先日読んで面白かったエッセイ、『蚊がいる』の著者・穂村弘さんは「歌人」が本職。
その才能と仕事ぶりが伺えるのが雑誌『ダ・ヴィンチ』で、一般の人から募集した短歌を批評する「短歌ください」のページだ。
この本はその人気連載をまとめたもの。
ふだん短歌に触れる機会などめったにないが、新鮮で面白かった。
◆目次◆
恋愛(サンプル版)
恋愛
恋愛(その2)
色
数
音
眠り
家族
セクシャル
機械
人名
匂い
乗物
時間
地名
音(その2)
飲食
眠り(その2)
暴力
お金
薬
癖
血
日本
トイレ
動物
記憶
異性
虫
宝物
あとがき
目次にあるのは各回の「お題」。お題に合わせて投稿された短歌を掲載、批評し、たまによさを際立たせるためにご自身の「改悪例」が載っていたりする。
短歌なんて、中学か高校の国語で読んだくらいのものだ*1。
でも、これがめっぽう面白い。教科書に載っていた短歌とはずいぶんイメージが違う。それは著者が選者だからというのが大きいのだろう。
どんどん言葉を削ぎ落としていって、感覚としては“キャッチコピー”とか、そういうものに近いと思う。
素人とは思えないような力作もあり、やはりセンスのある人はたびたび掲載されている。
私が一番気に入ったのはこの作品だった。
ちょっとまてそのタイミングじゃないでしょう八宝菜のうずらのたまご(チヲ・女・25歳)
こんな感じのがたくさん読める。日本語の奥深さを感じる。
また、著者が「お題」について書いているちょっとした言葉が、それだけで鋭くてゾクゾクする。
たとえば、「癖」という「お題」について
……奇妙な口癖とか貧乏揺すりとかしましまの服ばかり着るとか持ちものに名前をつけるとか……、自由に詠ってみてください(P168)。
毎回、著者がこの部分を何て書いてあるのかもとても楽しみだった*2。
こういうものは好みが分かれると思うので、ピンと来た方はぜひ。文庫ならさらに気軽に読めます。
私のアクション:続編も読む
※この本のメモはありません
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