無駄な行動も多い。その行動がムダかどうかは、費やした時間をお金に換算して判定する習慣をつけよう。
・行動を改善するには「もっと」をキーワードに考える
・書き続けた日報は、自分で作った「自分だけの教科書」になる
「理性型パーソン」の特徴(P201)
※欲求にフタがついている状態
願望を引き出すのが苦手。夢や理想を考えるのも苦手。
ビジネス本を読んだりセミナーに出たりと勉強熱心だが、それは「自分で解答を見つけるのが不得手」の裏返し。
ただし、淡々とものごとをやり続ける能力に秀で、的確にスケジュールを組み立てて、物事の順序を整理し、優先順位をつけるのも得意。
感情の起伏が小さいので、その強みを活かし、一度決めた計画に沿って、冷静に着実に仕事を行っていく粘り強さがある。
分析力にも秀でている。自分を冷静に見つめ、周りの状況を把握し、物事の道理を深く掘り下げる緻密さを持つ。
このため、日報の読解力も高い。
「感覚型パーソン」の特徴(P203)
アイデア肌で、夢や希望を思い描くのが大好き。
じっくりものごとを考えるのは好きではない。夢や願望をどのように実現するか、その道筋や手段を具体的に考えるのは苦手。数字で考えることも苦手。
思いつきで行動しているような印象を与える。
自己啓発を好む人が多いが、精神論などに力を入れてしまい、成功をつかみ取るための具体的な行動には関心がない。
熱意はあるものの、結果はいつも空回り、のことが多い。
成功するために必要なことは(P206)
自分の性質を見極め、その上で、弱点が表面に出ないように、日々チェックし、自己管理していくこと→日報を書くことがその特効薬になる。
モチベーションも日報を書くことで上げられる(P212)
モチベーションを高めようと自己啓発セミナーなどに参加する人が多いが、著者は勧めていない。
必要なのは誰かの理論ではない。突飛な精神論も不要。答はすべて足元にある。
トラブルが発生して心が折れそうになった時、他人から空虚な励ましをもらっても意味がないのと同じ。一時的にトラブルを忘れられても、それは現実逃避でしかない。
トラブルの原因をしっかりと冷静に見つめ、その対策を考え、自ら行動に移さないと、問題は解決しない。
モチベーションアップの秘訣も、日々の仕事や生活の中、つまり自分の足元にこそある。日報は、その日々の仕事を細かく確認する手段なので、効果は必ずある。
日報で「変化に弱い自分」をサポート(P214)
誰もが、「自分は変わりたい」「より稼げる人間になりたい」といった前向きな思いを持っているが、多くの人はそれに失敗してしまう。
それは、人間は変化に弱い動物だから。実は、環境や自分自身が変わっていくことに強いストレスを感じるのだ。
(中略)
日報を書き続けることで、
「自分は何のために仕事をしているか」
を確認し続けることができ、高いモチベーションを維持できる。
理性型パーソンの記述のポイント(P249)
→感性を強化する項目を日報に入れるのがポイント
・将来の夢、願望を思い描き、毎日それをチェック、何のために仕事をしているのかを確認
・定期的に以前に書いた夢、願望を更新する
・日々の仕事の中で、気づいたことを多く書き込む
・仕事に役立つアイデア、構想を多く書き込む
・よかったこと、うれしかったことなど前向きなことを日報に記入し、自信をつける(辛い時、それを見て自分を鼓舞する)
・毎日ひとつ以上、欲しいもの、手に入れたいものを書き込む
感覚型パーソンの記述のポイント(P249)
→理性を強化する項目を日報に入れるのがポイント
・時間軸に沿った行動予定、結果をしっかりと書き、時間管理を行う
・売上、利益率、訪問件数、訪問回数、廃棄量、在庫量など数値情報をしっかりと書き込む
・毎日しなければならないルーティンワークのチェック。徹底できたか、○×で確認
・お客様の特徴を確認(クライアントレベル、年代、性別などの確認)
・誰に何を指示したかを確認