毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

フィギュアスケート選手の年間費用は2千万?!☆☆☆☆

 

 

◆目次◆
はじめに
第1章 「フリープログラム」は自由演技ではない!?――意外と知らないフィギュアの基本知識
第2章 夏の滑り込みが勝負を分ける――フィギュアスケート選手の一年
第3章 試合当日、もし体調が悪かったら?――最高のパフォーマンスのためにしていること
第4章 費用年間2000万円の明細書――フィギュアスケートの素朴な疑問&意外な事実
第5章 リンクの上に、たった一人――フィギュアスケーターという生き方
付録 技と規定について

村主さんと言えば「氷上のアクトレス」の異名を取る、表現力でならした選手だ。
トリノで4位になり、メダルが取れなかったためにもう一度オリンピックに出たい、と現役を続けていたが、3度目の出場が叶うことなく33歳で引退。

荒川さんと競い合っていたのに、採点方法が変わった影響を一番受けてしまった人、というイメージがある。

 

古い本なので、確かに細かい採点のルールは今と違う(毎年改訂が行われるため)。でも、以前の採点方式と何が変わったのか、肝心なポイントを解説してくれる本を読んだのは初めてだった。
最近出たものでこの内容を読むのはむずかしいかもしれないので、意外に貴重かもしれない。

 

ステップなどは、今までいいとされたものが逆によくない例になってしまったり、求められる動きが変わったために身につける筋肉も変えなければならなくなったそうだ。

「全体の流れを評価する」ものから、個々の要素の難易度を上げ、より複雑な技を入れることで点数を取ることが重視されるようになった。
それぞれの要素のレベルを判定するのは専門の「テクニカル・スペシャリスト」がつとめ、他の審判員は加点・減点の要素を見る。

荒川さんが「トリノの前のシーズン、新採点システムで点が伸び悩んだのでコーチを直前に変えた話」をはじめ、いろいろと断片的に情報は得ていたものの、自分の中ではこの本で初めてひとつにまとまった気がする。

 

全体に、フィギュアスケートファンが疑問に思うことがストレートにつづられている。
何となく知っていても、理由はきちんと知らなかったので、「そうだったのか」と納得することがいろいろ。

たとえば、バレエを習う選手が多い理由。

バレエには、ちょっとした動作やポーズなどを美しく見せることができる効果があるからです。
 …速い動きの中でポーズを取ることが多いフィギュアの選手にとっては非常に重要。いちいち考えながらポーズを取ることができないので、普段の立ち居振る舞いからきれいにならなくてはいけないのです。そのためには、バレエが一番効果を発揮します(P70)。

また、メンタルじゃなくて「性格」が結果を決めるという一面も。

…シーズンが長いフィギュアスケートでは、前向きであることと途中であきらめないという意志が結果に表れます。「最後まであきらめないで続けられるか」。これは性格の問題でもありますね。そういう点で、性格がものすごく反映される競技でもあります(P93)。

日本人選手は総じて真面目。それがあだになることもあるとか。

 技術的な面から言うと、「真面目さ」が「気負い」に変わってしまい、体が硬くなってしまうことがあります。氷も硬いので、堅いものと堅いものがぶつかったときには、倒れるしかない。でも、気持ちも体も柔らかければ、曲がりながら柔軟に対処できることがある。この差は、演技に大きく影響します(P144)。

一見細かい詰めが苦手そうな外国人選手などは、気持ちの柔軟性で持ちこたえたりしているのか、と意外な話にびっくり。

 

でも、とにかく一番びっくりしたのがシーズンの“費用明細書”。
村主選手が現役を続けるにはスポンサーが必要なんです、と会見したことは覚えているが、あの時ここまで赤裸々な明細を出していたとは知らなかった。

コーチに払う費用以外にも、振り付け師に1曲100〜150万、衣装代は1着15万(シーズンに用意するのは4〜6着)などなど。
しかも、海外の振り付け師に振り付けをお願いしたら、往復の交通費に滞在費、移動にかかるレンタカー代なども入れれば費用はもっと膨らむ。

また、試合の時の遠征費用。本人とコーチの費用は出るものの、コーチが複数いたり、トレーナーなどを帯同させたい場合は自分持ちになるそうだ。

リンク代もバカにならない。貸し切りにしなければ練習できないし、そうなるとリンク代だけで年間360万。
――というわけで、ざっくり年間2千万はかかる、のだそうです。

アイスショーの入場料が、高い席だと2万を超えると知って「何でそんなに高いの!?」と思っていたが、こんなにかかるならぜひアイスショーで稼いでください、と思ってしまった。

 

ちょっとユーモラスな挿絵もあり、楽しく読める。
村主さん個人の経験なども書いてあるが、村主さんファン以外のフィギュアスケートファンが読んでも充分楽しめます。
私のアクション:振り付け師に注目して試合を見る

※この本のメモはありません

 

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