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チーム躍進の影にスカウト・通訳あり☆☆☆☆

 

【読書感想】プロ野球 最強の助っ人論 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

野球好きな家族に勧めたものの、ブログでたくさん引用されていたので、自分はいいかなと思っていた。

ただ、家族が「面白いよ!」と強く勧めるので、図書館返却間際にササッと読んだ。
確かに、プロ野球ファンなら楽しく読める1冊だった。

 

◆目次◆
序 章 ベンチで勃発していた監督vs.助っ人「殴り合い」寸前の一大事
第1章 日本に「向いている選手」と「向いていない選手」の見分け方
第2章 「成功する選手」と「ダメ外国人」を分ける18の判断基準
第3章 なぜヤクルトの助っ人は「アタリ」が多いのか
第4章 外国人選手が活躍するための「もうひとつの条件」
第5章 「史上最強の助っ人」とメジャーで活躍する日本人の条件
おわりに

著者がプロ野球の世界に入ったきっかけは、野村克也氏だった。イタリア人と日本人のハーフである著者は、インターナショナルスクールで団野村ケニー野村両氏の先輩で、当時南海ホークスプレイングマネージャーだった野村さんが臨時の通訳を依頼してきたという。
その後、ヤクルトに通訳として入社、外国人選手のスカウトに転身して活躍した著者は巨人に移り手腕を発揮。
ヤクルト時代、著者はロベルト・ペタジーニアレックス・ラミレスを発掘して契約した人だ。
その卓越した眼は誰もが認めるところだろう。

 

当然のことながら、日本の野球にうまくフィットする選手を探さなければならない。
どこに眼をつけるか、という話が面白い。
そのひとつの目安が「ウォーニング・トラック・フライ・ボール・ヒッター」かどうか。
「ウォーニング・トラック・フライ」とは、外野のフェンス手前で失速するフライのこと。メジャーの球場では失速してただの外野フライになってしまうが、日本の球場でも特に狭い神宮球場ならホームランになるのでは?と閃いた著者は、あえてそういう選手を探すようになる。あのラミレスは、まさしく「ウォーニング・トラック・フライ・ボール・ヒッター」だったのだそうだ。
メジャーでは評価の低い選手でも、日本なら主軸として活躍できる。

ただ、大切なのは「日本の野球に順応できるか」「努力型か」「性格がいいか」といった実力以外の面、というのも興味深い。
また、アメリカで試合に出ること、評価されることに特に飢えているのはヒスパニック系だ、という指摘も鋭いと思う。やはり人種の壁はあるのだ。

 

私がこの本で一番印象に残ったのは、探してくることと同じくらい、選手をケアすることの大切さだ。
著者がもともと通訳だったから、というのもあるかもしれないが、実は日本の野球はもちろん、生活にも順応してもらうための、周りのサポートが成績を大きく左右するのだという。
選手だけではなく、家族のサポートもするそうだ。選手が安心して遠征に出られるよう、奥さんや子供たちのケアも通訳の仕事というから驚きだ。
家を決める、最初は買い物につき合う、他にもトラブルの解決や大小さまざまなリクエストにこたえるなど、こんなのも通訳の仕事?と思うほどきめ細かくサポートしているという。

メジャーに挑戦した選手の本を何冊か読んだが、たいてい最初は「代理人が頼みの綱」という状態だった。日本に来る外国人選手も同じなのだ、と思った。

 

通訳だけではなく、チームとして受け入れ体制が整っているか、というのも大きいという。著者によれば、ヤクルトに成功した外国人選手が多いと言われる理由のひとつは、著者のヤクルト時代の若松監督他、チームに暖かく迎える文化があったからだそうだ。
また、著者に言わせれば「外国人選手の力を引き出すのがうまい監督」は、星野・前楽天監督だという。確かに、中日、阪神楽天とどの時代にも活躍した外国人選手がいた。選ぶ眼も大切だが、いかに使うかも同じくらい大切なのだ。

最終章には、元スカウトの眼から見た、メジャーで活躍できる日本人選手の話題も登場する。なぜ松坂は活躍できず、田中が活躍できるのか。著者の指摘は意外なところだった。著者によると、マエケンもあまり活躍は期待できないそうだ。その理由は何か、ぜひ読んで確かめてみてください。

 

著者の経歴上、ヤクルトや巨人の話が中心になり、どうしてもセ・リーグの話が多くなるので、パ・リーグファンには少しもの足りないところもあるが、こういう視点で見た本は他にあまりないので、とても面白かった。
日本のプロ野球ファンはもちろん、メジャー好きの人にもおすすめです。
私のアクション:中継で、外国人選手がベンチで座っている位置を見る*1

※この本のメモはありません

 

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田口壮さんの奥様、恵美子さんの本。



*1:まん中に座っていればチームに溶け込んでいる証拠、逆に端の方に外国人選手だけが固まっているようでは期待できないそうです