毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

仏教の考え方は日本人に合っている☆☆☆☆

中途半端もありがたい:玄侑宗久対談集
玄侑 宗久
東京書籍(2012/10/08)
¥ 1,470

1年以上前に付せんで作ったやりたいことリストを、そのまま放置していた。今年に入ってようやく内容を確認したら、家事関係の本に混ざって1冊だけ、「読みたい本リスト」にあったのがこの本。
なぜこの本を読みたいと思ったのか、すでに理由を私自身が忘れていた*1
とりあえず読んでみよう、と図書館で借りた。とても面白い本で、今このタイミングで読めてよかった。


◆目次◆
木田元(哲学者)―回り道の人生
辰巳芳子(料理家、随筆家)―父性と母性
五木寛之(作家)―老いを愉しむ
養老孟司東京大学名誉教授)―日本人の心の古層
片田珠美(精神科医)―個性病を超えて
山田太一(脚本家)―心の復興
中沢新一(思想家・人類学者)―無常からの再出発
佐藤優(作家・元外務省官僚)―福島と沖縄
日野原重明(医師)―足るを知る
山折哲雄宗教学者)―原発作業員に祈りを
※カッコ内の肩書きは、この本のプロフィールなどをもとに、一般的と思われるものを私が追記しています

目次にあるように、10人との対談をまとめたもの。
掲載された媒体はバラバラなのに、内容に不思議な統一感がある。著者が仏教(禅宗)というスタンスをしっかり保っているからかもしれない。
著者は福島のお寺の住職でもあるので、やはり東日本大震災後の対談はおのずとその話が中心になっている。


私が特に面白く読んだのは、養生についていろいろと話が弾んでいた五木寛之さんと、精神疾患について深い話が聞けた片田珠美さんとの対談。
「西洋と東洋の違い」というテーマもたびたび登場し、“自我は西洋のものであり、日本にフィットしないまま持ち込まれたのでいろんな問題が起きている”という視点は斬新だった。


また、すごいと思ったのは各人の知識の広さと深さ。
それぞれ各界の第一人者だが、仏教とはあまり関係なさそうな人でも著者・玄侑さんの話にスイスイついて行くのだ。玄侑さんも作家だから当然かもしれないが、どの方とも息の合った話をされている。
私など、小池龍之介さんの本のおかげでごく基本的なことはわかったが、末那識(まなしき)、阿頼耶識(あらやしき)などこの本で初めて見た語句でちんぷんかんぷん。
識者、と呼ばれる方々の教養の深さに感じ入った。

対談は楽しい。
いろんなことを人から学びたい方はぜひ読んで見てください。
私のアクション:五木寛之さんの『息の発見』(玄侑さんとの対談集)を読む

関連記事
読書日記:『考えない練習』小池龍之介さんの本です


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

人生に回り道なんてない(P29)

玄侑 私もさんざん回り道をした挙げ句に思うことは、回り道なんてないということですね。結局自分にとってはまっすぐだったんですよ。

老荘の行動原理は「やむを得ず」(P30)

やむを得ずしたことのみが「至れり」、素晴らしいんだと。逆に、やむを得ずでないことは皆人為と見なすんですよ。

わからない未来というのを計画してしまうのが、現代人の病弊(P33)

玄侑 わからないまま進むのが怖いから、とにかく予測し、計画し、ということが是とされる。

成り行きを生きる(P35)

玄侑 成り行きを見ず過去に立てた目標に執着して歩んでいくというのが、どれだけばかばかしいことか。時々刻々変わっていく状況を、その都度見つめ直す。そうやって精一杯展開を楽しむことが、与えられた生を生き抜くことになると思います。

道元さんの、人間に対する対処の仕方(P42)

辰巳 自分に向かってくる喜怒哀楽は感情のどん底まで入れてしまわないという、その訓練は大切。…おでこの前くらいで受け止めていく(以下略)。

道元禅師の説く3つの心(P42)

玄侑 
「喜心」喜ぶ心。
「老心」親が子どもを慈しむように見る心。
「大心」大きな心。
「春声にひかれて春沢に遊ばず。秋色を見るといえどもさらに秋心なし」
昼の、たとえば鳥の鳴き声とかを聞いて心躍る気持ちがあっても、だからといって春の沢まで出ていってはしゃぎ回ったりしない。秋の景色にさびしさを感じても、心の中までさびしくなったりはしない。

お坊さんの長寿は考えないから(P54)

玄侑 道元さんは「非思量」と言うんですけど、思量をしない時間を持てる。つまり、お経を唱えれば、考えない時間を簡単につくれます。
(中略)
ものを考えることは、命の元気という面から考えれば、かなり抑圧的に働くと思うんですね。
考えないで覚醒しているという状態が坐禅で、お経を唱えても同じ状態に入ることができる。…考えない時間を持つことがいいんだと思いますね。

悲しみは悲しむことで乗り越える(P63)

五木 本居宣長が『石上私淑言』(いそのかみのささめごと)で、悲しみは悲しむことで乗り越えるんだと言っている。人は生きていれば悲しいことに出会う。悲しみを内側に隠していると、生涯その悲しみと同居しなければいけない。だから、悲しい時は悲しいと呟き、人に語り、歌にも歌え、そうすることで、悲しみを客体化して乗り越えていくことができるんだ、と。

神道で)鏡を最高のものとするのはなぜか(P74)

鏡は今現在だけを映し、記憶を残しませんよね。

頭の中の概念を詰めていくと一神教になり、感覚に依存すると多神教になる(P94)

養老孟司氏の考え

「状況の数だけ自己がある」(P112)

byアメリカの精神科医ハリー・スタック・サリヴァン
片田 人間というのは、いろいろな人に対してさまざまな人格を見せながら、その場その場で身過ぎ世過ぎをしている、「超多重人格」とも言える。

賽銭泥棒が入っても構わないでおくと、本当に来なくなる(P144)

玄侑 何度も盗難に遭うのは、どんどん厳重なものに鍵を取り替える寺です。

山田太一発言の「その価値観だけでずっと生きていくわけにはいかない」は仏教の勘所(P156)

玄侑 仏教では、原理とか絶対的なものを認めない。ただその瞬間ごとに絶対的な唯一の道というのはある。しかし、それはすべて方便であって、それでずっといくわけじゃない。世の中が無情なのは誰でもわかるが、自分自身も無情にならなければいけない。つまり「こうではないか」と思ったことを、常に突き崩していく必要がある。

「健康かどうかは、いかにその事態に対して適応できるかどうかで決まる」(P247)

byウジェーヌ・デュボア(医師)

*1:対談相手に日野原先生や佐藤優さん、辰巳芳子さんなど注目している方が多かったからでしょぅか