「サワコの朝」に出演された著者は、阿川さんの“聞く力”によるのかもしれないがとにかく話が面白かった。
あまりに面白いので、どんな本を書かれているのか興味を持ち、図書館で検索したらどれも多数の予約待ち状態。
一番読みたかったのは古事記に関するものだったのだが、かなり人数が多かったので断念。一番早く借りられるこの本にしてみた。
あまり類を見ない、他の人には書けない本だと思う。
◆目次◆
この本を手に取った方へ
序 章 世界でいちばん人気がある国「日本」
第1章 頂きます【いただきます】―『ミシュランガイド』が東京を絶賛する理由
第2章 匠【たくみ】―世界が愛する日本のモノづくり
第3章 勿体無い【もったいない】―日本語には原始日本から継承されてきた“和の心”が宿る
第4章 和み【なごみ】―実はすごい日本の一流外交
第5章 八百万【やおよろず】―大自然と調和する日本人
第6章 天皇【すめらぎ】―なぜ京都御所にはお堀がないのか
終章 ジャパン・ルネッサンス―日本文明復興
巻末対談 日本は生活そのものが「芸術」だ
―天皇から派生する枝葉のなかに我が国の文化はすべてある!(北野武×竹田恒泰)
日本ってそんなに海外で人気があるの?と思う人は多いはずだ。
序章で、まず客観的なデータが示されている。それを見れば、確かに日本は漫画やアニメに限らず、広く世界から愛されていることがわかる(ただし近隣の2国は除く)。
それがなぜなのかをひもといていくのがこの本の目的。
導入はまず、誰もが納得の食文化から。さらに、職人技、そして「もったいない」という世界を驚かせた日本独自の価値観へと続く。
後半は、神話を経てだんだん著者の出自に関わる*1「天皇」にまつわる話へと移る。ブクログのレビューを見れば、そのあたりに違和感を感じている人も多いようだ。
ただ、著者の主張をどの程度受け入れるかは別として、そういう考え方もあるんだ、と知っておくのはいいと思う。天皇という存在について学ぶ機会は現在ほとんどなく、日本人は「象徴である」という憲法の言葉をそういうものか、と思っている人が圧倒的に多いからだ。
私は神社巡りが趣味で、伊勢にもよく参拝に行く*2ので、天皇陛下が毎日宮中で祭祀を行う「祈る存在」である、というこの本の主張は素直に受け取れた。
日本が2千年以上も続く稀な国であること、一度も侵略されたことがないため日本語も(他の言語を受け入れながらも)古代からの形が残っていることなど、誇れることがたくさんあるのだ、と読みながらうれしくなった。
ただし、このままでは日本の素晴らしさは残せない、と著者は警鐘を鳴らしている。このあたりの主張は美輪明宏さんなど、戦前の日本を取り戻そうという考え方に近い。
著者の考えは以下の文章に要約されていると思う。
現代において人類が直面する二大問題は和平と環境だといわれるが、日本は地球規模の環境問題を解決するための鍵を持っていると私は思う。しかし、大きな使命を担っているにもかかわらず、当の日本人が、その伝統的価値観を失いつつあるのではないか。異邦人は日本の伝統的価値観に得も言われぬ尊敬の念を抱いていることを知るべきだろう。そして、われわれはそれに相応しい日本人に立ち戻らなくてはなるまい(P168)。
さらに、気になることも書いてあった。
かつてアーノルド・トインビー*3は「十二、三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と書いた(P206)。
著者は、連合国の真の狙いは次のようなものだったという。
連合国は日本を恐れていた。占領の最大の目的は、分かりやすくいえば「二度と日本が刃向かうことができないように、骨抜きにすること」である。そのためには、歴史を歪曲し、神話を否定し、それによって国家と民族の誇りを消し去ることが最も確実な方法である(P29)。
その影響が今も残り、日本人は自国に誇りが持てないのだとしている。
歴史の解釈にはさまざまなものがあり、ここでその是非を問うつもりはないが、この分析には一理あるように感じた。
著者が幼少時から海外経験を多く持つなどのセレブ感や、文章からにじみ出るスノッブさは好みが分かれると思う。だが、海外から日本がどう見られているのか知ることは今後国際社会に生きていく上で大事だし、「日本って案外イケてるかも?」という自信も持てる。
日本のこと、実はよく知らない、と思う人は読んでみてください。
日本人が知らない海外で貢献した日本人、意外にたくさんいますよ。
私のアクション:「いただきます」「ごちそうさま」を手を合わせて言う
※この本のメモはありません