毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

フィギュアスケートがもっと楽しく観戦できる☆☆☆☆

家族が借りてきた本。タイミングよく、ソチオリンピックに間に合うように予約が回ってきた。
この本があれば、ずいぶん楽しく(私の感覚では10倍くらい)観戦できる。


◆目次◆
はじめに
第1章 ルールと採点基準
第2章 ワンランク上のシングル競技観戦
第3章 選手たちの舞台裏
第4章 振付師とコーチたちの役割
第5章 私のオリンピック体験
第6章 ソチオリンピックでの戦いはここに注目
第7章 メダル候補たちのここに注目<男子の注目選手たち>
・感性の高さで群を抜く高橋大輔
・チャンスを必ずものにする、羽生結弦
・ジャンプの着氷が柔らかな織田信成
・バランス感覚に優れた小塚崇彦
・独特の世界観を持つ町田樹
・演技が安定してきた無良崇人
・高い技術で表現をする、パトリック・チャン
・不屈の帝王、エフゲニー・プルシェンコ
・4回転を守った功労者、ブライアン・ジュベール
・4回転が大きな武器のハビエル・フェルナンデス
・高い能力を持つデニス・テン<女子の注目選手たち>
・新たな境地に達した浅田真央
・チャレンジ精神旺盛な村上佳菜子
・2度目のオリンピックを狙う鈴木明子
・さらなる成長が期待される宮原知子
・復帰を目指す安藤美姫
・メンタルの強いキム・ヨナ
・女性らしい細やかな滑りのカロリーナ・コストナー
・着実にエレメンツをこなすアシュリー・ワグナー
・華やかさを持つケイトリン・オズモンド
・ソチの地元、ロシアの若手女子たち
おわりに

荒川静香さんと言えば、トリノの金メダリストであり、現在は解説などを中心にテレビでも活躍されている。
この、選手と解説者の両方の視点でフィギュアスケートに関するさまざまな疑問を解き明かしてくれるので、とてもわかりやすい。


まずは採点基準。現在の採点の仕組みと、大きく変わって荒川さん自身が苦労したトリノオリンピックシーズンの改訂から現在へと至る流れがくわしく説明されていて、採点にまつわるモヤモヤがかなり解決されるのではないだろうか。
4年前のバンクーバーで物議をかもした、4回転を回避したライサチェック選手が金を取り、4回転を跳んだプルシェンコ選手が銀に終わった男子の結果も踏まえて改善されているのがわかる。現在はチャレンジした前向きな姿勢をより評価するようになってきているそうだ。

ジャンプの種類についてはソチ直前にいろんなところで目にしたが、この本ではスピンの種類もまとめられていてわかりやすかった。
また、ジャンプの回転不足に関するモヤモヤも一気に晴れた。
現在は4分の3以上回っていれば回転が足りていると見なされ、2分の1〜4分の3の間なら「アンダーローテーション」、2分の1以下だと「ダウングレード」(ひとつ下の回転と判断される。例:4回転→3回転)と判断されるのだそうだ。図もあるのでよく理解できた。

さらに、演技構成点はその試合だけで判断されるものではなく、「今までの評価」が大切なのだとか。

 採点項目が5つに示されているものの、実際のその採点の裁量はジャッジの「主観」の平均値と、あとは選手個人が積み重ねてきたスケートの評価も反映されています。
(中略)
たとえばずっと下の順位にいた選手が、ある日突然に素晴らしい演技をしたとしても、その時1回だけでは、サプライズの結果は出ないのが普通です。
 その選手にはできる能力があるということを、ある程度、普段からジャッジに知っておいてもらう必要があるのです(P49)。

よく、解説者が「ここでこの結果を出しておくことは、今後につながります」というようなコメントをすることがあり*1、ピンと来なかったのだが、そういう意味があったのだ。

この本を読んで一番驚いたのはスケート靴にまつわるさまざまな苦労。同じメーカーに同時に3足注文しても、革はひとつひとつ違うため、履き心地はまったく違うのだそう。

それぞれの靴には独特の癖がありますから、その特性に合わせてジャンプの跳び方などを微調整していかなくてはなりません。靴の癖を、技術で補わなくてはならないのです(P86)。

また、9.11以降スケート靴は凶器と見なされて飛行機への持ち込みが禁じられてしまい、遠征で荷物が届かなかったり紛失したりのトラブルが起きることもあるそうだ。それだけデリケートなスケート靴なのに、他の選手のを借りて滑ることもあるのだとか。
私たちは試合か、公式練習などしか目にする機会がないが、その前から闘いは始まっているのだ。

フィギュアスケートは、精神面が一瞬のことを左右する競技です。とても欲しいものが目の前に来た時、自分がどのように反応するタイプなのかを踏まえ、自分のメンタルをどうコントロールするかが勝負の鍵のようです(P98)。

この言葉は、金メダリストの荒川さんが言うととても説得力がある。最後はメンタルがものを言い、強い精神力の持ち主が勝つのがオリンピックなのかもしれない。

最終章では、オリンピック候補と目される選手を広く紹介してあるので興味深い。日本人選手だけでなく、ライバル選手についても荒川さんの目を通して知ることができるので、とても面白かった(この章だけは目次をすべて載せているので参考にしてください)。
ソチに間に合わせるために、実際には出場できていない選手も含まれていたり、高橋選手のケガにはまったく触れられていないのは、こういう本の性質上、まあ仕方がない。


オリンピックはもちろん、世界選手権など楽しく観戦できるガイド本としておすすめです。見てもよくわからない、と感じる人や何となくモヤモヤしてしまう人はぜひ。
私のアクション:パトリック・チャン選手の足の先に注目*2
※この本のメモはありません

*1:たとえば昨年のGPファイナルで羽生選手が優勝した時、荒川さんが「羽生選手がチャン選手に勝てるだけの力がある、と今回ジャッジに示せたことは、オリンピックでの好評価につながります」的なことを話されていました

*2:そこに点数が高く出る秘密があるそうですよ