ネットで見かけた本。救急の現場で使われる「トリアージ」という考え方で仕事の優先順位をつける、という斬新なアイデアを知りたいと思い、図書館で借りて読んでみた。
ちょっと尻すぼみな印象はあるものの、なかなか面白かった。
◆目次◆
序章 忙殺&プレッシャーの毎日から解放される、3つの原則
1章 仕事はトリアージで動く
2章 自分のパフォーマンスを最大化する
3章 とにかく「ばらつき」をなくせ 仕事に特効薬はない
4章 体・コンディションの整え方
5章 人のパフォーマンスも上げてしまおう
おわりに
著者は医師で経営者。外科から病理医への転向、さらには医師をしながらMBAを取り、会社を興すという多忙な人生を送ってきた人だ。
そんな人が、医師の経験がビジネスに活かせることに気づき、まとめたのがこの本。
「トリアージ」というのは救命救急の医療現場において、誰を助けて誰を後回しにするのか判断する優先づけの技術のこと。
ja.wikipedia.org
このトリアージの技術を仕事に応用しましょう、というのがこの本のメインテーマだ。第1章でその方法がわかる。
トリアージの色の意味は以下のようになる。
赤色=最優先治療群
黄色=非緊急治療群
緑色=軽処置群
黒色=死亡群・救命不可能群(P24)
優先順位も赤色→黄色→緑色→黒色となる。
トリアージの基本は、まず現状の資源で対処可能かどうか、からスタートします。
(中略)
解決できそうかどうかの判断は、これまでの経験、自身のリソース(資源)、チームメンバーの能力、残された時間、などから総合的に考えます。ただ、いきなり緊急な対応を必要とする赤色タグを見つけるのはむずかしいかもしれません。そのような場合はたくさんあるタスクの中から、緑色タグ、つまり誰でも対処できる、短時間で対処できる、後回しできる問題を見つけ出し、それを省くことから始めても構いません(P24-25)。
優先順位をつける時のポイントは、まず「黒色をはずす」こと。
診断の時に、明らかに可能性の低い病気から除外していくように、「自分ではどうしようもない」「今動いても仕方がない」ものをまずあきらめる。
次に、自分でなくてもいいもの、後回しでもいいもの=緑をはずす。
そして、残ったものを赤か黄色か優先順位を決めればいい。
「除外するものを先に決める」という発想はなかったので新鮮だった。
著者の考える、仕事をこなすポイントは次の3つだという。
1.すべての仕事に優先順位をつける。ただし「常に変動するもの」とする
2.「いざ!」という時に最大のパフォーマンスが出せるよう、あらゆる準備をしておく
3.ミスや失敗を未然に防ぎ、「ばらつき」を極力なくす方法を身につける(P7)。
この中で、「ばらつきをなくす」という考えは、常に一定の結果を出すためにいい視点だと感じた。
そのためには、常に自分のコンディションを整えておくのも仕事のうち。後に別の本*1になる「カラダ手帳」にも言及されている。
また、「努力は有限」という考え方も面白い。だからアロケーション(分配)が大切だという。
ムダなことに頭を使わないために、できるだけルーティン化しておくなど、メリハリをつけていざという時に力を出せる方法が紹介されている。
「トリアージ仕事術」というタイトルなのだから、もう少し仕事の優先順位のつけ方に紙面を割いてほしかった、というのが正直なところ。
ただ、忙しい医師(予定は常に変動的)ならではの仕事のやり方や、ミスを防ぐコツなどが学べるので、読んでみる価値はある。
ピンと来た方はどうぞ。
私のアクション:朝起きたらまずぬるま湯で水分補給、その後カフェオレで糖分補給♪*2
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
*2:この本を読んだ直後から続けている習慣です